畑にアリが多いと、「野菜の根を食べられないかな」「このまま放置して大丈夫?」と心配になりますよね。苗の根元や畝の上にアリの行列ができていると、すぐに駆除した方がよいようにも見えます。
ただし、畑にいるアリは、見つけたら必ず退治しなければならない害虫ではありません。土の中に巣を作ったり、小さな虫の死骸を運んだりする一方で、アブラムシを守って被害を広げることもあります。
大切なのは、アリの数だけで判断せず、作物に被害が出ているかを確認することです。
先に結論
アリだけが歩いていて、作物に変化がなければ、慌てて駆除しなくてもよい場合が多いです。一方、アリの行列の先にアブラムシがいる、苗の根元に大きな巣がある、収穫物に集まっているといった場合は対策を始めましょう。
この記事では、畑にアリが多くなる原因、野菜への影響、駆除が必要なケース、薬剤をできるだけ使わない対処法まで順番に解説します。
- 畑にアリが多くなる主な原因
- 放置してもよいケースと対策が必要なケース
- アリの行列からアブラムシを見つける方法
- 作物を傷めにくい対処法
- アリの巣コロリやコーヒーかすを使う際の注意点
畑にアリが多いのはなぜ?まず確認したい原因
- 畑のアリは必ずしも害虫ではない
- アブラムシやカイガラムシが発生している
- 乾いた場所や資材の下が巣になっている
- 熟した実や野菜くずが残っている
- 巣が作物の根元に近すぎる
そもそも畑のアリは害虫なの?

畑にアリがいるからといって、すぐに害虫と決めつける必要はありません。アリは畑にとって良い面と困る面の両方を持っています。
アリは地中に通路や巣を作り、土や有機物を移動させます。また、昆虫の死骸などを運ぶ種類もいるため、畑の生態系を構成する生き物の一つです。
数匹のアリを見かけただけなら、作物の葉や根元に異常がないかを観察するところから始めれば大丈夫ですよ。
一方で、畑で問題になりやすいのが、アリとアブラムシの関係です。
アブラムシは植物の汁を吸い、糖分を含む甘露を出します。アリはこの甘露をエサにするため、アブラムシの周りに集まり、種類や状況によっては天敵からアブラムシを守ることがあります。
その結果、アブラムシが減りにくくなり、葉の縮れ、生育不良、すす病などにつながることがあるのです。
アリより先にアブラムシを確認
アリが茎を繰り返し上り下りしている場合は、新芽、葉の裏、つぼみ、葉の付け根を見てください。小さなアブラムシが集まっているなら、アリだけを追い払うより、アブラムシへの対策を優先した方が根本的です。
畑の虫には、作物を食べる面と有機物を分解する面を併せ持つものもいます。虫をすべて排除するのではなく、被害の有無で判断する考え方については、以下の記事も参考になります。
アブラムシやカイガラムシが発生している
畑にアリが急に増えたとき、最初に疑いたいのがアブラムシやカイガラムシの発生です。
これらの虫は作物の汁を吸い、甘露を出します。アリにとって甘露は魅力的なエサなので、虫が増えるとアリも集まりやすくなります。
特に確認したい場所は、次のとおりです。
- やわらかい新芽
- 葉の裏側
- つぼみや花の付け根
- 茎の分かれ目
- 葉が縮れたりベタついたりしている部分
葉の表面がベタベタしている、黒いすすのような汚れが付いている、アリが同じ茎を何度も往復している場合は、吸汁性害虫が隠れていないか丁寧に見てみましょう。
乾いた場所や資材の下が巣になっている
畝の肩、畑の通路、石の下、木の板の下、防草シートやマルチの端などは、アリが巣を作りやすい場所です。
雨が直接入りにくく、外敵からも隠れやすいため、資材を長期間動かしていない場所には巣ができることがあります。
ただし、畑が乾いているから必ずアリが増えるとは限りません。アリの種類、土質、周囲のエサ、雨の当たり方など、いくつもの条件が関係します。
水やりのしすぎは避ける
アリを減らしたいからといって、畑全体を必要以上に湿らせるのはおすすめできません。過湿になると根腐れや病気につながることがあります。水やりは、育てている作物と土の乾き具合に合わせましょう。
熟した実や野菜くずが残っている
畑に落ちた果実、割れたトマト、収穫後の甘い野菜くずなども、アリが集まる原因になります。
特に夏場は傷んだ実が発酵しやすく、アリだけでなく、ハエやハチなどが寄ってくることもあります。
収穫できなかった実や傷んだ野菜は、畑に放置せず、こまめに片付けましょう。雑草をすべてなくす必要はありませんが、資材の周辺や畝の際を整理すると、アリの通り道や巣穴を見つけやすくなります。
巣が作物の根元に近すぎる

一般的なアリの多くは、健康な野菜の根を積極的に食べる虫ではありません。そのため、畑に巣があるだけで、すぐに作物が枯れると考える必要はないでしょう。
ただし、発芽したばかりの苗や根が浅い作物のすぐ横に大きな巣ができると、土が細かく動かされ、株元が浮いたり乾きやすくなったりすることがあります。
次のような状態なら、巣の位置を確認して対処した方が安心です。
- 苗の株元から土が繰り返し運び出されている
- 水やり後も株元の土だけが崩れる
- 根鉢の周囲に空洞ができている
- 苗が傾いたり、ぐらついたりしている
- プランターの中に大量のアリが出入りしている
なお、種が発芽しない原因は、水分不足、播種の深さ、地温、古い種、鳥やナメクジなども考えられます。アリが種を運ぶ可能性はありますが、発芽不良をすべてアリのせいにせず、ほかの条件も確認してください。
畑で見かけるアリの種類と見分け方
黒いアリは種類を断定しにくい

畑でよく見かける黒っぽいアリには、クロヤマアリの仲間、トビイロケアリの仲間など、さまざまな種類がいます。
色だけで種類を見分けるのは難しく、体の大きさ、胸部や腹部の形、触角、巣の場所、歩き方などを確認する必要があります。
家庭菜園で数匹見かけただけなら、無理に種類を特定する必要はありません。まずは、アブラムシを守っているか、作物の根元に巣を作っているか、人を刺したりかんだりするかを確認しましょう。
非常に小さいアリはヒメアリとは限らない
畑や家の周りで見かける非常に小さなアリとしては、ヒメアリやイエヒメアリなどが知られています。
ただし、小さいという特徴だけでヒメアリやイエヒメアリと断定することはできません。日本には数mmほどの小型のアリが複数生息しており、肉眼だけで正確に見分けるのは難しいためです。
ヒメアリとイエヒメアリは別の種類
名前が似ていますが、ヒメアリとイエヒメアリは同じアリではありません。野外で見つけた小型のアリを、まとめて「イエヒメアリ」と呼ばないようにしましょう。
小型のアリが家の中まで続いている場合は、次の点を確認してください。
- 行列が屋外から続いているか
- 壁や床の隙間から出入りしているか
- 砂糖だけでなく油や肉にも集まるか
- 植木鉢や木材の下に巣がないか
- 複数の部屋で繰り返し見かけるか
室内で大量に発生している場合は、畑だけの問題ではなく、建物内や基礎周辺に巣がある可能性も考えられます。巣の位置が分からないままスプレーを繰り返すと、一時的に姿が見えなくなっても再発することがあります。
ヒメアリの巣はどこにできる?

ヒメアリは、屋外では朽ち木、木の空洞、樹皮の隙間などに巣を作ることがあります。畑の周辺では、古い木材や資材の隙間も確認してみましょう。
小型のアリ全般が隠れやすい場所としては、次のような場所があります。
- 石やブロックの下
- 木の板や支柱の割れ目
- マルチシートや防草シートの端
- 植木鉢や育苗ポットの下
- 腐食した木製の畝囲い
- 物置や建物の基礎付近
資材を持ち上げた瞬間に大量のアリや卵のようなものが見えた場合は、そこが巣になっている可能性があります。素手で触らず、まず種類や周囲の状況を確認してくださいね。
アルゼンチンアリなどの外来アリにも注意
アルゼンチンアリは特定外来生物に指定されており、在来のアリを排除するなど、生態系への影響が問題になっています。
ただし、小さく茶色いアリを見ただけでアルゼンチンアリと断定することはできません。大規模な行列が長期間続く、周辺で同じアリが非常に多いなど、気になる特徴がある場合は、自治体の環境担当窓口などへ相談すると安心です。
また、赤茶色で攻撃的なアリや、見慣れないアリの集団を見つけた場合は、むやみに巣を踏んだり、熱湯をかけたりしないでください。ヒアリなどが疑われる場合は、環境省の案内に従って相談しましょう。
見慣れないアリの巣をむやみに刺激しない
種類が分からない大量のアリを見つけたときは、近づきすぎず、離れた場所から写真を撮ってください。特に刺す、かむ、巣を刺激すると一斉に出てくるといった場合は注意が必要です。
畑にアリが多いときは駆除すべき?判断の目安
アリを見つけたときは、次の表を目安にすると判断しやすくなります。
| 畑の状態 | おすすめの対応 |
|---|---|
| アリが数匹歩いているだけ | すぐに駆除せず、数日観察する |
| 茎を上り下りし、葉裏にアブラムシがいる | アブラムシ対策を優先する |
| 苗の根元に巣があり、土が崩れている | 苗を傷めない方法で巣を移動・縮小させる |
| 通路や畑の外周に巣がある | 作物への被害がなければ様子を見ることも可能 |
| 熟した実や傷んだ果実に集まっている | 実や残渣を片付け、エサをなくす |
| 人を刺す、かむ、見慣れない種類が大量にいる | 触らずに自治体や専門窓口へ相談する |
アリだけで被害がなければ様子見でもよい
アリが畑の通路を歩いているだけで、作物にアブラムシがいない、苗も元気、収穫物にも集まっていないという状態なら、急いで駆除しなくてもよいでしょう。
アリをすべて駆除しようとすると、ほかの昆虫や土の中の生き物まで影響を受けることがあります。数が多く見えても、近くに一つの巣があり、同じ働きアリが行き来しているだけかもしれません。
私は、アリの数そのものよりも、次の3点を見るのが分かりやすいかなと思います。
- 作物に目立った被害があるか
- アリが何を目的に集まっているか
- 巣が作物や人の生活場所に近すぎないか
アブラムシがいる場合は先に取り除く
アリの行列の先にアブラムシがいる場合は、アリを追い払うだけでは根本的な解決になりません。
アブラムシが少ないうちは、次のような物理的な方法から始められます。
- 粘着テープで少しずつ取り除く
- やわらかいブラシで落とす
- 株が耐えられる範囲で水を当てて洗い流す
- 被害が集中した葉や新芽を取り除く
- シルバーマルチなどで新たな飛来を抑える
水で落とす場合は、葉や茎を傷めない強さにしてください。落としたアブラムシが再び戻らないよう、株元や周囲も確認しましょう。
数が多く、物理的な除去では追いつかない場合は、育てている作物とアブラムシ類に適用のある農薬を確認します。天然成分や食品成分と書かれていても、作物や使用方法を確認せずに使わないことが大切です。
苗の根元にある巣は少しずつ崩す
苗のすぐ近くに巣があり、土が崩れている場合は、いきなり大量の水や熱湯をかけるのではなく、作物を守りながら少しずつ対処します。
まず、苗の根が露出していないか確認してください。根が見えている場合は、周囲の土をそっと戻し、株元を軽く押さえて安定させます。
そのうえで、作物を傷めない範囲で巣の表面を軽く崩し、アリが同じ場所へ戻るか観察しましょう。一度で巣全体を壊そうとすると、苗の根まで傷めることがあります。
熱湯は作物の近くで使わない
熱湯はアリに即効性がありますが、野菜の根や茎、土の中の生き物にも影響します。畝や株元では使用せず、どうしても使う場合も、作物から十分離れた舗装部分や通路などに限って慎重に判断してください。
プランターの中に巣がある場合
プランターの底穴からアリが何度も出入りしている場合は、鉢土の中に巣がある可能性があります。
まず、受け皿に水がたまっていないか、鉢底に傷んだ根や虫の死骸がないかを確認してください。アブラムシやカイガラムシが株に付いている場合は、そちらも一緒に対処します。
植え替えできる時期で、根が大きく傷んでいない場合は、新しい培養土へ植え替える方法もあります。ただし、真夏や収穫直前など、植え替えが大きな負担になる時期は無理をしない方がよいでしょう。
薬剤を使わずにできる畑のアリ対策

野菜を育てている場所では、できるだけ作物や土への負担が少ない方法から試したいですよね。
ただし、「天然だから安全」「家庭にあるものだから畑に使ってよい」とは限りません。効果が不明なものを何度もまくより、アリが集まる原因を一つずつ取り除く方が確実です。
| 対策 | 期待できること | 注意点 |
|---|---|---|
| アブラムシを取り除く | アリの主なエサ源を減らせる | 葉裏や新芽まで確認する |
| 落果や野菜くずを片付ける | アリが集まるエサを減らせる | 腐敗したものは畑に放置しない |
| 資材の位置を見直す | 巣になりやすい場所を減らせる | 作物を支える資材は無理に撤去しない |
| 巣の表面を軽く崩す | 同じ場所への定着を妨げられる | 根の近くを深く掘らない |
| 株元を観察しやすくする | アブラムシや巣穴を早く発見できる | 土を裸にしすぎて乾燥させない |
アリの通り道をたどる
アリを見つけたら、すぐに踏みつぶすより、どこから来てどこへ向かっているのかを数分観察してみましょう。
行列をたどると、次のような原因が見つかることがあります。
- 葉裏にいるアブラムシ
- 割れて汁が出た果実
- 収穫後に残った野菜くず
- 木材や石の下にある巣
- 畑の外に置いたゴミや飲食物
原因が分かれば、畑全体に何かをまく必要はありません。アリが集まる場所だけを片付けたり、アブラムシがいる株だけを対処したりできます。
木や果樹を上るアリは物理的に遮る
果樹や太い支柱をアリが上っている場合は、粘着式の防虫資材などで通り道を遮る方法があります。
ただし、粘着物を樹皮へ直接塗ると木を傷めることがあります。製品の説明に従い、保護材を巻いた上から設置するなど、幹に負担をかけない方法を選びましょう。
アリの通行を止めても、葉の上に残ったアブラムシがすぐに消えるわけではありません。必ずアブラムシの除去とセットで行ってください。
酢や木酢液は積極的にすすめにくい
酢や木酢液のにおいを嫌って、アリが一時的に進路を変えることは考えられます。ただし、巣全体を退治できる方法ではなく、雨や水やりで流れると効果も続きません。
濃い液を作物や土へかけると、葉や根を傷める可能性があります。酸性の液体を繰り返しまくことで、土壌環境へ影響することも考えられます。
食酢なら何にでも使えるわけではない
食酢は農薬制度上の取り扱いが一般的な家庭用殺虫剤とは異なりますが、だからといって、濃度や作物への影響を考えず自由に散布してよいわけではありません。アリ対策としては効果が安定しないため、まずはエサ源の除去やアブラムシ対策を優先しましょう。
食器用洗剤を畑にまくのは避ける
食器用洗剤を薄めてアリへかける方法も紹介されることがありますが、畑ではおすすめしにくい方法です。
家庭用の食器用洗剤は、植物へ使用することを前提に作られた製品ではありません。濃度や成分によっては、葉の表面を傷めたり、土へ流れ込んだりする可能性があります。
害虫に使う場合は、家庭用洗剤を代用するのではなく、対象作物への使用が認められた製品を選んでください。
手作りのホウ酸団子は畑に置かない
砂糖とホウ酸などを混ぜた手作りの毒餌は、アリが巣へ持ち帰る可能性があります。しかし、畑では子ども、ペット、野生動物、ほかの昆虫が触れるおそれがあります。
濃度や設置量も安定しないため、家庭菜園の土の上へむき出しで置くのは避けた方が安心です。
ベイト剤を使用する場合は、自作せず、使用場所や対象害虫が明記された製品を選び、ラベルどおりに使いましょう。
アリの巣コロリは畑で使って大丈夫?
アリの駆除剤として知られている「アリの巣コロリ」ですが、畑で使う場合は、製品名だけで判断しないことが大切です。
同じシリーズでも製品によって使用できる場所や注意事項が異なる可能性があります。「庭用」「園芸用」と書かれていても、育てている野菜の株元や畝の中に自由に置いてよいとは限りません。
使用前に確認する項目
- 使用できる場所に「畑」または「畑まわり」が含まれているか
- 作物や食用部分へ薬剤が触れないか
- 雨や水やりで薬剤が流れ込まないか
- 子どもやペットが触れない場所か
- 収穫物や収穫用の容器を汚染しないか
家庭用のアリ駆除剤は、不快害虫用の殺虫剤として販売されているものが多く、農作物へ直接使用する農薬とは扱いが異なります。
そのため、「アリに効くから」という理由だけで、野菜の葉、茎、実、株元の土へ薬剤をまくのは避けてください。
一方、製品のラベルで「畑まわり」などへの設置が認められている場合は、その範囲と使用方法を守って設置します。畑まわりに置けることと、栽培中の畝や作物へ直接使えることは同じではありません。
農薬を使う場合は対象作物まで確認
農薬として登録された製品でも、すべての野菜や害虫に使えるわけではありません。農薬登録番号、対象作物、対象害虫、使用量、使用時期、使用回数をラベルで確認してください。
登録内容は変更されることがあります。薬剤を購入・使用する前に、農林水産省の農薬登録情報提供システムやメーカーの最新情報を確認すると安心です。
アリの巣にコーヒーかすをまく効果はある?

薬剤を使わないアリ対策として、「コーヒーかすをまくとアリが来なくなる」という方法を見かけることがあります。
コーヒーかすのにおいによって、アリの通り道が一時的に変わる可能性はあります。しかし、畑にいるアリの巣を根絶できるほど、安定した効果が確認された方法とはいえません。
雨が降ればにおいは弱まり、アリが別の通路を作ることもあります。そのため、コーヒーかすだけでアリ対策を終わらせるのは難しいでしょう。
コーヒーかすを土へ大量に混ぜない
使用済みコーヒーかすをそのまま畑へ大量に混ぜると、植物の生育へ悪影響を与える可能性があります。アリ対策と土づくりを兼ねられると考えて、株元へ何度も追加するのは避けましょう。
湿ったコーヒーかすを厚く敷くと、固まったり、カビが生えたりすることもあります。どうしても再利用したい場合は、アリ駆除剤として直接まくより、ほかの材料と一緒に十分に堆肥化してから土づくりに利用する方が無難です。
ただし、堆肥化した場合でも、アリを追い払う効果を目的に使うものではありません。
石灰をまけばアリが来なくなる?
「アリは酸性の土を好むので、苦土石灰をまけばいなくなる」と説明されることがありますが、アリ対策だけを目的に石灰をまくのはおすすめできません。
苦土石灰や消石灰は、本来、土壌の酸度を調整するために使う資材です。育てる野菜によって適したpHが異なるため、アリがいるという理由だけでまくと、土がアルカリ性へ傾きすぎる可能性があります。
石灰は土のpHを測ってから
石灰を使う場合は、まず土壌酸度計や試験紙などでpHを確認しましょう。作物に合った範囲から外れている場合に、必要な量だけ施します。
ジャガイモのように比較的酸性寄りの土を好む作物もあれば、ホウレンソウのように酸性土壌を苦手とする作物もあります。石灰の量を一律に決めることはできません。
土のpHや石灰の使い方が分からない場合は、以下の記事で基本から確認できます。
畑にアリが来にくくなる環境を作る方法

アリを一匹ずつ駆除するよりも、エサや巣になりやすい場所を減らす方が再発防止につながります。
週に一度は新芽と葉裏を見る
アブラムシは少数のうちなら取り除きやすいですが、気付かずに放置すると短期間で数が増えることがあります。
水やりや収穫のついでに、新芽と葉裏を確認しましょう。アリが茎を上っていたら、その先をたどるだけでも早期発見につながります。
落果や傷んだ野菜を片付ける
食べられなくなった実や収穫残渣を畑へ放置すると、アリやほかの虫のエサになることがあります。
病気が疑われる葉や実は、堆肥へ入れず、畑の外で適切に処分した方がよい場合もあります。健康な残渣を利用する場合も、通路や株元へ積み上げたままにしないようにしましょう。
木材や資材を長期間置きっぱなしにしない
木の板、育苗ポット、空の植木鉢、ビニール、ブロックなどを地面へ長期間置いていると、その下が巣になることがあります。
定期的に位置を変え、腐食した木材は交換しましょう。ただし、資材の下に見慣れないアリが大量にいる場合は、素手で触らないでください。
水やりは作物に合わせて行う
土が極端に乾き、苗がしおれている場合は、アリ対策とは別に水分管理を見直す必要があります。
一方、アリを追い出すために毎日大量の水をまくと、根腐れや病気を招くことがあります。表面だけで判断せず、数cmほど土を確認し、作物に必要なタイミングで水やりをしましょう。
一度の対策で完全にいなくしようとしない
アリの巣は地中に広がっているため、表面の働きアリを退治しても、しばらくすると再び出てくることがあります。
一度で完全にいなくしようと強い方法を使うより、次の順番で確認する方が作物への負担を抑えられます。
- アリの行列をたどる
- アブラムシやエサを取り除く
- 苗の根元にある巣だけを対処する
- 数日後に再び観察する
- 改善しない場合にラベル確認済みの製品を検討する
畑のアリに関するよくある疑問
畑のアリは野菜の根を食べますか?
一般的なアリの多くは、健康な野菜の根を主食にしているわけではありません。
ただし、根元に大きな巣を作ることで土が動き、根が乾きやすくなることは考えられます。また、根に付いたアブラムシ類などを目的に集まっている可能性もあります。
株が弱っている場合は、アリだけでなく、根腐れ、コガネムシの幼虫、ネキリムシ、水不足なども確認してください。
畑にアリの巣があっても放置できますか?
作物から離れた通路や畑の外周にあり、野菜にも人にも被害がなければ、様子を見る選択肢もあります。
苗の根元、収穫物の近く、子どもが触る場所、作業中に何度もかまれる場所にある場合は対策を検討しましょう。
アリが急に増えたのは地震の前兆ですか?
アリの活動が増えたからといって、地震の前兆と判断することはできません。
気温、雨、巣の移動、繁殖の時期、エサの増加などによって、急にアリが目立つことがあります。まずは畑の中にアブラムシや落果がないかを確認しましょう。
羽アリが畑にたくさんいるのはなぜですか?
アリの種類によっては、繁殖の時期に羽のある雄や新しい女王が巣から飛び立ちます。一時的に大量に見えても、そのまま全個体が畑へ住み着くとは限りません。
ただし、建物の近くで大量の羽アリが出た場合は、普通のアリではなくシロアリの可能性もあります。胴体のくびれ、触角、羽の形などが異なるため、種類が分からない場合は写真を撮って専門家へ確認すると安心です。
アリを完全に来なくする方法はありますか?
屋外の畑で、アリを一匹も来なくするのは現実的ではありません。周囲の地面や草地にも巣があり、エサを探して移動するためです。
完全に排除するより、アブラムシを増やさない、収穫物へ集めない、苗の根元に巣を作らせないという考え方の方が続けやすいですよ。
結論:畑にアリが多いときは被害を見て対策しよう
- 畑にアリがいるだけで、すぐに害虫と判断する必要はない
- 作物に被害がなければ、まず数日観察する
- アリが茎を上っている場合はアブラムシを確認する
- アブラムシがいる場合は、アリより先に取り除く
- 葉裏、新芽、つぼみ、茎の付け根を重点的に見る
- 傷んだ果実や野菜くずは畑に放置しない
- 苗の根元に巣がある場合は、根を傷めないよう少しずつ対処する
- 熱湯は野菜の根や土の生き物も傷めるため株元では使わない
- 小さいアリを見ただけでヒメアリやイエヒメアリと断定しない
- ヒメアリとイエヒメアリは別の種類
- 見慣れない攻撃的なアリの巣はむやみに刺激しない
- アリの巣コロリは製品ごとに使用できる場所を確認する
- 「畑まわり」で使える製品でも、作物へ直接使えるとは限らない
- 農薬は対象作物、害虫、使用量、時期、回数まで確認する
- コーヒーかすによるアリ対策の効果は安定していない
- コーヒーかすを作物の株元へ大量に混ぜない
- 石灰はアリ対策ではなく、土壌のpH調整を目的に使う
- 石灰をまく前に、育てる作物と現在のpHを確認する
- 食器用洗剤や手作りホウ酸団子を畑へ安易に使わない
- アリの行列をたどり、集まる原因を取り除くことが基本
畑にアリが多くても、作物が元気なら慌てる必要はありません。まずはアリの行列をたどり、アブラムシ、傷んだ実、巣の位置を確認してみてください。
原因が分かれば、畑全体へ薬剤をまかなくても、必要な場所だけ対処できます。アリを完全にいなくすることより、野菜への被害を防ぎながら付き合うことを目指してみましょう。

