家庭菜園できゅうりを育てていると、「収穫時期はいつからいつまでなんだろう?」「せっかくなら一番おいしい時期に、できるだけ長く収穫したい」と誰もが思いますよね。特に、夏本番になると日に日に大きくなるきゅうりを見て、夏キュウリはいつまで収穫できるのか、そして栽培の終わりを見極めるきゅうりが終わるサインは何か、といった点は非常に重要なポイントです。この記事では、きゅうりの栽培期間全体を丁寧に見通し、栽培成功の鍵となる適切な植え付け時期から、株を元気に保つための収穫方法、収穫のベストタイミングを示すきゅうりの大きさまで、一歩踏み込んで詳しく解説します。さらに、ベランダ栽培の方向けのプランターでの育て方のコツや、気になるきゅうりは1株から何本採れるのかという疑問、さらには意外と知らないキュウリの近くに植えてはいけないものは何かについても、具体的な理由とともにご紹介します。この記事を読めば、あなたのきゅうり栽培がもっと楽しく、そして収穫量もアップするはずです。
- きゅうりの基本的な栽培期間と収穫スケジュール
- 収穫のタイミングを見極めるきゅうりの大きさとサイン
- 収穫量を増やすための育て方のコツと注意点
- きゅうり栽培の終わりを見極める具体的なサイン
きゅうりの収穫時期はいつからいつまで?基本情報
- 栽培開始の目安となる植え付け時期
- 一般的なきゅうりの栽培期間
- プランターでのきゅうりの育て方のコツ
- きゅうりの近くに植えてはいけないものは何?
- きゅうりは1株から何本採れるかの目安
- 株を傷めない正しい収穫方法
- 収穫に適したきゅうりの大きさ
栽培開始の目安となる植え付け時期

きゅうり栽培を成功へと導くための最も重要な第一歩は、最適な時期に植え付けを行うことです。栽培計画を立てる上で、きゅうりの植え付け時期は主に「春植え」と、収穫時期をずらして長く楽しむための「夏植え(秋どり)」の2つの大きなタイミングがあります。
最も一般的な「春植え」
家庭菜園で最もポピュラーなのが春植えです。一般的に、4月下旬から5月上旬にかけてが植え付けの適期とされています。この時期に植え付けることの最大のメリットは、植物の生育が旺盛になる初夏の気候と、豊富な水分を供給してくれる梅雨の時期を最大限に活用できる点です。これにより、苗は順調に成長し、6月下旬から8月にかけて収穫の最盛期を迎えることができます。ただし、きゅうりは熱帯アジア原産の野菜で寒さに非常に弱いため、八十八夜(5月2日頃)を過ぎ、遅霜の心配が完全になくなった頃を見計らって植え付けるのが失敗しないための鉄則です。
植え付け時期の注意点:焦りは禁物!
春植えの場合、「早く収穫したい」という気持ちから焦って早く植え付けてしまうのは絶対に避けましょう。まだ気温が十分に上がりきっていない時期に植えると、苗の根の張りが悪くなり、成長が著しく停滞する「生育不良」に陥ります。最悪の場合、予期せぬ遅霜によって一晩で苗が枯れてしまう可能性も否定できません。大手種苗メーカーのタキイ種苗のウェブサイトなども参考に、お住まいの地域の平均気温や過去の気象情報を確認し、夜間の最低気温が安定して10℃〜12℃を下回らなくなってから植え付けるようにしましょう。
長く楽しむための「夏植え(秋きゅうり)」
一方、夏植えは7月中旬から8月上旬にかけて行います。これにより、9月から10月、耐寒性のある品種を選べば11月頃まで収穫を続けることができます。これを一般的に「秋きゅうり」と呼び、夏きゅうりの収穫が終わる頃に再び新鮮なきゅうりを楽しめるのが大きな魅力です。ただし、夏植えの場合は最も気温が高い時期に苗を育てることになるため、こまめな水やりによる水切れ対策や、活動が活発になるアブラムシやウリハムシなどの害虫対策が春植え以上に重要になります。
このように、ご自身の栽培スタイルやいつ収穫のピークを迎えたいかに合わせて植え付け時期を計画することで、長期間にわたってきゅうりの収穫を楽しむことが可能になります。
一般的なきゅうりの栽培期間
きゅうりの栽培期間は、苗の植え付けから最後の収穫が終わるまで、およそ2ヶ月から3ヶ月と、トマトやナスといった他の主要な夏野菜と比較して短いのが大きな特徴です。この短期間に凝縮された生育スピードこそが、きゅうり栽培の醍醐味であり、注意すべき点でもあります。
具体的に春植えのスケジュールを見てみると、5月上旬に苗を植え付けた場合、約1.5ヶ月後の6月中旬〜下旬には最初の収穫が始まります。そこから約2ヶ月間、次々と実をつけ続け、株の勢いが最も盛んになる7月中旬〜8月上旬に収穫のピークを迎えます。そして、8月下旬から9月上旬頃には、多くの株がその役目を終え、寿命を迎えることになります。このサイクルはあくまで一般的な目安であり、栽培地の気候、土壌の状態、日々の手入れの質、そして選択する品種によって期間は前後します。
品種の特性が栽培期間を決める!
きゅうりの品種は、実のなり方によって大きく2つのタイプに分けられ、これが栽培期間に直接影響します。
- 節成りタイプ:親づる(主茎)のほぼ全ての節に雌花がつき、次々と実がなるタイプです。代表的な品種に「夏すずみ」や「シャキット」があります。初期からたくさんの実を収穫できますが、その分、株がエネルギーを大量に消費して疲れやすく、栽培期間は短くなる傾向があります。
- 飛び節成りタイプ:親づるの節ごとにとびとびに雌花がつくタイプです。昔ながらの品種や地這い栽培用の「ときわ地這」などがこれにあたります。収穫開始は節成りタイプに比べて少し遅れますが、一度に多くの実をつけないため株の消耗が少なく、より長期間にわたって安定して収穫できるのが最大の利点です。
短期間で集中してたくさん収穫したいのか、それとも家庭菜園で長く少しずつ収穫を楽しみたいのか。ご自身の栽培スタイルや目的に合わせて品種を選ぶことが、満足のいくきゅうり栽培への近道となります。
プランターでのきゅうりの育て方のコツ

「庭や畑はないけれど、採れたての新鮮なきゅうりを味わいたい」という方には、ベランダなどの省スペースで楽しめるプランター栽培が最適です。いくつかの重要なポイントさえ押さえれば、地植えにも負けない美味しいきゅうりを十分に収穫することが可能です。
1. プランターの大きさと土選び
まず最も大切なのが、きゅうりの根がのびのびと成長できる環境を整えることです。きゅうりは比較的根を浅く広く張る性質があるため、深さが30cm以上、容量が20L以上ある大型のプランターを選びましょう。サイズが小さいと、水切れや肥料切れを起こしやすくなり、生育不良の原因となります。土は、排水性と保水性に優れ、初期育成に必要な肥料分がバランス良く配合された市販の「野菜用培養土」を使用するのが最も手軽で確実です。

2. 水やりと追肥の徹底管理
次に重要なのが、水と栄養の管理です。文部科学省の日本食品標準成分表2020年版(八訂)によると、きゅうりの果実の水分は約95%を占めており、栽培期間中は絶対に水切れさせてはいけません。特にプランターは土の量が限られ乾燥しやすいため、真夏は朝の涼しい時間帯と、日中の熱が冷めた夕方の2回、プランターの底から水が流れ出るまでたっぷりと水を与えるのが基本です。追肥は、最初の実がなり始めた頃をスタートの合図とし、その後は2週間に1回程度のペースで化成肥料や液体肥料を与え、栄養が途切れないようにします。

プランターの水やりの注意点
夏場の暑い日中に水やりをすると、プランター内の水が熱湯のようになってしまい、根を傷める「根腐れ」の原因になります。水やりは必ず涼しい時間帯に行いましょう。また、受け皿に溜まった水は、根の呼吸を妨げたり、病害虫の発生源になったりするため、その都度捨てるようにしてください。
3. 支柱立てと誘引
プランター栽培では、つるを上手に伸ばしていくための支柱が必須です。1つのプランターに3本の支柱を立てて上部で束ねる「あんどん仕立て」や、ベランダのフェンスなどを利用してきゅうりネットを張る方法が一般的です。つるが伸びてきたら、こまめに麻ひもなどで8の字に優しく結びつけ、上へ上へと誘引してあげましょう。これにより、葉や実にまんべんなく日光が当たり、風通しも良くなって病気の予防にも繋がります。
これらの基本的なコツを丁寧に実践することで、プランターでも次々と実がなる元気なきゅうりを育てることができます。

きゅうりの近くに植えてはいけないものは何?

家庭菜園で複数の野菜を同時に育てる際には、それぞれの野菜の相性を考える「植え合わせ(コンパニオンプランツ)」と、同じ場所での連続栽培を避ける「連作障害」への対策が非常に重要になります。特定の科の植物を同じ土壌で続けて栽培すると、その植物を好む土壌病害の病原菌の密度が高まったり、特定の栄養素ばかりが土から吸収されてバランスが崩れたりすることで、著しく生育が悪くなる現象を連作障害と呼びます。
きゅうりはウリ科の植物であり、この連作障害が非常に出やすい野菜の一つとして知られています。そのため、きゅうりを育てた場所やその翌年には、同じウリ科の植物を植えるのは避けるべきです。
連作を避けるべきウリ科の仲間たち
きゅうりだけでなく、同じウリ科に属する以下の野菜は、互いに連作障害を引き起こす可能性があります。最低でも2〜3年は同じ場所での栽培を避ける「輪作(りんさく)」を計画するのが理想です。
- スイカ
- カボチャ (ズッキーニも含む)
- ゴーヤ (ニガウリ)
- メロン
逆に、一緒に植えることで互いの成長を助けたり、病害虫を遠ざけたりする良い影響を与え合う「コンパニオンプランツ」も存在します。きゅうりの場合、代表的なのがネギ、ニラ、ニンニクといったネギ類です。これらの植物の根に共生する拮抗菌(きっこうきん)という微生物が、きゅうりの大敵である「つる割病」の病原菌の活動を抑制する効果があるとされています。株元に数本ネギを植えておくだけで、農薬に頼らずに病気のリスクを減らすことが期待できます。
「ベランダや小さな畑で、どうしても同じ場所でしか栽培できない…」という状況はよくありますよね。その場合は、「接ぎ木苗(つぎきなえ)」を利用するのが最も効果的な解決策です。接ぎ木苗とは、病気に強いカボチャなどの丈夫な植物を台木(土台)にして、その上にきゅうりの穂木を接いだ苗のことです。これにより、連作障害の原因となる土壌病害に非常に強くなるだけでなく、根張りが旺盛で生育もたくましくなります。少し値段は高くなりますが、特に初心者の方にとっては失敗を減らすための賢い投資と言えるでしょう。
きゅうりは1株から何本採れるかの目安
「このきゅうりの苗を1株植えたら、シーズン終わりまでに一体何本くらい収穫できるのだろう?」というのは、栽培を始める誰もが抱く素朴な疑問であり、大きな楽しみの一つだと思います。結論から言うと、これは栽培環境や日々の手入れの質によって大きく変動しますが、一般的な家庭菜園であれば、1株あたり30本〜40本が無難な収穫量の目安とされています。
一方で、適切な温度管理、水分、栄養管理が徹底された環境で栽培を行うプロの農家さんになると、1株から100本、多いときには150本以上ものきゅうりを収穫することもあるそうです。この差は、いかに日々の丁寧な管理が収穫量に直結するかを物語っていますね。家庭菜園でも、いくつかの重要なコツを実践することで、収穫量を格段に増やすことが可能です。
収穫量を最大化するための3つの黄金ルール
- 一番果を早めに収穫する:株がまだ若く、体力が十分でないうちについた最初から数個の実は、長さが10cmにも満たない小さいうちに収穫します。これは「摘果(てきか)」とも呼ばれ、実を大きくするためのエネルギーを株自体の成長(根や葉を増やす)に集中させるための重要な作業です。これを怠ると、初期に体力を消耗しすぎて、その後の収穫量が伸び悩む原因となります。
- 肥料切れを絶対に起こさない:きゅうりはその生育スピードの速さから「肥料食い」の代表格と言われるほど、多くの栄養を必要とします。特に実が次々となり始める収穫期には、2週間に1回の追肥を絶対に忘れないでください。肥料が不足すると、葉の色が薄くなったり、実が曲がったりするサインが現れます。
- 水不足は収穫量に直結する:前述の通り、きゅうりの果実はほとんどが水分です。果実が大きくなる肥大期に水が不足すると、実が大きくならなかったり、変形したりする直接的な原因となります。特に梅雨が明けてからの乾燥する時期は、土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをすることを徹底しましょう。
これらの基本でありながら最も重要なポイントをしっかりと押さえることで、家庭菜園でもプロ顔負けのたくさんの収穫を目指すことが可能です。毎日のきゅうりの成長を観察する楽しみとともに、豊かな収穫を実現してください。
株を傷めない正しい収穫方法

ようやく実ったきゅうりの収穫は、栽培における最大の喜びの瞬間です。しかし、この収穫作業も、やり方一つで株の寿命を縮めてしまうことがあるため注意が必要です。正しい方法で収穫することが、株への負担を最小限に抑え、結果的に長期間たくさんの実をつけさせることに繋がります。
最も重要なポイントは、どんなに小さなきゅうりであっても、必ず清潔な園芸用のハサミを使用することです。
きゅうりのヘタとつるが繋がっている部分は「果梗(かこう)」と呼ばれ、想像以上に頑丈です。これを手で無理やりねじったり引っ張ったりしてもぎ取ろうとすると、勢い余って主枝のつるや茎を傷つけてしまったり、葉をちぎってしまったりする危険性が非常に高いです。植物にとって傷口は、人間のかさぶたのない傷と同じで、そこから病原菌が侵入する絶好の入口となってしまいます。また、実がうまく取れずに途中でボキッと折れてしまう悲しい結果にもなりかねません。
収穫は「朝採れ」がベスト
収穫する時間帯にもコツがあります。おすすめは、朝の涼しい時間帯です。植物は夜の間に水分を吸収して葉や実に蓄えるため、朝に収穫したきゅうりは最も水分量が多く、パリッとした食感でみずみずしさに溢れています。日中になると、日差しを浴びて水分が蒸散し、少ししんなりしてしまうのです。
ハサミの衛生管理を徹底しよう!
収穫に使うハサミは、病気の感染を防ぐために常に清潔に保つことを習慣にしましょう。特に、他の植物の手入れで使った後や、土に触れた後は注意が必要です。目に見えない病原菌が付着している可能性があります。使用前後に、熱湯をかけたり、アルコールを含ませた布で刃を拭いたりするだけで、病気のリスクを大幅に減らすことができます。この一手間が、大切な株を病気から守ります。
収穫の際は、きゅうりのヘタに近い部分を優しく持ち、果梗の部分をハサミでパチンと切りましょう。この丁寧な作業が、株をいたわり、次の実の健やかな成長を促すのです。

収穫に適したきゅうりの大きさ
きゅうりの収穫タイミングを判断する上で、最も分かりやすく、そして重要な指標が実の大きさです。品種にもよりますが、スーパーマーケットで一般的に見かけるような、長さ18cm〜20cm、太さが均一なものが、食感・味ともに最も良い状態とされています。
しかし、「全てのきゅうりをこの大きさで収穫すれば良い」というわけではないのが、栽培の奥深いところです。特に栽培の成否を分けると言っても過言ではないのが、株がまだ若い時期にできる「一番果」の扱いです。
一番果は「若採り」が鉄則
株に最初につく1〜3番目の果実は、人間で言えばまだ成長期の子供が子育てをするようなもので、株自体がまだ十分に成熟していない段階で実ります。この実を通常サイズまで大きく育ててしまうと、株は持てる栄養と体力のほとんどを使い果たしてしまい、その後の成長に深刻な悪影響を及ぼしてしまいます。その結果、株が弱って病気にかかりやすくなったり、収穫期間が短くなったりします。
そのため、最初から数本のきゅうりは、長さが8cm〜10cm程度の、まだ花がついているような若々しい状態で収穫する「若採り」を徹底しましょう。これは、これからたくさんの実をつけてもらうために、まずは株の体力をしっかりと温存させるための、未来への投資と考えることが重要です。
若採りきゅうりの楽しみ方
若採りした小さなきゅうりは、皮が柔らかく、みずみずしさが格別です。そのまま冷やして味噌をつけて食べる「もろきゅう」や、さっと塩でもんで浅漬けにすると、そのフレッシュな風味を最大限に楽しめます。
収穫遅れは「ヘチマきゅうり」のもと!
収穫最盛期のきゅうりの成長スピードは驚異的で、好条件下では1日で3cm以上も大きくなることがあります。そのため、「週末にまとめて収穫しよう」などと考えていると、数日見ないだけであっという間に長さ30cmを超えるような、ヘチマのように巨大な「お化けきゅうり」になってしまいます。大きくなりすぎたきゅうりは、皮が硬く、種が発達して味が大味になるだけでなく、株の養分を独り占めしてしまうため、他の実の成長を著しく妨げます。収穫期はできるだけ毎日畑をチェックし、採り遅れがないように注意しましょう。
適切なタイミングでの収穫こそが、株を健康に保ち、長期間にわたる豊かな収穫を実現するための最大の秘訣です。
きゅうりの収穫はいつまで?終わりのサインと見極め方
- 夏キュウリはいつまで収穫できるのか
- 見逃さないできゅうりが終わるサインは?
- きゅうり栽培の終わりの判断基準
- きゅうりの収穫時期はいつまでかの総まとめ
夏キュウリはいつまで収穫できるのか
春に植え付けた、いわゆる「夏きゅうり」の収穫が具体的にいつまで続くのかは、栽培者にとって大きな関心事であり、次の作付け計画を立てる上でも重要になります。一般的な目安として、気候が比較的穏やかな中間地(関東地方など)では、8月下旬頃までが収穫期間とされています。多くの場合、厳しい暑さが続く8月のお盆を過ぎたあたりから、目に見えて収穫できる実の数が減り始め、株全体の勢いが衰えてくるのを感じるでしょう。
もちろん、これはあくまで平均的な目安です。適切な追肥や水やりを続け、病害虫の防除を徹底するなど、丁寧な管理ができていれば、株の健康状態を長く保ち、9月上旬頃まで収穫を続けることも十分に可能です。逆に、記録的な猛暑に見舞われたり、病気が蔓延してしまったり、あるいは手入れを怠ったりすると、もっと早い時期、場合によっては8月上旬には収穫が終わってしまうこともあります。
つまり、株の寿命は、栽培環境と日々の管理の質に大きく左右されるのです。
株を長持ちさせるための夏越しテクニック
- 敷きわら・マルチング:株元に敷きわらや刈草を敷くことで、真夏の日差しによる地温の上がりすぎを防ぎ、土の乾燥を緩和して根へのダメージを軽減します。
- 適切な摘葉:混み合っている葉や、黄色く枯れ始めた下葉を適宜取り除くことで、株全体の風通しを良くし、病気が発生しにくい環境を維持します。
- こまめな追肥と水やり:言うまでもなく、体力を消耗する夏場は特に、栄養と水分を切らさないことが株の健康維持に不可欠です。
秋きゅうりで収穫リレーを楽しもう!
「夏きゅうりが終わってしまうのは寂しい…もっと長く収穫したい!」という場合は、前述の通り「秋きゅうり」に挑戦するのが最良の方法です。7月〜8月上旬に新しい苗を植え付けることで、夏きゅうりの収穫が終わる頃からスムーズに次の収穫を始める「リレー栽培」が可能になります。これにより、初夏から晩秋まで、長期間にわたって途切れることなく新鮮なきゅうりを味わうことができます。
栽培の終わりが近づいてくると、きゅうりの株は私たちに様々なサインを送ってくれます。次の項目で、その具体的なサインを詳しく読み解いていきましょう。
見逃さないできゅうりが終わるサインは?

きゅうりの株がその一生を終えようとし、栽培のフィナーレが近づくと、いくつかの非常に分かりやすいサインが現れます。これらの「お疲れ様」のサインを見逃さずに的確に捉えることで、栽培終了のタイミングを冷静に判断し、次のステップへとスムーズに移ることができます。
サイン1. 奇形果(きけいか)の割合が急増する
株が健康で体力に満ち溢れている時期は、すらっとした美しい形のきゅうりが実ります。しかし、収穫シーズン終盤になり株が疲れてくると、根から吸収した栄養や水分を実の隅々まで十分に行き渡らせる力が弱まります。その結果、実が極端に曲がったり、ヘタ側だけが太く先端が細くなる「尻細り果」になったりする「奇形果」の割合が目立って増えてきます。最初は数本だった奇形果が、次第に収穫物のほとんどを占めるようになったら、それは株の力が尽きかけている明確なサインです。
奇形果の種類 | 特徴 | 主な原因と株の状態 |
---|---|---|
曲がり果 | 実がCの字のように大きく湾曲する | 窒素・カリウムなどの栄養不足、水分不足、日照不足。株全体がエネルギー不足に陥っている状態。 |
尻細り果 | ヘタ側は普通だが、花が咲いていた先端部分が細く尖ってしまう | 栽培後期の典型的なスタミナ切れ。特に肥料不足や株の老化が顕著になると多発する。 |
尻太り果 | 先端部分だけが不自然に膨らみ、バランスが悪くなる | 水分バランスの急激な変化や、低温による受粉の異常など、外的ストレスが原因のことが多い。 |
サイン2. 葉やツルの状態が全体的に悪化する
植物の健康状態は、葉に最もよく現れます。元気なきゅうりの葉は大きく、生命力あふれる濃い緑色をしていますが、株が弱ってくると、まず地面に近い方の古い葉(下葉)から黄色く変色し、やがて枯れ落ちていきます。同時に、成長点であるツルの先端の伸びる勢いがなくなり、新しく出てくる葉も小さく、色も薄くなってきます。葉の色つやは、株の健康状態を示す最も正直なバロメーターなのです。
サイン3. 病気が発生し、回復せずに広がる
株の体力が著しく低下すると、人間と同じように病気に対する抵抗力も弱まります。きゅうりは特に、葉の表面に白い粉を吹いたようになる「うどんこ病」や、葉に黄色い斑点が無数に広がる「べと病」といったカビが原因の病気にかかりやすい野菜です。栽培初期であれば、適切な農薬の散布などで回復が見込めますが、収穫終盤に発生した病気は、薬剤を散布してもほとんど効果がなく、あっという間に株全体に広がってしまうことが少なくありません。農林水産省のウェブサイトではきゅうりの主要な病害虫に関する情報が公開されており、このような状態になった場合は、残念ながら株の寿命と考えられます。
これらのサインが複数、同時に見られるようになったら、それは栽培終了の準備を始めるべき時が来たと判断して良いでしょう。
きゅうり栽培の終わりの判断基準
前項で解説した「終わりのサイン」が複数見られ、新しい雌花がほとんど咲かなくなったり、たまに実がなってもそのほとんどが収穫に値しない奇形果ばかりになったりした場合が、きゅうり栽培の終わりと判断する、最も明確で実践的な基準です。
この段階に至ると、たとえ栄養価の高い液体肥料を与えたり、毎日丁寧に水やりをしたりしても、株がシーズン初期のような若々しい勢いを取り戻すことは、残念ながらほとんどありません。トマトやナスなどのナス科野菜では、夏場の終わりに枝を大胆に切り詰めて株をリフレッシュさせ、秋に再び収穫を目指す「更新剪定」というテクニックがありますが、きゅうりのようなウリ科の植物にはこの方法は適用できません。
寿命を迎えた株を無理に畑やプランターに残しておいても、回復しないまま土の栄養を消耗し続けたり、病害虫の温床となって他の植物に悪影響を及ぼしたりと、デメリットしかありません。ここまでたくさんの実りをもたらしてくれたことに感謝の気持ちを込めて、きっぱりと株を片付け、次の作物のための土づくりへと移行するのが、上手な栽培者の賢明な判断と言えるでしょう。
感謝を込めた後片付けと、次への土づくり
栽培を終えたきゅうりの株は、支柱やネットを外した後、根元から引き抜きます。もし株が病気にかかっていた場合は、病原菌を畑に残さないため、他の植物への感染を防ぐ目的で、畑の外でビニール袋に入れて処分するのが安全です。その後、土の中に残った細かい根などを丁寧に取り除き、土壌の酸度を調整するための「苦土石灰」や、土をふかふかにして微生物を豊かにする「完熟たい肥」をすき込んでおきましょう。これにより、土壌環境がリセットされ、次に植える野菜が元気に育つための最高のベッドが出来上がります。
愛情をかけて育ててきただけに、片付けるのは少し寂しい気持ちになるかもしれません。しかし、栽培の「終わり」をきちんと見極めることも、上手な家庭菜園を続けるための大切なスキルです。一つの栽培が終われば、また新しい栽培の始まりが待っています。この生命のサイクルそのものを楽しむことが、家庭菜園の最大の醍醐味ですよね。
きゅうりの収穫時期はいつまでかの総まとめ
この記事では、きゅうりの収穫時期がいつからいつまでなのか、栽培の基本から収穫量を増やすコツ、そして栽培の終わりを見極めるための具体的なサインについて、多角的に詳しく解説してきました。最後に、今回の重要なポイントをリスト形式で簡潔に振り返ってみましょう。
- きゅうりの収穫時期は主に6月から8月が最盛期
- 夏植えの秋きゅうりは11月頃まで収穫可能
- 苗の植え付けから約1.5ヶ月で収穫が始まる
- 雌花が開花してから7日から10日が収穫の目安
- 一番果は8cm程度の若採りで株の負担を減らすのが鉄則
- 本格的な収穫は長さ18cmから20cmの大きさがベスト
- 収穫が遅れると株が疲弊し全体の収穫量が減る
- 収穫は株を傷つけないよう清潔なハサミで行う
- 家庭菜園では1株から30本から40本が収穫量の目安
- 収穫量を増やすには追肥と水やりを絶対に切らさない
- 曲がり果や尻太果などの奇形果は株が疲れているサイン
- 下葉が黄色くなったり病気が広がったら終わりの合図
- 夏きゅうりの収穫は一般的に8月下旬頃までが目安
- 栽培の終わりを見極め次作の準備をすることが大切
- プランター栽培では特に地植え以上の水切れに注意する
これらのポイントをしっかりと押さえて、今年の夏はたくさんの美味しいきゅうりを収穫し、家庭菜園を存分に楽しんでくださいね。