セロリの育て方|わき芽は取る?時期や美味しい食べ方も徹底解説

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こんにちは。今日も田んぼと畑から、運営者の「あつし」です。

セロリの育て方について家庭菜園の仲間と話していると、必ずといっていいほど話題に上がるのがわき芽の処理についてです。お店で売っているセロリは一本のスッとした綺麗な形をしていますが、実際に畑で育ててみると、株元から次々と小さな芽が出てきて驚きますよね。これをこのまま育てていいのか、それとも取ってしまうべきなのか、初めて栽培する方は特に判断に迷うことでしょう。また、せっかく生えてきた芽を捨てるのはもったいない、食べられるなら食べたいと考えるのも、私たち野菜作りを愛する人間の自然な心理です。実は、このわき芽の扱い方一つで、収穫するセロリのサイズや味、さらには病気のリスクまで大きく変わってくるのです。

この記事で分かること】

  • セロリのわき芽を徹底的に除去すべき生理学的な理由と放置のデメリット
  • 初心者でも迷わず見分けられるわき芽の発生ポイントと除去テクニック
  • 病気知らずの株に育てるための下葉かきと風通しの重要性
  • 摘み取ったわき芽を絶品料理に変える農家直伝の活用レシピ
目次

セロリの育て方で重要なわき芽かきの基本

セロリ栽培において、わき芽の管理は単なる「見た目を整える作業」ではありません。これは、植物のエネルギーをどこに集中させるかをコントロールする、非常に戦略的で重要なプロセスです。ここでは、なぜプロの農家がわき芽を徹底して取るのか、その理由と具体的な方法を深掘りして解説していきます。

わき芽は取るべき?放置するリスク

結論から申し上げますと、スーパーで並んでいるような太くて立派なセロリを収穫したいのであれば、わき芽は発見次第、ためらうことなく速やかに除去すべきです。

植物には「シンク・ソース」という生理的な関係性があります。葉で光合成をして作られた栄養(ソース)が、成長が必要な部位(シンク)へと送られる仕組みのことです。私たちが収穫したいメインの茎は、当然この栄養を一番必要としている場所です。しかし、わき芽を放置してしまうと、このわき芽たちが強力な「新たなシンク」となり、本来メインの茎に送られるはずだった栄養を横取りしてしまいます。

これを放置すると、以下のような深刻なデメリットが発生します。

わき芽を放置した場合に起こる3つのリスク

  • 肥大不足:栄養が分散するため、メインの茎が太くなりません。全体的にひょろひょろとした、繊維質で硬い食感のセロリになってしまいます。
  • 病害の誘発:株元がわき芽で密生することで湿気がこもり、軟腐病などの病気が発生する確率が格段に上がります。
  • 収穫期の遅れ:成長が鈍るため、収穫適期になっても株が大きくならず、畑に長く置くことになります。その結果、茎の中に「す(空洞)」が入るリスクが高まります。

特に、家庭菜園で人気のある「トップセラー(タキイ種苗)」のような大株になる品種や、生育が比較的ゆっくりな「コーネリアス(サカタのタネ)」などを育てる場合、この栄養の競合は致命的です。「かわいそうだから」といって残しておくと、結局は親株もわき芽も共倒れになり、中途半端な出来栄えになってしまうのです。心を鬼にして、親株のためにわき芽を取る、これが成功への第一歩です。

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どこを取る?わき芽の発生場所

「わき芽を取れと言われても、どれがわき芽でどれが本葉なのか見分けがつかない」という相談をよく受けます。確かに、初期の段階では見分けにくいこともあります。

見分けるポイントは、「発生している場所」と「生え方」です。

セロリは、株の中心にある「短縮茎」と呼ばれる部分から、放射状に外側へ向かって葉(葉柄)を展開していきます。これが私たちが食べるメインの部分です。対してわき芽は、このメインの茎の付け根(葉の脇)から、上に向かってちょこんと顔を出します。

わき芽発見のチェックポイント

  • 外側の太い茎を少し手で押し広げて、株の内側(中心部)ではなく、茎の股の部分を覗き込んでください。
  • メインの茎とは明らかにサイズが違い、色が薄く、弱々しい芽があれば、それがわき芽です。
  • 株の根元付近から、まるで別の植物が寄生しているかのように生えてくることもあります。

最初は小さくて見逃しやすいですが、生育が旺盛になると、これらが急激に成長してきます。放置すると、どれが主枝かわからないほどワサワサになってしまいます。「株元がなんだか混み合ってきたな」と感じたら、それはわき芽が増殖しているサインです。外側の葉をかき分けて、懐中電灯で照らすくらいの気持ちで奥までチェックしてみてください。

わき芽かきの最適な時期と頻度

わき芽かきは、一度行えば完了する作業ではありません。セロリが生きている限り、生育期間を通じて継続的に行う必要があります。では、具体的にいつから始めればよいのでしょうか。

最初のタイミングは、定植してから約1ヶ月後が目安です。苗を畑に植え付けてしばらくは、根っこを土に張らせることにエネルギーを使いますが、無事に根付く(活着する)と、地上部に新しい葉を展開し始めます。このタイミングで、最初のわき芽がひょっこりと顔を出します。

継続的な管理のスケジュール

その後は、収穫まで定期的なチェックが必要です。私は以下のようなルーティンで管理しています。

生育ステージ 確認頻度 作業のポイント
初期(定植〜1.5ヶ月) 週1回 まだ株が小さいので、わき芽を見つけたら指先で早めに摘む。根の成長を邪魔させないことが目的。
中期〜収穫前 2週間に1回 最も生育が旺盛な時期。追肥(肥料やり)のタイミングとセットで行うと忘れにくい。「肥料をあげる前に不要な芽を整理する」のが鉄則。

特に、雨が降った後や追肥をした後は、セロリが一気に成長スイッチが入るため、わき芽も急激に伸びてきます。「先週見たときは無かったのに!」と驚くほど成長が早いので、週末菜園の方は、畑に行ったらまずセロリの株元を覗く癖をつけると良いでしょう。

失敗しないわき芽の取り方のコツ

わき芽を取る作業自体は難しくありませんが、やり方を間違えると株を傷つけたり、病気を招いたりすることがあります。正しい手順をマスターしましょう。

まず、道具についてですが、私は基本的に「手」で行うことを強くおすすめします。ハサミやナイフを使うと、その刃を通じてウイルス病(モザイク病など)が隣の株へ伝染してしまうリスクがあるからです。セロリのわき芽は、若いうちなら非常に柔らかく、手で簡単に取り除くことができます。

プロも実践する「手摘み」の手順

  1. つまむ:わき芽の根元を、親指と人差指でしっかりとつまみます。
  2. 倒す:真上に引っ張るのではなく、外側(横方向)へ優しく倒すように力を加えます。
  3. ひねる:「ポキッ」という感触と共に外れます。もし取れにくい場合は、少し左右にひねりながら倒すと綺麗に取れます。

どうしても手で取れないほど大きくなってしまった場合や、筋が硬い場合に限り、清潔なハサミを使って根元から切断してください。その際は、ハサミを熱湯消毒やアルコール消毒してから使うなどの配慮が必要です。

絶対に守りたい「天気」のルール

わき芽かきをする上で、最も重要なのが天気です。必ず「晴れた日の午前中」に行いましょう。

わき芽を取った後の株元には、どうしても傷口ができます。この傷口が濡れたままだと、そこから細菌が侵入しやすくなります。晴れた日の午前中に作業を行えば、日中の太陽光と風で傷口がすぐに乾き、植物自身の治癒力で「カルス」というかさぶたのような層が作られます。これが病原菌の侵入を防ぐ天然の絆創膏となります。雨の日や、これから夜露が降りる夕方に作業するのは、病気のリスクを高めるだけなので絶対に避けてください。

下葉かきと同時に行うメリット

わき芽かきを行う際は、単に芽を取るだけでなく、同時に「下葉かき(葉かき)」もセットで行うのが、セロリ栽培の上級テクニックです。

下葉かきとは、株の一番外側にある古い葉を取り除く作業です。植物の葉は、古くなると光合成をする能力が落ちていきます。それどころか、呼吸によってエネルギーを消費するだけの「お荷物」状態になったり、地面に接して泥汚れや病原菌をもらったりする原因になります。

「黄色くなった葉」や「地面に垂れ下がって枯れかけた葉」は、迷わず取り除きましょう。

わき芽と一緒にこれらの不要な下葉を整理することで、株元の風通しが劇的に改善されます。太陽の光が株の根元までしっかりと届くようになり、土の表面も適度に乾くようになります。これにより、根が健全に呼吸できるようになり、結果として地上部の成長も促進されるのです。

ただし、注意点もあります。まだ緑色が濃くて元気な外葉まで過剰に取りすぎてはいけません。光合成を行う工場を減らしすぎると、逆に株の肥大が悪くなってしまいます。あくまで「役目を終えた葉」を整理するイメージで行ってください。

病気予防になるわき芽管理の効果

セロリ栽培で最も頭を悩ませるのが「病気」です。特にセロリは、多湿を好む性質がありながら、地上部が蒸れるとすぐに腐ってしまうという矛盾した性質を持っています。

わき芽管理は、この病気予防において農薬以上の効果を発揮することがあります。特に防ぎたいのが以下の病気です。

  • 軟腐病(なんぷびょう):独特の悪臭を放ちながら、株元からドロドロに溶けてしまう恐ろしい病気。
  • 斑点病:葉に茶色い斑点ができ、光合成能力を奪う病気。

これらの病原菌(細菌やカビ)は、湿度が極端に高い環境を好みます。わき芽がボーボーに生えて株元がジャングルのようになっていると、空気が滞留して湿度が逃げず、菌にとって最高の繁殖場所になってしまいます。

わき芽をきれいに取り除き、株間に風が抜ける「通り道」を作ってあげること。これだけで、株周辺の局所的な湿度(マイクロクライメート)を下げることができ、感染リスクを大幅に減らすことができます。農薬に頼らない栽培を目指す方こそ、この「物理的な環境改善」であるわき芽かきを徹底していただきたいと思います。

(出典:タキイ種苗『セルリー(セロリ)栽培マニュアル』)※栽培の基本管理における通気性の重要性について参照

セロリの育て方とわき芽の美味しい食べ方

ここまでは、栽培の観点からわき芽を「除去すべき対象」として厳しく扱ってきました。しかし、キッチンに立つと、一料理好きとしては、このわき芽への見方が180度変わります。実は、摘み取ったセロリのわき芽は、捨ててしまうにはあまりにも惜しい、極上の食材なのです。

摘んだわき芽は食べられるのか

結論から申し上げますと、セロリのわき芽は食べられます。それも、驚くほど美味しく。

普段スーパーで見かけるセロリは、大きく成長して繊維もしっかりした「外葉」の茎部分です。一方、私たちが摘み取るわき芽は、これから成長しようとしているエネルギーの塊であり、生まれたての若い組織です。そのため、親株のような硬い筋(維管束)がまだ発達しておらず、非常に柔らかいのが特徴です。

農家さんの間では、このわき芽を「間引き菜」として楽しむのが密かな特権となっています。市場には出回らない、育てている人だけが味わえる「副産物(セカンダリー・ハーベスト)」です。一度この味を知ってしまうと、わき芽かきの作業が「面倒な労働」から「収穫の楽しみ」に変わること間違いありません。

わき芽の栄養と食感の特徴とは

わき芽は成長点を含んでいるため、植物が細胞分裂するために必要なビタミンやミネラルが凝縮されていると考えられます。そして何より特徴的なのが、その「香り」です。

セロリ特有の清涼感ある香り成分(アピインやテルペン類)が、親株以上に濃厚に含まれています。セロリ好きにとってはたまらない芳醇な香りですが、苦手な人にとっては少し強すぎると感じるかもしれません。しかし、食感は非常に軽やかです。

比較項目 親株(一般的に売られている茎) わき芽(若いスプラウト)
食感 繊維質でシャキシャキ、噛みごたえがある サクサクと柔らかく、筋っぽさがない
香り マイルドで水分が多い 濃厚で強い芳香、ハーブに近い
味の傾向 甘みと瑞々しさ ほろ苦さと旨味(山菜に近い)

この「ほろ苦さ」と「強い香り」は、調理法を少し工夫するだけで、高級な食材のようなアクセントになります。油との相性が非常に良いので、それを活かした食べ方がおすすめです。

人気のわき芽レシピ:サラダ編

まずは、わき芽の最大の武器である「柔らかさ」をダイレクトに楽しむ方法です。加熱せず生のままサラダにすることで、熱に弱い水溶性ビタミンも逃さず摂取できます。

私のおすすめは「セロリの芽とナッツのバルサミコサラダ」です。

作り方はとてもシンプルですが、味のバランスが計算された一品です。

  1. 摘んできたわき芽をよく洗い、水気をしっかり切ります。大きいものは手でちぎります。
  2. ボウルにわき芽を入れ、砕いたアーモンドやクルミを加えます。
  3. オリーブオイル、バルサミコ酢(なければ普通の酢と少量の砂糖)、塩、粗挽き黒胡椒を加えて全体を和えます。
  4. 最後に粉チーズを少し振ると、コクが増してより美味しくなります。

ナッツの香ばしさと油脂分が、セロリの強い香りを程よくコーティングし、バルサミコ酢の酸味が全体を引き締めます。わき芽のサクサク感とナッツのカリカリ感が楽しく、ワインのお供にも最適です。

おすすめの調理法:ごま和え

「生で食べるのはちょっと香りが強すぎるかも…」という方に、私が一番おすすめしたい最強のレシピがあります。それが「わき芽のくるみゴマ和え」です。

セロリのわき芽は、意外にも和風の味付けと相性が抜群です。特に「ゴマ」との組み合わせは神懸かっており、大量のゴマがセロリの青臭さを完全に包み込んで、旨味へと昇華させてくれます。

捨てずに絶品!わき芽のくるみゴマ和え

【材料】

  • セロリのわき芽:あるだけ
  • くるみ:適量(手で粗く砕く)
  • ★すりごま(または練りゴマ):大さじ2
  • ★砂糖(できればきび砂糖):大さじ1
  • ★醤油:大さじ1
  • ★ごま油:小さじ1

【作り方】

  1. わき芽を熱湯でさっと(10秒〜20秒程度)湯がきます。鮮やかな緑色になったらすぐに冷水に取り、水気を固く絞ります。(※香りが好きな方は生のままでもOKです)
  2. 食べやすい大きさに切り、★の調味料を全て混ぜ合わせたボウルに入れます。
  3. くるみを加えて全体をよく和えれば完成です。

このレシピのポイントは、少し甘めの味付けにすることです。砂糖醤油の甘辛さとゴマのコク、そしてくるみの食感が、セロリのほろ苦さと絶妙にマッチします。まるで春の山菜料理のような、滋味深い味わいを楽しむことができます。ご飯のおかずにはもちろん、日本酒のあてとしても最高の一皿になります。

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セロリの育て方とわき芽管理のまとめ

今回は、セロリの育て方における最重要項目の一つ、「わき芽の管理」について、その栽培上の意義から食卓での活用法までを網羅的に解説してきました。

最後に改めて要点を振り返りましょう。

  • 栽培の鉄則:高品質なセロリを作るために、わき芽は栄養を奪う「ライバル」です。見つけ次第、晴れた日の午前中に手で除去しましょう。
  • 病気予防:わき芽と下葉を整理して風通しを良くすることは、軟腐病などの深刻な病気を防ぐ最大の防御策です。
  • 食の楽しみ:除去したわき芽はゴミではありません。香り高い「旬の食材」として、サラダや胡麻和えで美味しくいただきましょう。

セロリ栽培において、わき芽かきは「面倒な作業」ではありません。それは「美味しいセロリを育てるための投資」であり、同時に「美味しい副産物を収穫する楽しみ」でもあります。株を元気に育てながら、その恩恵を食卓でも味わう。これこそが、家庭菜園の醍醐味であり、スーパーで買う野菜にはない豊かさだと私は思います。

ぜひ、次の週末は畑に出て、セロリの株元を覗いてみてください。そこには、美味しい収穫と、これからの成長へのヒントが隠れているはずです。

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