収穫した米を保管する施設はどこ?CEとRCの違いを徹底解説

※本ページはプロモーションが含まれています

秋に収穫したお米、どのように保管されているかご存知でしょうか。この記事では、収穫した米を保管する施設について詳しく解説します。大規模な共同施設であるカントリーエレベーターとは何か、またライスセンターとは何か、そしてカントリーエレベーターとライスセンターの違いはどこにあるのでしょうか。施設の正式名称は?といった素朴な疑問から、一体どこにあるのか、利用する場合の料金まで、網羅的にご紹介します。大切に育てられたお米の品質を守る施設の秘密に迫りますので、ぜひ最後までご覧ください。

この記事で分かること

  • 収穫したお米を保管する共同施設の種類がわかる
  • カントリーエレベーターとライスセンターの明確な違いを理解できる
  • 個人で利用できる米保管庫の重要性がわかる
  • 目的に合ったお米の保管方法を見つけられる
目次

主な収穫した米を保管する施設の種類

  • ライスセンターとはどんな施設?
  • カントリーエレベーターとはどんな施設?
  • カントリーエレベーターの正式名称は?
  • カントリーエレベーターとライスセンターの違い
  • 共同施設はどこにあるの?
  • 施設の利用料金はどのくらい?

ライスセンターとはどんな施設?

ライスセンターとは、主に収穫した籾(もみ)の乾燥と籾摺り(もみすり)などの調製作業を行う共同利用施設です。稲刈り後の籾は水分を多く含んでいるため、そのままでは品質が劣化してしまいます。そこで、多くの農家が収穫した籾をライスセンターに持ち込み、専門の設備で適切な水分量まで乾燥させます。

この施設の最大の役割は、お米の品質を均一化することにあります。地域で収穫されたお米を同じ基準で乾燥・調製することにより、品質のばらつきがなくなり、安定した品質のお米を出荷できるようになります。農家にとっては、高価な乾燥機や調製設備を個別に所有・維持管理する負担を軽減でき、収穫後の手間のかかる作業を専門家に委ねられるため、作業の効率化が図れるという大きなメリットがあります。

ただし、多くのライスセンターは大規模な貯蔵機能を持たない場合が多く、調製作業が完了したお米は、カントリーエレベーターのような大規模な保管施設へ移動されたり、農家へ返却されたりするのが一般的です。カントリーエレベーターに比べると、比較的小規模な施設となっています。

ライスセンターのポイント

乾燥・調製作業に特化した共同施設であり、農家の作業負担軽減と米の品質均一化に貢献します。貯蔵機能は持たないか、小規模な場合がほとんどです。

カントリーエレベーターとはどんな施設?

カントリーエレベーターは、ライスセンターが持つ乾燥・調製機能に加えて、大規模な貯蔵機能を備えた共同乾燥貯蔵施設です。農家から集められた大量の籾を、「サイロ」と呼ばれる巨大な円筒形の倉庫で長期間保管できるのが最大の特徴です。

この施設では、収穫された籾の受け入れから乾燥、貯蔵、そして出荷前の籾摺りまでを一貫して行います。サイロの内部は温度や湿度が厳密に管理されており、お米の品質を落とすことなく、一年を通して新米に近い鮮度を保つことが可能です。これにより、消費者は季節を問わず、いつでも美味しいお米を食べることができます。

農家は収穫した籾をコンバインから直接トラックに移し、そのままカントリーエレベーターに運び込むだけでよく、その後の管理はすべて施設に任せられます。そして、実需者からの注文に応じて必要な量だけ籾摺りを行い、玄米の状態で精米工場などへ出荷される仕組みです。このような一貫したシステムにより、生産コストの低減や流通の合理化にも大きく貢献しています。(参照:農業協同組合新聞)

巨大なサイロが立ち並ぶ光景は、米どころの田園風景のシンボルとも言えますね。お米の品質を一年中守る、まさに地域の「お米の銀行」のような存在です。

カントリーエレベーターの正式名称は?

カントリーエレベーターという名称は、英語の「Country(田舎)」と「Elevator(昇降機)」を組み合わせた言葉です。その名の通り、「田舎にある、穀物を運ぶための昇降機を備えた施設」というのが元々の意味になります。

この施設は19世紀後半のアメリカの穀倉地帯で、鉄道網の発達と共に発展しました。広大な農地で収穫された小麦やトウモロコシを、貨物列車に積み込む前に一時的に大量保管する必要があったのです。その際、施設内にあるエレベーター(昇降機)で高い場所にある貯蔵ビン(サイロ)の天辺まで穀物を運び上げ、そこから投入していたことから、この名前で呼ばれるようになったと言われています。

日本でも、主に米の貯蔵施設として全国の米産地に普及し、現在ではお米の安定供給に欠かせない重要なインフラとして機能しています。

【豆知識】なぜ「エレベーター」?

施設内の穀物を垂直方向に移動させるための昇降機(エレベーターやコンベア)が施設の中心的な設備であることから、この名が付きました。単なる倉庫ではなく、効率的な搬入・搬出システムを持つ点が特徴です。

カントリーエレベーターとライスセンターの違い

カントリーエレベーターとライスセンターは、どちらも収穫したお米を扱う共同施設ですが、その役割と規模には明確な違いがあります。最も大きな違いは、「大規模な貯蔵機能(サイロ)の有無」です。

ライスセンターは主に乾燥・調製作業を行う施設であり、長期的な保管機能は持たないことが多いです。一方、カントリーエレベーターは乾燥・調製に加えて、巨大なサイロでの大規模な長期保管を目的としています。この機能の違いが、施設の規模や役割の差に繋がっています。

両者の特徴を以下の表にまとめました。

項目 カントリーエレベーター ライスセンター
主な機能 乾燥・調製・大規模貯蔵 乾燥・調製
貯蔵機能 あり(サイロによる長期・大量保管) なし、または小規模
施設の規模 大規模 比較的小規模
役割 地域の米の集約・保管・出荷拠点 収穫後の一次処理(乾燥・調製)
メリット 年間を通じた品質保持と安定供給が可能 初期投資を抑え、収穫後の作業を効率化

このように、ライスセンターが収穫直後の作業を効率化する「加工場」のような役割であるのに対し、カントリーエレベーターは地域の米を一年中安定供給するための「貯蔵庫・物流拠点」としての役割を担っていると言えるでしょう。

共同施設はどこにあるの?

カントリーエレベーターやライスセンターは、お米の生産が盛んな地域の、広い水田地帯に設置されていることがほとんどです。これらの施設は、地域の農家が収穫した籾を効率的に集荷する必要があるため、農地からのアクセスが良い場所に建設されます。

運営の主体は、地域の農業協同組合(JA)であることが大半です。そのため、全国各地の米どころには、JAが運営するカントリーエレベーターやライスセンターが存在します。

例えば、JA全農の報告によると、全国には多数の共同乾燥調製施設が存在し、地域の米作を支えています。具体的な施設名や場所は、お近くのJAのウェブサイトなどで確認することができます。

主な設置地域

新潟県、秋田県、山形県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、千葉県、長野県、富山県、石川県、滋賀県、兵庫県、岡山県、熊本県、そして北海道といった、日本有数の米産地では、車を走らせていると田園風景の中にそびえ立つ巨大なカントリーエレベーターの姿を目にすることができます。

施設の利用料金はどのくらい?

カントリーエレベーターやライスセンターの利用料金は、地域や運営するJA、利用するサービスの内容によって大きく異なるため、一概に「いくら」と断言することは難しいのが現状です。

一般的に、料金は以下のような要素によって変動します。

  • 米の重量:持ち込む籾の重量(60kg単位の俵数やトン数など)に応じて計算されることが多いです。
  • 利用する工程:乾燥だけ、調製(籾摺り)だけ、あるいは保管まで全てを委託するなど、利用する作業範囲によって料金が変わります。
  • 組合員資格の有無:多くの施設では、JAの組合員と非組合員で料金体系が異なる場合があります。組合員の方が割安に設定されているのが一般的です。
  • 米の品種:品種によって乾燥のしやすさなどが異なるため、料金に差が設けられている場合もあります。

料金の確認は必ず事前に

施設の利用を検討している場合は、具体的な料金について、必ずお住まいの地域を管轄するJAの担当部署へ直接問い合わせるようにしてください。公式サイトなどで料金が公開されていない場合も多いため、電話などで確認するのが最も確実です。

個々の農家が高価な乾燥機や籾摺り機などを購入・維持するコスト、そしてそれに伴う労力を考えれば、多くの場合、共同施設を利用する方が経済的なメリットは大きいと言えるでしょう。

個人で利用できる収穫した米を保管する施設

  • 農家・家庭向けの米保管庫とは
  • 米保管庫に必要な機能とは
  • お米の品質を保つ低温保管の重要性
  • 米保管庫の屋外用と屋内用の違い

農家・家庭向けの米保管庫とは

農家・家庭向けの米保管庫とは、その名の通り、個人が収穫したお米や購入した玄米などを保管するために設計された専用の保管庫です。共同施設を利用しない小規模な農家や、自家消費分のお米を保管する農家、また、親戚などから年間分のお米をもらうご家庭などで広く利用されています。

一般的な物置と違い、お米の品質を維持することに特化しているのが特徴です。多くの製品は、お米の袋(30kgの米袋など)のサイズに合わせて設計されており、無駄なスペースなく効率的に収納できるよう工夫されています。物置や家の納戸などでそのまま保管すると、湿気によるカビや害虫、ネズミなどの被害に遭うリスクがありますが、米保管庫は密閉性が高く、これらの外敵からお米をしっかりと守る構造になっています。

せっかく美味しいお米を手に入れても、保管方法が悪いと台無しになってしまいます。お米を大切に保管するための専用の「家」が米保管庫なんですね。

米保管庫に必要な機能とは

お米の品質を長期間保つためには、ただ保管するだけでは不十分です。質の高い米保管庫には、お米の劣化を防ぐための重要な機能が備わっています。

空気循環機能

庫内の空気をファンで循環させることで、温度や湿度のムラをなくし、結露の発生を防ぎます。お米は湿気を非常に嫌うため、この機能はカビの防止に不可欠です。庫内の空気がよどむことなく、お米にとって快適な環境を維持します。

除湿機能

梅雨の時期など、外気の湿度が高くなる季節でも庫内を適切な湿度に保つ機能です。お米の鮮度を維持し、害虫が繁殖しにくい環境を作ります。カビの発生を抑制する上で非常に重要な役割を果たします。

冷却機能(低温保管)

最も重要な機能の一つが、庫内を低温に保つ冷却機能です。お米の品質を本格的に維持したいのであれば、常温の保管庫ではなく、この機能が付いた「低温倉庫」や「玄米保冷庫」を選ぶ必要があります。次の項目で、なぜ低温保管が重要なのかを詳しく解説します。

お米の品質を保つ低温保管の重要性

お米は野菜などと同じ「生もの」であり、収穫された後も呼吸を続けています。この呼吸は、お米自身が持つデンプンやタンパク質などの成分を分解してしまうため、呼吸が活発になるほど品質の劣化、いわゆる「古米化」が進んでしまいます。

お米の呼吸は、温度が高いほど活発になります。そのため、特に気温が上がる夏場に常温で保管していると、お米の鮮度は急速に失われ、食味も落ちてしまうのです。さらに、高温多湿な環境は、お米の脂質を酸化させて古米臭の原因を作ったり、カビやコクゾウムシなどの害虫が繁殖しやすくなったりと、品質劣化の要因となります。

お米の保管に最適な環境

農林水産省の資料においても、米の品質保持には低温での貯蔵が有効であるとされています。一般的に、お米の品質劣化を防ぐためには、温度15℃以下、湿度70~75%程度の環境で保管することが理想的です。(参考:農林水産省「米の検査」)この低温・低湿環境を一年中キープできるのが、冷却機能付きの低温倉庫や玄米保冷庫なのです。

収穫したての美味しさをできるだけ長く楽しむためには、低温保管がいかに重要であるかがお分かりいただけるかと思います。

米保管庫の屋外用と屋内用の違い

個人向けの米保管庫には、設置場所に応じて「屋外用」と「屋内用」の2種類があります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、ご自身の環境に合ったものを選びましょう。

屋内用

ガレージや物置、土間といった、雨風が直接当たらない屋内に設置することを前提としたタイプです。外気からお米を守るための頑丈な防水・防錆性能は必要ないため、比較的安価な製品が多いのがメリットです。ただし、結局は「米保管庫を置くための別の建物」が必要になるという側面があり、設置スペースが限られる点がデメリットと言えます。

¥58,300 (2025/10/13 08:40時点 | Amazon調べ)

屋外用

家の外の土地に直接設置できる、頑丈な作りの保管庫です。断熱材などがしっかりしており、夏の直射日光や冬の寒さといった外気温の影響を受けにくい構造になっています。特に冷却機能を持つ低温倉庫の場合、屋外に設置できると生活スペースを圧迫せずに済むため非常に便利です。屋内用を設置するための倉庫がない場合は、屋外用を選ぶことになります。価格は屋内用に比べて高価になる傾向があります。

設置場所の注意点

どちらのタイプを設置する場合でも、地面が平らで湿気の少ない場所を選ぶことが重要です。地面に傾斜があると扉の開閉に不具合が生じる場合があるため、コンクリートブロックなどで水平を調整する必要があります。また、直射日光が当たり続ける場所や、水はけの悪い場所は避けるようにしましょう。

目的に合う収穫した米を保管する施設を選ぼう

  • 収穫したお米を保管する施設には共同利用の「ライスセンター」や「カントリーエレベーター」、個人用の「米保管庫」がある
  • ライスセンターは主に乾燥と調製を行う施設で、農家の作業負担を軽減し品質を均一化する
  • カントリーエレベーターは乾燥・調製に加え、サイロによる大規模な長期貯蔵機能を持つ
  • 両者の最大の違いは大規模な貯蔵機能の有無と施設の規模
  • カントリーエレベーターの名称はアメリカ発祥の「田舎の昇降機」が由来
  • 共同施設は全国の米どころにあるJAが運営していることが多い
  • 共同施設の利用料金はJAや利用内容によって異なるため事前の問い合わせが必須
  • 個人用の米保管庫は湿気や害虫、ネズミからお米を守る専用の倉庫
  • 高品質な米保管庫には空気循環、除湿、冷却機能が備わっている
  • お米は収穫後も呼吸しており、高温で保管すると品質が劣化する「古米化」が進む
  • 品質を保つには国の指針でも推奨される温度15℃以下の低温保管が理想的
  • 米保管庫には屋内に設置するタイプと、屋外に直接設置できる頑丈なタイプがある
  • 大規模農家はカントリーエレベーター、小規模農家や家庭では米保管庫など、規模や目的に応じて最適な保管方法を選ぶことが大切
  • お米の品質は収穫後の保管方法によって大きく左右される
  • 適切な施設や保管庫を選ぶことで一年中美味しいお米を食べることができる
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次