こんにちは。今日も田んぼと畑から、運営者の「あつし」です。
家庭菜園でバジルを育てていると、プランターに近づくだけであの爽やかな、いい香りがしてきて本当に幸せですよね。採れたての新鮮なバジルを、パスタやカプレーゼにちょっと添えるだけで、料理が一気に本格的になりますし、トマトとの相性は抜群です。
でも、そのバジルの収穫の仕方で迷うことって多くないですか?「使いたい分だけ、葉っぱを1枚ずつ摘むべきか、それとも茎ごとバッサリ切るべきか」「どこを切るのが正解で、収穫のタイミングはいつからがいいんだろう?」そんな疑問が湧いてくるかなと思います。
私も最初は、料理の直前に必要な分だけ、下の方の大きな葉から摘んでいたんです。でも、そうやっていると、なぜか株がどんどん上にばかり伸びてひょろひょろになり、葉っぱも小さくなって、なんだか収穫するたびに株が弱っていく気がして悩んだものです。
実は、バジルの収穫には「摘心(てきしん)」という、植物の性質を利用したとても大事なテクニックがあって、これをやるかどうかで、その後の収穫量が全く変わってきます。収穫が遅れると葉が硬くなるし、夏になるとすぐに花が咲いたらどうしようとか、伸びすぎた時の切り戻しはどうするんだとか、悩みは尽きませんよね。
この記事では、バジルの収穫量を飛躍的に増やすための「正しい収穫の仕方(摘心)」から、収穫後の手入れ(追肥)、さらには大量に収穫したバジルを無駄にしないための完璧な保存方法や、挿し木での増やし方まで、私のたくさんの失敗経験も踏まえながら、詳しく解説していきますね。
- バジルの収穫量を倍増させる「摘心」の正しいやり方
- 収穫のタイミングと「どこを切るか」の具体的な位置
- 伸びすぎた株を再生させる「切り戻し」の技術
- 収穫したバジルを長持ちさせる冷蔵・冷凍保存テクニック
収穫量を倍増させるバジル収穫の仕方
バジルの収穫って、ただ葉っぱを採るだけだと思っていませんか?もちろん、それも収穫ですが、バジルのポテンシャルを最大限に引き出すには、ちょっとした「切り方」のコツ、つまり植物の性質を利用したテクニックを知っているだけで、収穫量が2倍、4倍、8倍と増えていくんです。
ここでは、バジルを初夏から霜が降りる晩秋まで、長く、たくさん楽しむための基本的な収穫テクニック、その核心部分を紹介しますね。
収穫のタイミングはいつから?

バジルの収穫は、株が一定の大きさに育ってからスタートします。苗を植え付けてすぐに収穫を始めると、株が成長するためのエネルギー(光合成)を生み出す葉が足りなくなり、株自体が弱ってしまいますからね。焦りは禁物です。
最初の収穫(これを特に「摘心」と呼びます)の目安は、だいたい以下の2つです。
- 株の背丈が約20cmに達したとき
- 「節」(茎から葉が左右対になって出ている部分)が3つ以上できているとき(本葉が6~8枚くらい)
この「20cm」という基準は、単なる大きさの目安ではありません。この高さに達した株は、最初の大きなカット(剪定)という「ショック」に耐えられるだけの体力、つまり十分な根を地中に張り巡らせているサインだと考えてください。
私も最初は早く食べたくて、10cmくらいの小さな苗の葉を摘んでしまったことがあるんですが、そうすると新しい葉が出るよりも早く光合成で得られるエネルギーが足りなくなって、そのまま成長が止まり、弱らせてしまった苦い経験があります…
収穫は「早朝」がベスト!
収穫する時間帯も、実はとても重要です。もし可能なら、おすすめは断然「早朝」です。
理由は2つあります。
- みずみずしさ(膨圧): 涼しい夜間に水分をしっかり根から吸い上げて、葉が一番みずみずしくシャキッとしている(膨圧が高い)状態だからです。
- 香り(精油): バジルの命である香り成分(精油)の含有量が、この時間帯にピークに達すると言われています。日が高くなり気温が上昇すると、これらの揮発性の高いオイルは太陽のストレスによって蒸発し始めてしまいます。
最高の香りと風味を閉じ込めるなら、早朝の涼しいうちが一番なんですね。
収穫でどこを切るか解説

では、いよいよ収穫ですが、ここで絶対に押さえておきたいのが「切る位置」です。これを間違えると、収穫量は増えません。むしろ減ってしまいます。
「料理の飾りに1〜2枚だけ欲しい」という場合は、手で葉を摘み取ることもありますが、これは株の成長を促す観点からは、持続的な収穫方法とは言えません。バジルの収穫の基本は、常に「茎ごとカット」です。
そして、最も重要なのがその位置です。
必ず、葉の付け根(節)の「すぐ上」で切ります。
「節」というのは、茎から葉が左右に対になって出ている部分のことです。この節の、葉の付け根(葉柄)と主茎の間をよーく見てください。本当に小さな、米粒よりも小さいかもしれませんが、そこに一対の新しい芽(脇芽)があるはずです。
カットする際は、必ずこの脇芽を残して、その数ミリ上で切る必要があります。清潔なハサミを使うのが一番確実ですね。
注意! 脇芽は絶対に切らないで!
この小さな脇芽こそが、次の収穫源となる「新しい茎」のタマゴです。この脇芽を傷つけたり、間違って節ごとバッサリ切り落としたりすると、そこから新しい茎は二度と生えてきません。切る位置には本当に注意してくださいね。
なぜ節の上で切ると収穫量が増える?
なぜ、わざわざそんな面倒な「節の上」で切るのか。それには植物学的なはっきりとした理由があります。
バジルを含む多くの植物には「頂芽優勢(ちょうがゆうせい)」という性質があります。これは、植物が通常、株のエネルギー(栄養)を一番てっぺんにある成長点(頂芽)に集中させ、ライバルより早く光を浴びようと「上へ上へ」と伸びようとする性質のことです。
そこで、あえてそのてっぺんの茎をカット(摘心)するわけです。
するとどうなるか。てっぺんの成長点がなくなったことで頂芽優勢が崩れ、行き場を失ったエネルギー(栄養)は、「おっと、上に行けないぞ!」とばかりに、カットされた箇所のすぐ下にある節に残された、あの小さな二つの「脇芽」へと送り込まれます。
その結果、これまで「上(頂芽)が優先だから…」と眠っていた二つの脇芽が新しい茎としてグングン成長を始め、1本の茎が2本に分岐するのです。
これが、収穫するたびに収穫量が倍増していく(1本の茎が2本に、2本が4本に、4本が8本に…)ための核心的な原則なんですね。
収穫量を倍増させる摘心
先ほどから「摘心(てきしん)」という言葉が出ていますが、「収穫」と何が違うの?と混乱するかもしれません。安心してください、やっている作業(節の上で茎を切る)は、実質的にまったく同じです。
厳密には、その「目的」と「タイミング」で使い分けられています。
摘心と収穫の違い
- 摘心(てきしん): 背丈が20cmに達した若い株に対して行う「最初の戦略的な収穫」のこと。主な目的は、頂芽優勢を崩して、株の構造を縦(1本)から「横方向へ茂らせる(ブッシュ状にする)」ことです。株の未来の形を決める、一番大事な作業です。
- 収穫(しゅうかく): 最初の摘心以降に行う「すべての収穫作業」のこと。主な目的は「食材の確保」ですが、この行為自体が副次的に「摘心」と同じ効果(分岐の促進)を持ちます。
つまり、バジル栽培の成功は、最初の「摘心」を正しいタイミング(背丈20cm)で、正しい位置(地面から数えて3〜4節目の脇芽の上)で、勇気を持って行えるかどうかにかかっています。「もったいない」とためらってはいけません(笑)。
メリット1:収穫量の倍増
前述の通り、たった一回のカットがエネルギーの再分配を引き起こし、二つの脇芽を新たな主茎へと成長させます。その後、新しく伸びた2本の茎がそれぞれ2〜3節伸びたら(葉が4〜6枚ついたら)、また同じように節の上で収穫(摘心)します。すると、次は4本の茎が育ちます。
これを繰り返すことで、収穫量は 1 → 2 → 4 → 8 → 16… と、文字通り指数関数的に増えていきます。これが、ただ葉を摘むだけでは得られない、摘心の最大のメリットです。
メリット2:病害虫の予防
これは摘心の、見落とされがちですが非常に重要な「副次的効果」です。
もし摘心をせず放置すると、バジルは一本の茎だけがひょろひょろと高く伸び(徒長)、上部だけ葉が密集した状態になります。想像してみてください。風が通る隙間がありませんよね。このような株は風通しが最悪で、葉と葉の間に湿気がこもりやすいため、カビなどの病気(特に梅雨時期)や、湿気を好む害虫の完璧な温床となってしまいます。
一方、摘心によって横にこんもりと広がったブッシュ状の株は、内部までしっかり風が通ります。そのため葉が乾燥しやすく、病害虫の発生を物理的に抑制できるのです。摘心は、収穫量を増やすと同時に、農薬に頼らない高度な病害虫対策でもあるんですね。
伸びすぎた時の切り戻し

「摘心は知っていたけど、収穫が追いつかなくて伸びすぎた…」 「旅行から帰ってきたら、バジルが森みたいになっていた」 「夏場に急成長して、下葉が落ちて茎だけが目立つ(木質化)ようになってしまった」
…そんな時もありますよね。私もよくやります。木質化(もくしつか)というのは、茎が緑色から茶色っぽく硬くなり、木の幹のようになることです。
そんな株を再生させるための技術が「切り戻し(きりもどし)」という、摘心よりもさらに強力な剪定です。
切り戻しは、伸びすぎた枝を途中で切り戻し、株元に近い部分にある、まだ眠っている脇芽を活性化させる「若返り」の技術です。株の高さが30cmを超えてバランスが悪くなったり、花が咲き終わったりした頃がタイミングです。
手順は摘心より大胆です。
株全体の約半分の高さまで、すべての茎をバッサリと切り戻します。
収穫した大量のバジルは、もちろん保存やペーストに活用します。
切り戻しの絶対ルール
この時にも、「必ず葉の付け根(節)の上で切る」というルールは厳守してください。節さえ残っていれば、そこから必ず新しい芽が再生します。
一時的に収穫できる葉は激減し、見た目も「丸坊主」のようで寂しくなりますが、ここで思い切ることが大事です。
ただし、節が一つも残っていない、完全に木質化した(茶色くなった)部分まで切り詰めると、新芽が出せずにそのまま枯れてしまう可能性が高いので、それは避けてください。必ず緑色の部分と、元気な葉(節)をいくつか残すようにしてください。
この強い剪定を行うと、最初は心配になりますが、2〜3週間もすれば、エネルギーが集中した下部の芽から、以前よりも強力で健康な新しい枝がたくさん発生し、結果として株は若返り、長期的な収穫量はむしろ増加します。
収穫後の手入れと追肥
バジルを秋まで長く楽しむために、収穫と同じくらい…いや、もしかしたらそれ以上に重要なのが「追肥(ついひ)」つまり、追加の肥料やりです。
「収穫」と「追肥」は、切っても切れない因果関係にあります。
収穫と追肥のフィードバックループ
考えてみれば当然で、植物は土から栄養(肥料)を吸い、光合成で「葉」という名の「栄養工場」を作ります。私たちがバジルを「収穫する」という行為は、この「栄養工場」を植物から奪い、土から吸い上げられた栄養分を株の外に持ち出すことに他なりません。
プランター栽培など、土の量が限られている環境では、栄養はあっという間になくなります。
そのため、収穫を開始すると同時に、追肥も開始する必要があります。
この「収穫(葉の持ち去り) → 土の栄養が枯渇 → 追肥(栄養の補給) → 新しい脇芽が成長 → 次の収穫」というフィードバックループを、いかにうまく回し続けるかが、長期収穫の最大の鍵です。
もし、積極的に収穫(摘心)しているのに追肥をサボると、植物はすぐに「弾切れ」…つまり栄養不足に陥ります。
肥料切れのサインと対策
バジルは肥料が切れると、明確なサインを出します。
- 肥料切れのサイン: 生育中に、下の方の葉から順番に、葉の色が薄く、黄色っぽくなってきたら、それは栄養不足(特に窒素欠乏)の警告です。
- 放置した場合の結果: 栄養不足の株は「このままではヤバい!」とパニックに陥り、自分が枯死する前に子孫を残そうと、全てのエネルギーを葉の生産から「種の生産」へと切り替えます。これが、あの「開花」(花を咲かせる)です。花が咲くと、株は「子孫を残した」と安心してしまい、葉は硬くなり、香りが落ち、やがて株全体の寿命が尽きてしまいます。
追肥のタイミングと方法
- 開始時期:最初の収穫(摘心)と同時に追肥を開始します。
- 頻度:5月から9月までの活発な生育期は、2〜3週間に1度の頻度で追肥を行います。(液肥の場合は、1週間に1度など、製品の指示に従ってください)
- 肥料の種類:
- プランター(即効性重視):水で希釈して使う「液肥」が、即効性もあって手軽です。水やりの代わりに与えるだけです。
- プランター(持続性重視)/ 地植え:パラパラとまくタイプの「化成肥料」や「油かす」などを、小さじ1杯程度株元(茎に直接触れないように)にまき、軽く土と混ぜます。
私は、普段は液肥をメインにしつつ、時々固形の化成肥料を少量あげる、という併用をしていますね。

バジル収穫の仕方と保存・活用法
さて、摘心と追肥のサイクルをうまく回して、一生懸命育てて、たくさん収穫できたバジル。おめでとうございます!
でも、バジルって本当に足が早い(傷みやすい)ですよね…。常温に置いておくと半日ですぐにしなびて、冷蔵庫に入れるとなぜか黒くなってしまいませんか?
ここでは、収穫したバジルを無駄にしないための保存方法や、ちょっとマニアックな花や種の活用法まで、一気に紹介します!
収穫したバジルの保存方法

バジルの保存における最大の敵は二つあります。一つは「乾燥」、もう一つは冷蔵庫の冷気による「低温障害」(これが葉が黒ずむ原因です。バジルは熱帯原産なので寒さが苦手なんです)。
優れた保存方法は、この二つの問題を同時に解決する戦略に基づいています。
重要:洗う?洗わない?
まず、保存の前に「洗うべきか、洗わざるべきか」という重大な矛盾点について解説します。
- 冷蔵保存の場合: 絶対に洗ってはいけません。葉に付着した水分が冷気と組み合わさることで、黒変や腐敗の最大の原因となります。土などがついていたら、そこだけ優しく拭き取る程度にします。
- 冷凍保存の場合: 葉を洗い、その後、キッチンペーパーなどで水気を「徹底的に」拭き取ります。これは、長期保存と調理時の利便性を目的とするため、汚れを落としておきたいからです。その代わり、水気が残っていると、それが氷結晶となって葉の組織を破壊し、風味を損なう原因になるため、完璧な乾燥が必須条件となります。
| 保存方法 | 保存期間の目安 | 風味(香り) | 食感 | おすすめの用途 |
|---|---|---|---|---|
| 常温保存(水差し) | 2〜3日 | ◎(高い) | ◎(新鮮) | すぐに使う料理、飾り |
| 冷蔵保存(ペーパー) | 5日〜1週間 | 〇(維持) | 〇(維持) | サラダ、カプレーゼ |
| 冷凍保存(葉のみ) | 約1カ月 | △(加熱で香る) | ✕(失われる) | パスタ、煮込み(加熱用) |
| 冷凍保存(オイル漬け) | 約1カ月 | 〇(香りが逃げにくい) | ✕(失われる) | パスタソース、ソテー |
| 加工(バジルペースト) | 冷凍で約1カ月 | ◎(濃厚) | △(ペースト状) | ジェノベーゼ、万能ソース |
常温保存(2〜3日)
数日以内に使い切る場合に適しています。コップや瓶に水を入れ、バジルの茎を切り花のように挿します。直射日光を避け、水は毎日交換します。キッチンに置いておくだけで香りも楽しめますね。
冷蔵保存(1週間)
これが最も手軽で標準的な方法です。(注意:保存前にバジルを洗わないでください)
- 保存容器(タッパーやジップロックコンテナ)の底に、湿らせたキッチンペーパーを敷きます。(湿らせすぎず、固く絞る程度)
- その上に(洗っていない)バジルを重ならないように優しく並べます。
- 上からさらに湿らせたキッチンペーパーをふんわりと被せます。
- 蓋を(密閉しすぎない程度に)閉め、冷蔵庫の「野菜室」(冷気が直接当たりにくい、温度が高めの場所)で保存します。
これで、「湿らせたペーパー」が乾燥を防ぎ、「タッパー」が冷気(低温障害)から守ってくれるため、5日〜1週間程度は新鮮な状態を保てます。
冷凍保存(約1カ月)
(注意:保存前に「洗い」、水気を「徹底的に拭き取る」ことが必須です)
- 方法1:葉のまま冷凍 洗って水気を完璧に拭き取った葉を、数枚ずつ小分けにしてラップでふんわりと包み、冷凍用の保存袋(ジップロックなど)に入れて冷凍します。解凍すると食感が失われるため、凍ったまま加熱調理(パスタ、煮込み、スープなど)に使います。凍った葉を手で揉むと、乾燥バジルのように粉末にしても使えますよ。
- 方法2:オリーブオイル漬けで冷凍(おすすめ) オイルが葉をコーティングし、冷凍焼けや香りが飛ぶのを防ぐため、最も香りを保持できる冷凍方法だと私は思います。洗って水気を拭き取ったバジルを、みじん切り(またはミキサーで軽く)にします。それを冷凍用保存袋に入れ、オリーブオイルをひたひたになるまで加えます。袋を平らにして冷凍し、使う分だけパキッと折って取り出します。パスタソースやソテーにそのまま使えて便利です。
長期加工保存(最強)
最強の保存法は、やはり「バジルペースト(ジェノベーゼソース)」にしてしまうことです。バジル(例: 80g)、オリーブオイル(120ml)、塩、ニンニク、松の実、粉チーズなどをミキサーにかけてペースト状にします。作ったペーストは、製氷皿などで小分けにして冷凍すれば約1カ月は美味しく食べられます。
バジルの花が咲いたら?
追肥を忘れたり、収穫をサボったりすると、7月以降になると花芽(しそによく似た、穂のようなもの)をつけやすくなります。前述の通り、これは株の栄養が葉から花(種の生産)へと移行したサインで、既存の葉は硬くなり、風味が落ちてしまいます。
バジルの花芽を見つけた時点で、私たちは3つの道を選択することになります。
- 道1:葉の収穫を優先する(推奨) これが基本です。花芽を見つけ次第、即座にその花芽を、その下の節ごと摘み取ります。これにより、エネルギーが再び葉の生産へと振り向けられ、収穫期間を延長できます。
- 道2:花の収穫を楽しむ 道1のタイミングを逃した場合でも、咲いた花(白や薄紫の小さな花)は「食用花」として収穫できます。
- 道3:種の収穫を目指す(上級) 意図的に花を咲かせ、受粉させて、来年用の種を収穫します。
ちなみに、バジルの花は安全に食べられる「エディブルフラワー」(食用花)です。香りは葉より穏やかで、かすかな甘みがあります。食感も柔らかいです。加熱すると香りが飛んでしまうため、サラダやパスタ、カプレーゼの「彩り」として生のまま散らすのが最適です。
食用花として食べる際の注意点
当然ですが、農薬を使用せずに栽培されたものであることが絶対条件です。観賞用の花(農薬が使われている可能性がある)などは絶対に食べないでください。また、花びらはデリケートなので、ごく優しく洗う程度にしてください。アレルギー体質の方や妊娠中の方は、ごく少量から試すなど、体調の変化にご注意ください。
葉が硬くなる原因と対策
「うちのバジル、なんだか葉っぱが硬くて美味しくない…」という場合、原因は主に二つ考えられます。
- 原因1:花が咲き始めている(または咲いた) これが最も一般的な原因です。株が「子孫(種)を残す」モードに入り、葉の成長を止めたためです。 対策:道1(葉の収穫を優先)を選び、花芽を見つけ次第、即座に摘み取ります。すでに咲いてしまった場合でも、花軸ごと切り戻すことで、新しい柔らかい葉が再生する可能性があります。
- 原因2:強すぎる直射日光(と水切れ) バジルは日当たりを好みますが、真夏の強烈な日差し(特にコンクリートの照り返しを受けるベランダや西日)は、葉を硬くするストレス要因となります。植物が水分を失わないよう、葉を硬くして身を守るんですね。 対策:鉢植えの場合は、西日を避けられる午前中だけ日が当たる場所(半日陰)に移動させます。地植えの場合は、寒冷紗(かんれいしゃ)という黒いネットなどで日除けをして、日差しを和らげると良いですね。もちろん、水切れにも注意が必要です。
収穫した茎から苗を増やす(挿し木)

バジル栽培における、ある意味「究極の」収穫量増加テクニックが、この「挿し木」です。「収穫」と「増殖」を同時に行います。
収穫(摘心)の際に出た「茎」(多くの人が廃棄する部分)は、実は「無料の新しい苗」そのものです。これを使わない手はありません。バジルは驚くほど簡単に根が出ます。
挿し木の手順(とても簡単!)
- 収穫したバジルの茎(先端部分が5〜10cm程度)を用意します。花芽がついている場合は取り除きます。
- 茎の下の方についている葉を(水に浸かる部分が腐らないよう)取り除き、先端の葉を2〜4枚だけ残します。
- 茎の下部3cmほどを、水を入れたコップや瓶に浸けます。
- 直射日光の当たらない、明るい半日陰(キッチンの窓辺など)に置きます。水は毎日~2日に1回交換します。
- 1〜2週間で、茎から白い根(根っこ)が出てきます。
- 根が十分に(5cmくらい)発達したら、それを新しい苗としてプランターや地面に優しく植え替えます。
これは、既存の株を遺伝的にコピー(クローン)するものです。収穫作業の副産物を使い、文字通り無限に株を増やしていくことが可能になりますよ。夏の終わりごろに新しい苗を作っておけば、室内で「冬越し」にチャレンジすることもできるかもしれません。
来年用の種の採り方
上級編として、種の採り方も紹介しますね。道3(種の収穫)を選んだ方向けです。自分の育てたバジルから種を採るのは、また格別な楽しみがあります。
- 株を開花させ、ミツバチやアブなどが受粉するのを待ちます。(開花期はカビを防ぐため、換気を良くするのがコツです)
- 花が終わり、種が実り、花がついていた茎(花軸)が茶色く乾燥し始めたら、秋(10月〜11月)に花軸ごと手で丁寧に収穫します。
- 収穫した花軸を、束ねて風通しの良い日陰でさらに天日乾燥(追熟)させます。
- 冬(12月)に入り、十分に乾燥したら、花軸から花の部分(種の入ったガク)を丁寧に取り外し、それを指で揉んだり、ふるいにかけたりして、中から小さな黒い種を選別します。
種の保存は、「湿気」「空気」「光」「高温」という4つの敵から種を守る作業です。私のやっている方法は、紙封筒(湿気対策)に入れた種を、さらにポリ袋やチャック付き袋(空気対策)に入れ、それを光を通さない缶(光対策)に入れて、冷蔵庫の野菜室(高温対策)で保管する、というものです。冷凍庫は種がダメージを受ける可能性があるので避けてくださいね。
バジル収穫の仕方の総まとめ
バジル収穫の仕方、いかがでしたでしょうか。かなりの長文になってしまいましたが、それだけ奥が深いということですね。
単に葉を摘む作業ではなく、その核心は、「収穫(Harvesting)」イコール「株を未来のために剪定する(Pinching/Pruning)」という意識を持つことにあります。
植物の成長メカニズム(頂芽優勢)を理解し、節のわずか数ミリ上で茎をカットするという戦略的な収穫こそが、脇芽の成長を促し、収穫量を倍増させる唯一の方法です。
そして、収穫によって土壌から失われた栄養を、適切な追肥によって補い続ける(収穫開始と同時に追肥を開始する)こと。この「収穫」と「追肥」のサイクルをしっかり回し続けることが、初夏から霜が降りる晩秋まで、新鮮なバジルを途切れることなく楽しむための最大の秘訣だと、私は思います。
収穫した葉は、その量と用途に応じて、冷蔵、冷凍、あるいは加工(ペースト、オイル)を賢く使い分け、その豊かな香りを一切無駄にすることなく活用できます。さらには、収穫した茎でさえ「挿し木」として次の世代の苗に再生させることが可能です。ぜひ、このテクニックをマスターして、バジルを余すところなく楽しんでくださいね。

