こんにちは。今日も田んぼと畑から、運営者の「あつし」です。
家庭菜園でネギを育てていると、植え替えの時期や仕方がわからなくて悩むことってありますよね。特にプランターで栽培している場合や、大切なネギが根腐れして枯れるトラブルは避けたいものです。実はネギの種類によって最適なタイミングや土寄せの方法は異なり、ちょっとしたコツを知るだけで失敗を防ぐことができます。今回は私が実践している長ネギの溝植えや九条ネギの株分けを含め、美味しいネギを育てるためのポイントをお話しします。
【この記事で分かること】
- 長ネギと葉ネギで異なる最適な植え替えタイミング
- プランター栽培で失敗しないための土の深さと管理
- 根腐れや枯れを防ぐための水やりと植え付けのコツ
- 再生栽培(リボベジ)で長く収穫を楽しむための手順
種類別!ネギの植え替え時期と仕方の基本
ネギと一口に言っても、白い部分を食べる「根深ネギ(長ネギ)」と、緑の葉を食べる「葉ネギ(九条ネギなど)」では、その性質が大きく異なります。ここでは、それぞれの種類に合わせたベストな植え替え時期と、プランターや再生栽培を含めた具体的な方法について、私の経験を交えて解説していきます。
長ネギの溝植えは夏が適期
まず、白い部分を長く育てる「根深ネギ(長ネギ)」ですが、この植え替えの適期はズバリ7月頃の暑い時期です。「えっ、こんな猛暑の真夏に植え替えて枯れないの?」と驚かれることがよくありますが、実はこの「暑さ」を利用することこそが、長ネギ栽培成功の秘訣なんです。
春(3月頃)に種をまいたネギは、7月になると鉛筆くらいの太さ(直径約1cm)に成長します。この時期、ネギは高温に反応して生育が緩慢になる「夏眠(かみん)」という生理現象を起こします。植物が少しお休みしているこの休眠期間を利用して植え替えを行うことで、植え傷みを最小限に抑えることができるんですね。そして、地温が比較的安定している深い土の中に根を配置しておくことで、涼しくなる9月以降の成長期に、スイッチが入ったように一気に太くなり始めます。
溝植え(みぞうえ)の重要性
長ネギ栽培で最も特徴的なのが「溝植え」です。一般的な野菜のように畝(うね)を立てるのではなく、逆に深さ25cm〜30cmほどの深い「溝」を掘ります。この深さが、最終的に私たちが食べる「白い部分(葉鞘)」の長さになります。
クワを使って30cmの垂直な溝を掘るのは、正直言って結構な重労働です。私も最初は「こんなに深く掘る必要があるのかな?」と半信半疑でしたが、この深さがないと、あの立派な白いネギは絶対に作れません。掘り上げた土は、必ず溝の片側(北側か東側)に寄せて山にしておきましょう。これは後々、ネギの成長に合わせて埋め戻すための大切な「貯金」になります。
耕しすぎない方が上手くいく?
ちなみに、植え溝を掘る予定の場所は、直前にフカフカに耕しすぎない方が良いです。土が柔らかすぎると、せっかく掘った垂直な壁が雨や作業中の衝撃で崩れてしまい、植えた苗が埋まってしまうことがあるからです。ある程度締まった土の方が、綺麗な溝をキープしやすいですよ。
九条ネギの株分けと植え付け間隔

一方で、関西地方を中心に愛されている「葉ネギ(九条ネギなど)」は、長ネギとは全く違うアプローチが必要です。こちらの適期は、ネギが最も元気に育つ春(4月〜5月)と秋(9月〜10月)になります。真夏や真冬の過酷な環境を避け、穏やかな気候の時に植え替えるのがセオリーです。
葉ネギ栽培の最大の特徴は、「分げつ(ぶんげつ)」といって、株がどんどん分かれて増えていく性質を持っていることです。そのため、長ネギのように1本ずつ植えるのではなく、2〜4本をひとまとめにした「クラスター植え(まとめ植え)」にするのが最大のコツです。
なぜまとめて植えるのかというと、理由は2つあります。
- 倒伏防止: 互いの根が絡み合い、地上部も支え合うことで、風や雨で倒れるのを防ぎます。
- 品質向上: 適度な競合状態を作ることで、葉が硬くなりすぎず、柔らかくて風味の良いネギに育ちます。
また、株間(苗と苗の間隔)は10cm〜15cmほど確保しましょう。「ちょっと広すぎるかな?」と思うくらいでちょうど良いです。植え付けた当初はスカスカに見えるかもしれませんが、生育旺盛な九条ネギはすぐに分げつして横に広がっていきます。最初から詰め込みすぎると、風通しが悪くなって病気の原因になったり、株張りが悪くなったりするので、将来の成長スペースをあらかじめ空けておくイメージを持ってください。
株分けの手順も簡単です。掘り上げた大きな株を手で引き裂くように分割します。ハサミを使うとウイルス病が伝染するリスクがあるので、私はなるべく手で分けるようにしています。
プランター栽培で必要な土の深さと用土
「畑はないけど、ベランダでネギを育ててみたい!」という方も多いですよね。プランター栽培でも立派なネギは育ちますが、ここで一番のハードルとなるのが「土の深さ」の確保です。
ネギの根は、横に広がるのではなく、真っ直ぐ下に伸びる性質があります。そのため、浅いプランターではすぐに根詰まりを起こしてしまいます。葉ネギであっても深さ20cm以上、長ネギ(根深ネギ)に挑戦するなら、土寄せのスペースも含めて深さ30cm以上の容器が必要不可欠です。
おすすめは「増し土」ができる容器
長ネギをプランターでやる場合、最初は土を少なめに入れて植え付け、成長に合わせて徐々に土を足していく「増し土(ましつち)」という作業を行います。そのため、深型の野菜用プランターはもちろんですが、実は「土嚢袋(どのうぶくろ)」や「米袋」を使った袋栽培が非常に理にかなっています。袋の縁を最初は折り返しておき、土を入れるごとに伸ばしていくことで、簡単に軟白栽培(白い部分を作る作業)ができるからです。
用土の選び方と排水対策
土は市販の「野菜用培養土」で十分ですが、ネギはとにかく湿気が苦手です。プランターは畑に比べて水が溜まりやすいので、鉢底石を通常より厚め(3〜5cm程度)に敷き詰めて、水はけを最強の状態にしておきましょう。受け皿に水を溜めるのは厳禁ですよ!

良い苗の選び方と植え付け前の処理

「苗半作(なえはんさく)」という言葉がある通り、良い苗を選ぶことは栽培の成功を半分約束されたようなものです。自分で種から育てた場合も、ホームセンターで苗束を買ってきた場合も、植え付け前に行うべき「選別」と「調製」の儀式があります。
まず、私が最も時間をかけるのが「サイズの選別」です。掘り上げた苗を、大・中・小の3段階に厳格に分けます。そして植えるときは、同じサイズの苗同士を隣り合わせにします。
「せっかくだから大きい苗と小さい苗を交互に植えよう」というのは、優しさのようでいて実は逆効果です。植物の世界は弱肉強食なので、大きい苗の隣に小さい苗を植えると、光や栄養を奪われて小さい方は枯れてしまうことが多いのです。サイズを揃えることで、畑全体の生育が驚くほど均一になります。
植え付け前の「根」と「葉」の処理
次に、苗の掃除を行います。下葉が枯れて茶色くなっている部分は、病原菌の温床になりやすいので、植え付け前に手で取り除いておきましょう。これをやるだけで、その後の病気発生率がグッと下がります。
根っこに関しては、長すぎる場合はハサミで切り詰めることもあります。これは単に植えやすくするためだけでなく、古い根を切ることで新しい根(新根)の発生を刺激する効果があるからです。ただし、切りすぎは禁物。あくまで「長すぎて作業しづらい場合」の整枝程度に留めておくのが無難です。
再生栽培でリボベジを成功させるコツ

最近、SDGsや節約の観点から注目されている「リボベジ(再生栽培)」。スーパーで買ってきたネギの根元を捨てずに、もう一度収穫するテクニックです。簡単そうに見えて、「すぐに腐ってしまった」「ヒョロヒョロの葉しか出てこない」という失敗談もよく耳にします。
成功率を劇的に上げるためのポイントは、カットする位置です。根元から必ず5cm〜10cmほど残してカットしてください。ネギの新しい葉が作られる「生長点」は、根のすぐ上ではなく、少し上の葉の分岐部分付近にあります。ここをバッサリ切ってしまうと、再生するためのエネルギータンクを失い、そのまま腐敗してしまいます。
| 項目 | 水耕栽培(水につける) | 土耕栽培(土に植える) |
|---|---|---|
| 手軽さ | ◎ コップ一つで開始可能 | △ プランターや土が必要 |
| 再生する品質 | △ 細くて色が薄い、風味が弱い | ◎ 太くて色が濃い、本来の風味 |
| 腐敗リスク | 高い(毎日水換え必須) | 低い(適切な水やりで安定) |
| 収穫回数 | 1回程度が限界 | 追肥すれば数回楽しめる |
断然「土耕栽培」がおすすめ!
水耕栽培は見た目が涼やかですが、夏場は水温が上がってすぐに腐ります。長く、美味しく楽しみたいなら、プランターの土に植え替えるのが正解です。土からの栄養を吸収して、買ってきた時と同じくらい立派なネギが再生しますよ。
失敗しないネギの植え替え時期と仕方のコツ
ここからは、ネギ栽培で多くの人が直面する「枯れる」「腐る」といったトラブルを回避するための、より実践的でディープな技術論に入ります。一般的な野菜作りの常識が、ネギには通用しないこともあるので要注意です。
植え替え直後の水やりを控える理由

これがネギ栽培における最大のパラドックス(逆説)であり、初心者の方が最も戸惑うポイントです。長ネギを夏の暑い盛りに溝植えした直後、私は一切水やりをしません。
「えっ、植え替えで根が傷んでいるのに、水をあげないなんて鬼なの?」と思いますよね。私も最初は不安で仕方ありませんでした。しかし、これには植物生理学に基づいた明確な理由があります。
ネギの根は、他の野菜に比べて酸素要求量が極めて高い臓器です。ただでさえ酸素が薄くなりがちな地中に埋められるわけですが、ここに真夏の高温が加わると状況は深刻になります。もし植え付け直後にたっぷりと水をやってしまうと、真夏の直射日光で土の中の水温が急上昇し、まるで「熱湯風呂」のような状態になります。すると根は酸欠と高温で煮え、一瞬にして細胞が死滅し、腐敗菌が爆発的に増殖します。これが「植え替え直後の枯死」の正体です。
ネギは乾燥に対しては驚異的な耐性を持っています。体内に水分を蓄えているため、数日〜1週間程度水がなくても枯れることはありません。植え付け後は、水やりの代わりに「敷き藁(しきわら)」を溝の中に投入します。藁が直射日光を遮り、適度な湿度を保ってくれるので、水やりなしでも十分に活着(根付くこと)します。「水やりよりも、酸素確保」。これを合言葉にしてください。
成長に合わせた土寄せと追肥のタイミング

植え替えは、あくまでスタートラインに立ったに過ぎません。あの美しい白身(葉鞘)を作るためには、成長に合わせて土を被せていく「土寄せ」という作業が不可欠です。しかし、ここにも大きな落とし穴があります。
それは「焦って土をかけすぎること」です。早く白い部分を長くしたいからといって、一度にドサッと土をかけてしまうと、葉の分かれ目(分けつ部)が土に埋もれてしまいます。この部分はネギの息の根とも言える場所で、ここが埋まると成長がストップするだけでなく、土中の雑菌が入って腐ってしまいます。
土寄せの黄金ルール
土寄せは一度に行わず、3回〜4回に分けて行います。1回目のタイミングは、定植から約1ヶ月後、秋の気配を感じる9月中旬頃です。常に「葉の分岐点より下」まで土を寄せることを意識してください。
追肥(肥料)は、この土寄せのタイミングに合わせて行います。溝の脇(条間)に化成肥料や鶏糞をパラパラとまき、クワや管理機で土と一緒に撹拌しながら株元に寄せます。こうすることで、新しい根が伸びてくる位置にちょうど栄養が供給され、効率よく吸収させることができます。
根腐れや枯れる原因と病気の対策
順調に育っていたはずのネギが、ある日突然、葉先から黄色く枯れ込んでくる…。これは悲しいですが、よくある光景です。原因の多くは、やはり「土の中の環境」にあります。
まず疑うべきは「排水不良」です。ネギは湿気が続くと、根の機能が低下して水分や養分を吸い上げられなくなります。その結果が「葉先枯れ」として現れるのです。もし株を引き抜いてみて、根が褐色に腐っていたり、表皮がズルっと剥けたりする場合は、根腐れや「根腐萎凋病(ねぐされいちょうびょう)」などの土壌病害を疑ってください。
対策として最も効果的なのは、「高畝(たかうね)」にして水はけを確保することです。物理的に根の位置を高くし、雨水がたまらないようにするだけで、病気のリスクは激減します。また、酸性土壌を嫌うので、植え付け前の石灰によるpH調整も忘れずに行いましょう。
地上部の病気としては、オレンジ色の斑点が出る「さび病」や、カビが生える「ベト病」が厄介です。これらは「風通しの悪さ」と「肥料(窒素)のやりすぎ」が主な誘因です。欲張って密植しすぎず、適切な株間を守ることが、農薬に頼らない一番の予防策になります。
(出典:JA埼玉中央『根深ネギの上手な植え方』)
覆土の厚さは浅くするのが重要
最後に、植え付け作業そのものにおける最重要ポイントをお伝えします。それは、根深ネギの溝植えにおける「覆土(ふくど)」の厚さです。
深い溝の中に苗を並べた後、どれくらい土をかけますか? 不安になって、しっかりと根が隠れるまで厚く土をかけてしまいがちですが、これが失敗の元です。正解は、「根元にわずか2cm〜3cm程度」。本当に、根っこが隠れるか隠れないかギリギリの薄さで良いんです。
土をかけたら、足で株元をギュッと踏んで鎮圧(ちんあつ)し、苗が倒れないように固定します。「え、溝を埋め戻さないの?」と驚かれますが、最初は溝は開けたままで良いのです。いきなり厚く土をかけると、根が呼吸できずに窒息してしまいますし、土の重みで生育が遅れます。
最初は浅く植えて、ネギが伸びるスピードに合わせて、人間が追いかけるように少しずつ土を足していく。この「植物のペースに合わせる」という姿勢こそが、ネギ栽培の極意だと私は思います。
ネギの植え替え時期と仕方の総まとめ
今回は「ネギの植え替え時期と仕方」について、かなり深掘りしてお話ししました。長ネギと葉ネギの違い、プランターでの工夫、そして水や土寄せのタイミング。これら全ての根底にあるのは、「ネギの根っこは酸素が大好き」という単純な事実です。
長ネギなら夏の休眠期を利用して浅く植え、あえて水を控えて酸素を確保する。葉ネギなら春や秋の適期にクラスター植えで競合させる。この基本原理さえ理解していれば、細かいテクニックで迷うことはなくなります。
スーパーで買うネギも便利ですが、冬の鍋に入れた時の、あのトロトロにとろける自家製ネギの甘さは、栽培した人にしか味わえない特権です。多少曲がっていても、太さが不揃いでも、自分で育てたネギの味は格別です。ぜひ、今回の記事を参考にして、失敗を恐れずにネギの植え替えにチャレンジしてみてくださいね。畑で、プランターで、美味しいネギが育つことを応援しています!

