さつまいも収穫が早すぎるとどうなる?見極め方と甘くするコツ

※本ページはプロモーションが含まれています

家庭菜園で大切に育てたさつまいも、いよいよ収穫の時を迎えたものの、「掘ってみたけど小さいかも…」「もしかして収穫が早すぎたかもしれない…」と収穫のタイミングに不安を感じていませんか。愛情を込めて育てたからこそ、最高の状態で味わいたいものです。さつまいもの収穫は、実は早すぎても遅すぎても、その味や食感、さらには保存性にまで大きく影響が出てしまいます。この記事では、さつまいもの収穫が早すぎると具体的にどうなるのか、そして逆に収穫遅れるとどうなるのかという両方の疑問に、深く掘り下げてお答えします。さらに、最適な収穫時期の見極め方として収穫日数や収穫時期の葉っぱの状態を確認するポイントから、収穫の1週間前に何をしたらいいのか、収穫量を増やすための具体的なつる切り方法まで、プロの視点で詳しく解説します。万が一、早く収穫してしまっても大丈夫。収穫後に寝かせると甘くなる「追熟」の科学的な理由や、その効果を最大限に引き出すための正しい保存方法もご紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

この記事で分かること

  • 収穫が早すぎた・遅れた場合の影響
  • 最適な収穫タイミングを見極める具体的な方法
  • 収穫前にやるべき作業とその手順
  • 収穫後にさつまいもを甘くする追熟と保存のコツ

目次

さつまいもの収穫が早すぎた場合の影響

  • 甘みがなく小さいイモになる
  • 逆に収穫遅れるとどうなる?
  • 失敗を防ぐ「試し掘り」のすすめ

甘みがなく小さいイモになる

結論から言うと、さつまいもの収穫が早すぎると、期待したほどの甘みがなく、サイズも小さいものが多くなります。これは、さつまいもの成長と成熟のプロセスに深く関係しています。

さつまいもは、光合成によって葉で作り出したデンプンを根(イモ)に蓄えることで大きく成長します。そして、収穫期が近づくと、蓄えられたデンプンが「β-アミラーゼ」という酵素の働きによって、甘み成分である麦芽糖(マルトース)に少しずつ分解されていきます。収穫時期が早いということは、このデンプンが糖に変わる糖化のプロセスが不十分な状態で収穫してしまうことを意味します。そのため、加熱しても本来の濃厚な甘さを十分に引き出せず、どこか物足りない水っぽい味や、粉っぽい食感に感じられることがあるのです。

また、イモが物理的に大きくなるための期間が足りていないため、収穫量そのものが減ってしまうという直接的なデメリットも存在します。期待していたよりも細く小さなイモしか採れなかった場合、それは収穫のタイミングが早すぎた可能性が高いサインと言えるでしょう。

収穫が早すぎた場合のデメリット

  • 味:デンプンの糖化が進まず、本来の甘みが引き出せない。
  • 食感:水分が多く水っぽく感じられたり、逆にデンプン質が多すぎて粉っぽく感じられることがある。
  • サイズ:イモの肥大期間が短いため、全体的に小さい・細いものが多い。
  • 収量:一株あたりの収穫できる重量が著しく減少する。

逆に収穫遅れるとどうなる?

収穫が早すぎるのが問題である一方、収穫が遅すぎても味、食感、見た目のすべてにおいて品質が低下する可能性があります。

畑に長く置きすぎるとイモはどんどん大きくなりますが、限度を超えると品質の劣化が始まります。大きくなりすぎたさつまいもは、形がいびつになったり、成長の勢いに皮が追いつけず表面に深い亀裂が入ったりしやすくなります。また、イモの内部に「す」と呼ばれる空洞ができたり、細胞壁が硬化して繊維質が多くなり、なめらかな食感が失われてしまうことも少なくありません。

さらに、家庭菜園で特に注意したいのが「霜」の存在です。さつまいもは熱帯地方原産の作物であり、寒さに非常に弱いという特性を持っています。霜に一度でも当たってしまうと、イモの細胞が破壊されてしまい、そこから急速に傷み始め、腐敗の原因となります。そうなると、せっかく収穫しても長期保存が全くできなくなってしまうのです。そのため、お住まいの地域で初霜が降りる予報が出る前までには、必ず収穫を終えることが鉄則です。

収穫が遅すぎた場合のデメリット

  • 味:大味になり、甘みや風味が落ちることがある。
  • 食感:繊維が多くなり、なめらかさが失われ筋っぽい食感になる。
  • 見た目:イモが大きくなりすぎて形が崩れたり、表面に亀裂が入ったりする。
  • 貯蔵性:霜に当たると細胞が破壊され腐りやすくなり、長期保存が極めて難しくなる。

失敗を防ぐ「試し掘り」のすすめ

収穫の「早すぎ」「遅すぎ」という二つの失敗を避けるために、最も確実で効果的な方法が「試し掘り」です。

試し掘りとは、本格的な収穫の前に、生育が良さそうな株を一つか二つだけ試しに掘ってみて、土の中のイモの生育状況を直接確認する作業です。栽培日数や葉の色はあくまで目安ですが、試し掘りは答えそのものです。これにより、ご自身の畑の環境における正確な成熟度を把握でき、最適な収穫タイミングを自信を持って判断できるようになります。

失敗しない「試し掘り」の具体的な手順

  1. 時期:植え付けからの日数が110日を超えたあたり、本格的な収穫予定日の1ヶ月~2週間前ごろが最適です。
  2. 方法:株元から15cm~20cmほど離れた場所にスコップを垂直に差し込み、テコの原理でゆっくりと土を持ち上げます。イモを直接傷つけないよう、外側から少しずつ掘り進めるのがコツです。
  3. 確認:掘り出したイモの中で、最も大きいもののサイズを確認します。品種にもよりますが、スーパーで売られているような長さ20cm~30cm程度に育っていれば、畑全体の収穫を始めても良いサインです。
  4. 判断:もし掘り出したイモがまだ小さいようであれば、まだ収穫には早いということです。掘り出したイモは株から切り離して美味しくいただき、残りの株は収穫を延期します。掘り起こした場所は、他のイモを傷つけないようにそっと土を戻しておきましょう。さらに2週間ほど待ってから、別の株で再度確認します。

少し面倒に感じるかもしれませんが、この一手間が「収穫祭だ!と意気込んで掘ったら、全部小さなイモでがっかり…」という悲しい結末を防いでくれます。まさに、美味しいさつまいもを収穫するための、最も賢明な投資と言えるでしょう。


「さつまいも収穫早すぎ」を防ぐ方法と収穫後の対策

  • 正しい収穫時期の見極め方
  • 植え付けからの収穫日数が目安
  • 収穫時期は葉っぱの状態で判断
  • 品種によっても収穫時期は違う
  • 収穫の1週間前に何をしたらいい?
  • 甘みを増す効果的なつる切り方法
  • 収穫後に寝かせると甘くなる
  • 甘みを引き出すための正しい保存

正しい収穫時期の見極め方

さつまいもの最適な収穫時期は、単一の指標だけで完璧に判断するのは難しいものです。成功の秘訣は、複数のサインを総合的に見て、総合的に判断することにあります。

プロの農家も実践している基本的な確認ポイントは、「植え付けからの日数」「葉や茎の状態」、そして最終確認としての「試し掘り」の3つです。これらの要素をパズルのように組み合わせることで、収穫が早すぎたり遅すぎたりする失敗のリスクを格段に減らすことができます。ここからの項目で、それぞれの見極め方をより深く、実践的に解説していきます。


植え付けからの収穫日数が目安

収穫時期を見極める上で、最も客観的で分かりやすい最初の目安が、植え付けからの栽培日数です。

さつまいもは、品種や作型、栽培する地域の気候によって多少の差はありますが、一般的に苗を植え付けてからおよそ110日~150日後に収穫適期を迎えます。大手種苗メーカーのタキイ種苗の栽培マニュアルなどでも、概ね120日~140日程度が収穫の目安として示されています。家庭菜園では、約4ヶ月(120日)を基準に考えると良いでしょう。

例えば、ゴールデンウィークの5月上旬に苗を植え付けたのであれば、9月上旬からが収穫時期の候補になります。家庭菜園を始めた際には、スマートフォンのカレンダーアプリや園芸日誌に、いつ苗を植えたのかを必ず記録しておく習慣をつけましょう。この簡単な記録が、収穫タイミングを逃さないための最も重要な情報となります。

より専門的な「積算温度」という考え方

専門的な栽培では、日々の平均気温を足し合わせていく「積算温度」という指標で収穫時期を判断します。さつまいもの場合、この積算温度が2200~2500℃に達した頃が収穫の目安とされています。気候変動の影響で秋が暖かい年などは、日数だけでなくこちらも考慮すると、より精度が高まりますが、家庭菜園ではまず日数で管理するのが簡単で確実です。


収穫時期は葉っぱの状態で判断

栽培日数とあわせて、日々観察できる重要なサインが、地上部に見える葉や茎の状態の変化です。

多くの芋類は、収穫時期が近づくと、土の中のイモを成熟させるためにエネルギーを集中させ、地上部の成長を止めます。さつまいもも同様で、土の中のイモに栄養が十分に行き渡ると、それまで光合成を活発に行っていた葉が、役目を終えて黄色く変色し、やがて枯れ始めます。これが、さつまいも自身が発する「収穫の準備ができました」という分かりやすいサインです。

ただし、注意点もあります。チッソ肥料の与えすぎによる「つるぼけ」状態の株や、品種、その年の気候によっては、収穫時期になっても葉が青々としている場合があります。また、病気や水不足で葉が黄色くなることもあります。そのため、葉の状態だけで「枯れたから収穫だ!」と判断するのは早計です。必ず栽培日数と併せて、「植え付けから4ヶ月以上が経過し、下の葉から順番に黄色くなってきた」という状態を確認することが、理想的な収穫タイミングを見極めるコツです。


品種によっても収穫時期は違う

近年では食感や甘さの異なる多種多様なさつまいもが登場しており、それぞれに最適な収穫時期も少しずつ異なります。ご自身が育てている品種の特性を知っておくことも、最高の状態で収穫するための重要なポイントです。

品種名 食感タイプ 主な用途 収穫時期の目安
安納芋 ねっとり系 焼き芋、スイートポテト 9月~12月頃(収穫期間が長く見極めが難しい)
紅はるか しっとり系 焼き芋、干し芋 九州:10月頃 / 本州:11月初旬頃
シルクスイート しっとり系 焼き芋、スイーツ全般 9月~10月頃(比較的新しい品種)
鳴門金時 ホクホク系 天ぷら、大学芋、煮物 8月下旬~11月頃(最盛期は9~10月)
紅あずま ホクホク系 ふかし芋、天ぷら、大学芋 9月~11月頃(関東で人気の定番品種)

このように、品種によって収穫のピークや期間が異なります。特に安納芋のように収穫期間に幅がある品種や、鳴門金時のように早掘りも可能な品種は、試し掘りの重要性がより一層高まります。


収穫の1週間前に何をしたらいい?

より美味しく、より効率的にさつまいもを収穫するために、ぜひ実践していただきたいプロの技が、収穫の1週間から10日ほど前に行う「つる切り」です。

つる切りとは、その名の通り、収穫前にさつまいものつるを地際で刈り取っておく作業です。この一手間には、大きく分けて2つの重要な目的があります。

つる切りの2大目的

  1. 収穫作業の劇的な効率化:夏を経て旺盛に茂ったつるは、地面を覆い尽くし、どこに株があるのかさえ分かりにくくします。イモを掘り起こす際にこのつるが絡みつき、作業の大きな妨げになります。あらかじめ刈り取っておくことで、株の位置が明確になり、驚くほどスムーズに収穫作業を進めることができます。
  2. さつまいもの品質向上と甘みの増加:つるを切ることで、さつまいもの味を向上させる効果が期待できます。これは、収穫作業を楽にするためだけでなく、より美味しいイモを収穫するための戦略的な作業なのです。

次の項目で、甘みが増す科学的な理由と、具体的なつる切りの方法について詳しく解説します。


甘みを増す効果的なつる切り方法

収穫前につるを切ると、葉で行われていた光合成がストップし、葉や茎に残っていたデンプンなどの養分が、行き場を失って土の中のイモに送り返される(転流する)と言われています。この働きによって、イモに最後の栄養が凝縮され、甘みや風味が増す効果が期待できるのです。

つる切りの具体的な手順とコツ

方法は非常にシンプルです。収穫予定日の1週間~10日ほど前の、よく晴れた日を選び、株元から5cm~10cmほどの長さを残して、鎌や大きめの園芸ハサミでつるを刈り取ります。株元ギリギリで切るのではなく、少しだけ茎を残しておくのがポイントです。これにより、収穫時にどこを掘れば良いかの目印になり、イモを傷つけるリスクを減らせます。

切ったつるも立派な食材!

ちなみに、刈り取ったさつまいものつる(葉を取り除いた茎の部分)は、「芋づる」として知られる美味しい食材です。皮をむいてアク抜きをする下処理が必要ですが、きんぴらや佃煮、油炒めなどにすると、シャキシャキとした独特の食感が楽しめます。食物繊維も豊富で、まさに家庭菜園ならではの恵みです。収穫の際には、ぜひ味わってみてください。


収穫後に寝かせると甘くなる

万が一、収穫タイミングが早すぎて甘みが足りないと感じたさつまいもでも、決してがっかりする必要はありません。さつまいもは、収穫してから一定期間、適切な環境で寝かせる「追熟(ついじゅく)」を行うことで、収穫時よりも格段に甘みを増すことができる、非常に面白い性質を持った野菜なのです。

収穫直後のさつまいもは水分が多く、主成分は甘みのないデンプンです。しかし、これを適切な環境で貯蔵しておくと、さつまいも自身の生命活動として、蓄えたデンプンを分解する酵素「β-アミラーゼ」が活発に働きます。この酵素によって、デンプンがゆっくりと麦芽糖(マルトース)という甘い糖に分解されていきます。この現象は、農林水産省のウェブサイトでも解説されており、さつまいもが時間とともにおいしくなる科学的な根拠となっています。これが、お店で売られている焼き芋があれほど甘い理由です。

追熟に最適な期間は、収穫後2~3週間から、長いもので2~3ヶ月ほどです。収穫したてはホクホクとした伝統的な食感が楽しめ、追熟が進むにつれて水分が適度に抜け、しっとり・ねっとりとした食感と凝縮された濃厚な甘みに変化していきます。


甘みを引き出すための正しい保存

追熟を成功させ、さつまいもの甘みを最大限に引き出すためには、収穫後の保存方法が最も重要です。さつまいもは繊細で、間違った方法で保存すると、追熟する前に腐らせてしまうことになりかねません。

さつまいもは、前述の通り寒さと多湿がなによりも苦手。保存を成功させるキーワードは「乾燥」「適度な温度管理」です。

プロも実践!美味しい追熟のための保存手順

  1. キュアリング(乾燥)処理:収穫したさつまいもは、決して水で洗わず、土がついたまま、風通しの良い日陰で2~3日から半日ほど表面をしっかりと乾燥させます。この工程で、収穫時についた小さな傷がコルク層で塞がれ、病原菌の侵入を防ぎ、長期保存が可能になります。
  2. 新聞紙で個別包装:乾いたさつまいもを1本ずつ新聞紙で優しく包みます。新聞紙が呼吸によって発生する余分な湿気を適度に吸い取り、イモ同士がぶつかって傷つくのを防ぐ緩衝材の役割も果たします。
  3. 通気性の良い容器へ:新聞紙で包んださつまいもを、通気性の良い段ボール箱や、底に穴の開いたコンテナ、発泡スロールの箱などに入れます。密閉容器は内部が蒸れて腐敗の原因になるため厳禁です。段ボール箱の場合も、蓋は少し開けておくか、数カ所に空気穴を開けておきましょう。
  4. 最適な場所で保管:保存に最適な温度は13~15℃です。直射日光が当たらず、冬でも暖房の影響を受けない、温度変化の少ない冷暗所(例えば、北側の部屋のクローゼットや階段下など)で保管します。

冷蔵庫での保存は絶対にNG!

さつまいもを冷蔵庫(特に野菜室)で保存するのは絶対に避けてください。さつまいもは10℃以下の低温環境に長時間置かれると「低温障害」を起こし、細胞構造が破壊されてしまいます。これにより、甘みがなくなるだけでなく、中心部から黒く変色し、最終的には腐敗してしまいます。


さつまいもの収穫が早すぎないための要点まとめ

この記事では、さつまいもの収穫が早すぎた場合の影響から、適切な収穫時期を見極めるための具体的な方法、そして収穫後の対処法までを網羅的に解説しました。最後に、美味しいさつまいもを収穫し、最高の状態で味わうための重要なポイントを改めてまとめます。

  • 収穫が早すぎるとデンプンの糖化不足で甘みがなく小さいイモになる
  • 逆に収穫が遅れると大味になり食感が悪化し貯蔵性も低下する
  • 最適な収穫時期は「早すぎ」「遅すぎ」の両方のデメリットを避けることが肝心
  • 収穫の失敗を防ぐには最終確認としての「試し掘り」が最も確実な方法
  • 収穫時期の一次判断は植え付けからの日数で行うのが基本
  • 一般的には植え付け後110日~150日(約4ヶ月)が収穫の目安
  • 地上部の葉が下の葉から黄色く枯れ始めたら収穫が近いサイン
  • 安納芋や紅はるかなど育てている品種ごとの収穫時期の目安も必ず確認する
  • 収穫の1週間ほど前につる切りを行うとイモに栄養が凝縮され甘みが増す効果が期待できる
  • つる切りは株元を5~10cmほど残して刈り取るのがコツ
  • 収穫したさつまいもは「追熟」させることでデンプンが糖に変わり甘みが増す
  • 追熟期間は収穫後2~3週間から2~3ヶ月が目安で食感も変化する
  • 追熟を成功させるには収穫後の乾燥と正しい保存方法が不可欠
  • 保存のポイントは適度な乾燥と温度管理であり湿気と低温は厳禁
  • 保存の最適温度は13~15℃、低温障害を防ぐため冷蔵保存は絶対に避ける

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次