家庭菜園の醍醐味といえば、愛情を込めて育てた野菜を収穫する瞬間ではないでしょうか。中でも人気の茎ブロッコリーですが、いざ収穫のタイミングを迎えると「茎ブロッコリーの収穫はどこから切れば良いのだろう?」と手が止まってしまう方は少なくありません。適切な収穫時期や食べごろの収穫の見極め方、さらには元気な葉っぱを切るべきかなど、具体的な収穫の仕方が分からず、せっかくの収穫の喜びを最大限に味わえていないケースもあるでしょう。また、植え付けから収穫までどのくらいの期間がかかるのか、そもそも茎ブロッコリーとブロッコリーの違いとは何なのか、といった基本的な疑問も浮かんできます。時には、栽培中に頂花蕾できないといったトラブルに見舞われたり、収穫した茎は全部食べられるのか、そして採れたての鮮度を保つ保存方法はどのようにすれば良いか、など気になる点は尽きないものです。この記事では、そんな茎ブロッコリーの収穫に関するあらゆる疑問に一つひとつ丁寧にお答えし、初めての方でも迷うことなく、長く美味しく楽しむための秘訣を詳しく解説していきます。
この記事で分かること
- 茎ブロッコリーと一般的なブロッコリーの根本的な違い
- 収穫時期や食べごろを見極める具体的なサイン
- 収穫量を増やすための正しい切り方と場所
- 収穫後の鮮度を長持ちさせる保存のコツ
茎ブロッコリーの収穫はどこから?基本知識編
- 茎ブロッコリーとブロッコリーの違い
- 植え付けから収穫までどのくらい?
- 逃したくない適切な収穫時期
- 食べごろサイン!収穫の見極め方
- 頂花蕾できないときの対処法
茎ブロッコリーとブロッコリーの違い

茎ブロッコリーとブロッコリーは、同じアブラナ科の野菜で見た目も似ていますが、その栽培方法や私たちが主に味わう部分には、はっきりとした違いが存在します。最大の違いは、一般的なブロッコリーが株の中心にできる大きな「頂花蕾(ちょうからい)」を一度に収穫して終わりなのに対し、茎ブロッコリーは中心の頂花蕾をあえて早めに収穫し、その後わき芽から次々と伸びてくるスティック状の「側花蕾(そくからい)」を長期間にわたって収穫し続ける点です。
この根本的な違いは、それぞれの野菜が持つ歴史的背景に由来します。私たちがよく知るブロッコリーがキャベツの仲間から分化して現在の形になったのに対し、茎ブロッコリー(代表品種:スティックセニョール)は、日本の種苗会社であるサカタのタネによって、ブロッコリーと「カイラン」という中国野菜を交配させて開発された、比較的新しい野菜です。(参照:サカタのタネ「茎ブロッコリー スティックセニョール」)カイランが持つ、わき芽が伸びやすい性質と茎の美味しさを受け継いだことで、アスパラガスのような甘く柔らかい茎の食感を楽しむことに特化した品種が誕生しました。
つまり、ブロッコリーは「一点集中型」で、ずっしりとした大きな花蕾を一度収穫するのが目的。一方、茎ブロッコリーは「連続収穫型」で、たくさんの美味しい茎(側花蕾)を長く楽しむのが栽培の醍醐味、と理解するとその違いが明確になります。
それぞれの特徴について、もう少し詳しく比較してみましょう。
項目 | 茎ブロッコリー(スティックセニョールなど) | 一般的なブロッコリー |
---|---|---|
主な収穫部分 | 側花蕾(わき芽から伸びる茎と小さなつぼみ) | 頂花蕾(株の中心にできる大きなつぼみの塊) |
収穫期間 | 非常に長い(適切な管理で数ヶ月間の連続収穫が可能) | 短い(基本的に頂花蕾を収穫して終了) |
食感と味 | 茎は甘みが強く、アスパラガスに似たサクッとした食感。つぼみも美味。 | つぼみの部分を主に楽しむ。茎は太く硬めなことが多い。 |
栄養価の傾向 | 日本食品標準成分表によるとブロッコリーはビタミンCやβカロテンが豊富ですが、茎ブロッコリーも同様に栄養価が高いとされています。 | 花蕾にビタミンやミネラルが豊富に含まれる。 |
植え付けから収穫までどのくらい?
茎ブロッコリーを苗から育て始めた場合、収穫がスタートするまでの期間は、定植(畑やプランターに植え付けること)からおよそ55日〜90日後が一般的な目安です。もちろん、これは栽培する季節(作型)や品種、その年の気候によっても前後します。
茎ブロッコリーの栽培には、主に2つの作型があります。
主な栽培スケジュール(中間地の場合)
- 夏まき秋冬どり:7月~8月頃に種をまき、8月下旬~9月頃に苗を定植します。収穫は10月下旬頃から始まり、上手に管理すれば翌年の2月頃まで楽しめます。最も一般的な作型です。
- 春まき初夏どり:2月~3月頃に種まきをし、3月~4月頃に定植します。収穫期間は5月~6月頃となります。夏越しは難しいため、秋冬どりに比べて収穫期間は短くなる傾向があります。
家庭菜園初心者の方は、種から育てるよりも、園芸店やホームセンターで販売されている健康な苗を購入して植え付ける方が失敗が少なくおすすめです。良い苗は、葉の色が濃く、茎ががっしりとしていて、節間が詰まっているのが特徴です。
特に注意したいのが生育初期の管理です。アブラナ科の野菜はモンシロチョウ(アオムシの親)やコナガなどの害虫に狙われやすいため、植え付けたらすぐに防虫ネットでトンネルを作る対策が、後の豊かな収穫を左右する重要な鍵となります。

逃したくない適切な収穫時期
茎ブロッコリーの収穫で最も大切なルールは、つぼみが固く締まっている状態で、黄色い花が咲く前に収穫することです。このタイミングを逃さないことが、美味しさと収穫量を両立させる秘訣です。
一般的な「夏まき秋冬どり」栽培では、早いもので10月の終わり頃から収穫が始まり、株の様子を見ながら追肥などの適切な管理を続けることで、真冬を越えて翌年の2月頃まで、食卓を彩ってくれます。
もし収穫が遅れてしまうと、株にも味にもいくつかの残念な影響が出てしまいます。
収穫が遅れることによるデメリット
つぼみが緩んで開き始め、黄色い可憐な花が咲いてしまうと、見た目はきれいですが野菜としては収穫適期を過ぎたサインです。花が咲いた状態でも食べることは不可能ではありませんが、株が子孫を残すために花のほうへ栄養や糖分を送ってしまうため、茎の甘みが薄れ、えぐみを感じやすくなります。また、茎の繊維も硬くなり、特有のサクッとした食感が失われてしまいます。 さらに、花を咲かせる行為は株にとって非常にエネルギーを消耗する活動です。一度開花させてしまうと、株が疲弊してしまい、その後に続くはずの側花蕾の発生が著しく悪くなるか、止まってしまいます。結果として、本来得られるはずだった全体の収穫量が大きく減少してしまうのです。
特に、気温が上昇してくる春先の栽培では、つぼみが出来てから開花に至るまでの日数が非常に短くなります。一日見ないうちに花が咲いていた、ということも珍しくありません。毎日の観察を習慣にし、採り遅れがないように注意深く見守りましょう。
食べごろサイン!収穫の見極め方

茎ブロッコリーのポテンシャルを最大限に引き出すためには、収穫のサインを正しく見極めることが不可欠です。収穫は「頂花蕾」と「側花蕾」の2段階に分かれており、それぞれで見るべきポイントが少し異なります。
最初の重要な作業「頂花蕾」の収穫
苗が成長すると、まず株のてっぺん(中心)に最初のつぼみである「頂花蕾」ができます。これを一般的なブロッコリーのように大きく育ててはいけません。頂花蕾の直径が500円玉くらいの大きさ(約2.5cm)になったら、ためらわずにすぐに収穫します。これは「摘心(てきしん)」と呼ばれる重要な作業で、植物の頂点の成長を止めることで、栄養が脇芽へと行き渡るように促す効果があります。この頂花蕾を早めに摘み取ることで、株は「子孫を残すために脇芽をたくさん伸ばさなければ」と判断し、側花蕾の発生が非常に旺盛になります。
メインディッシュ!「側花蕾」の収穫
頂花蕾を収穫してからおよそ1〜2週間が経過すると、葉の付け根部分から側花蕾が次々と顔を出し、スティック状に伸びてきます。これが茎ブロッコリー栽培のメインとなる収穫物です。側花蕾は、茎の長さが15cm〜20cm程度に伸び、先端のつぼみの粒が密集してキュッと固く締まっている状態が、最も美味しい収穫のベストタイミングです。
収穫の見極め重要ポイントまとめ
- 頂花蕾:大きさが500円玉大になったら、他のわき芽を育てるためにすぐに収穫する。
- 側花蕾:茎の長さが15cm〜20cmに伸び、つぼみが濃い緑色で固く締まっていたら収穫する。
- 共通の注意サイン:つぼみの粒の間に隙間が見え始めたり、粒がバラバラと緩んできたり、少しでも黄色い花びらが見えたりしたら、それは採り遅れのサインです。急いで収穫しましょう。
収穫期間の初期に採れる側花蕾は、茎も太く花蕾も密集しており、非常に品質が良いです。収穫を続けていくうちに、だんだんと茎は細くなる傾向にあります。「もったいない」と収穫をためらわず、美味しいうちにどんどん収穫していくことが、株を疲れさせずに次の収穫へとつなげるコツです。
頂花蕾できないときの対処法
「苗を植えてからずいぶん経つのに、中心に出てくるはずのつぼみ(頂花蕾)がなかなかできない」という栽培中のトラブルも、時々聞かれます。その場合、いくつかの原因が考えられますので、ご自身の栽培環境と照らし合わせてみてください。
- 肥料不足、特に初期の栄養不足:茎ブロッコリーは収穫期間が長い分、たくさんの肥料を要求する野菜です。特に株が体を大きくする生育初期に肥料が不足すると、花蕾をつけるための体力が株に備わらず、つぼみが形成されないことがあります。
- 日照不足による生育不良:ブロッコリーを含むアブラナ科の野菜は、基本的に日光を好みます。建物の影になる時間が長い場所や、他の野菜の陰になるような場所で育てていると、光合成が十分に行えず、株全体がひょろひょろと育ち(徒長)、花芽分化が遅れる原因となります。
- 害虫による生長点の食害:植え付け後のまだ苗が小さい時期に、ヨトウムシやシンクイムシといった害虫に、株の中心にある最も重要な部分「生長点」を食べられてしまうことがあります。生長点が失われると、そこから成長してできるはずの頂花蕾は形成されません。
万が一、頂花蕾ができない場合でも、すぐに栽培を諦める必要はありません。特に害虫被害で頂花蕾が形成されなかった場合は、結果的に摘心したのと同じ状態になり、脇芽である側花蕾が元気に育ってくることがよくあります。株全体の葉が元気であれば、そのまま側花蕾の発生を待ってみましょう。
効果的な対処法と事前の予防策
最も重要な対策は、適切なタイミングでの追肥です。苗の定植から20日〜25日後を目安に1回目の追肥を行い、その後も収穫が続いている間は、2〜3週間に1回のペースで株の周りに化成肥料などを施し、軽く土寄せをします。また、植え付け場所は一日最低でも5〜6時間は日の当たる場所を選ぶのが理想です。そして、前述の通り、植え付け直後からの防虫ネットの利用は、害虫による食害を防ぐ上で非常に効果的です。

茎ブロッコリーの収穫はどこから?実践方法編
- 長く楽しむための収穫の仕方
- 残す葉っぱと茎を切る場所
- 甘い茎は全部食べられるのか
- 収穫後の正しい保存方法
- 茎ブロッコリー収穫はどこから?要点のまとめ
長く楽しむための収穫の仕方

茎ブロッコリーの最大の魅力である「長期収穫」。そのポテンシャルを最大限に引き出すためには、収穫の仕方にいくつかの重要なコツがあります。これらを実践することで、1本の株から驚くほどの本数を収穫することが可能になります。
結論から言うと、その秘訣は「①頂花蕾の早期収穫 → ②側花蕾のこまめな収穫 → ③定期的な追肥 → ④株の若返り(切り戻し)」という一連のサイクルを続けることです。まず、前述の通り頂花蕾を500円玉大で早めに収穫することで脇芽の成長スイッチを入れ、伸びてきた側花蕾を適期に次々と収穫していきます。収穫は株の栄養を奪う行為でもあるため、収穫が続く限りは定期的に追肥を行い、栄養を補給してあげることが不可欠です。
そして、さらに収穫量を増やし、期間を延ばすためのプロの技が「切り戻し」です。
株を若返らせるアンチエイジング術「切り戻し」
収穫を2ヶ月ほど続けていると、だんだんと茎が鉛筆のように細くなったり、花蕾がすぐにバラけてしまったりと、株に「老化」のサインが見え始めます。これは株が疲れてきた証拠です。 そのような状態になったら、思い切って株全体を大胆に切り戻してみましょう。株元近くの地際部分から、新しく出ている元気な脇芽や枝を1〜2本選び、それ以外の古い茎をハサミでばっさりとカットします。草丈が半分ほどになりますが、心配ありません。この作業の後に株元に追肥を施すことで、残した若い芽が勢いよく成長を始め、2〜3週間もすれば再び太くて質の良い側花蕾が収穫できるようになります。この若返り作業を収穫期間中に1〜2回行うことで、まるで新しい株のようにリフレッシュさせることができます。
この「収穫・追肥・切り戻し」のサイクルを上手に回すことで、家庭菜園でも1株から100本近い収穫を目指すことができ、コストパフォーマンスの非常に高い野菜となります。
残す葉っぱと茎を切る場所
茎ブロッコリーを収穫する際に、多くの人が悩むのが「茎のどこから切るか」という点です。切る場所を正しく理解することは、次の収穫量や株の健康状態に直接影響する、非常に重要なポイントです。
収穫する際の正しい切り方は、収穫したい側花蕾の茎の付け根にある葉を2枚ほど残し、全体の長さが15cm~20cmになる位置を目安に、清潔なハサミやナイフでスパッと斜めに切るのが基本となります。
なぜ「葉を2枚残す」のか、そして「斜めに切る」のか。これにはそれぞれ、植物の生理に基づいた明確な理由があるんですよ!
葉っぱを2枚ほど残す理由
葉は、植物が太陽の光を浴びて栄養分を作り出す「工場」の役割を担っています。収穫時に茎についている葉を全て取り去ってしまうと、この光合成工場が失われ、株が新しい栄養を作り出す能力が著しく低下してしまいます。元気な葉を数枚残しておくことで、株全体の光合成能力を維持し、それが次の側花蕾を元気に育てるためのエネルギー源となるのです。また、残した葉の付け根から、さらに新しいわき芽が伸びてくることもあります。
茎を斜めに切る理由
茎の切り口を斜めにする最大の目的は、病気の発生を予防するためです。もし切り口を水平(真横)に切ってしまうと、そのくぼみに雨水や水やりの水が溜まりやすくなります。切り口が長時間湿った状態にあると、そこから雑菌が侵入し、株が内部から腐ってしまう「軟腐病」などの細菌性の病気を引き起こす大きな原因となります。切り口を斜めにしておくことで、水滴が表面を流れ落ちやすくなり、切り口が迅速に乾燥するため、病気のリスクを大幅に減らすことができるのです。(参考:千葉県農林総合研究センター「ブロッコリー花蕾腐敗病の多発生要因と耕種的防除」)
収穫作業は、できるだけ空気が乾燥している晴れた日の午前中に行うのが理想的です。雨の日や湿度の高い夕方に作業を行うと、切り口が乾きにくく、病原菌が付着するリスクが高まるため注意しましょう。また、使用するハサミは、可能であれば事前にアルコールスプレーなどで消毒しておくと、より確実な病気予防につながります。
甘い茎は全部食べられるのか

はい、その名の通り、茎ブロッコリーはアスパラガスのような甘みと特有の食感を持つ「茎」こそが主役であり、もちろん根元まで美味しく食べられます。さらに、収穫時に一緒についてくる葉の部分も栄養豊富で、全く無駄なく全ての部分を味わうことができる、非常にエコロジーな野菜です。
ただし、その美味しさを最大限に引き出すためには、下ごしらえに少しだけコツがあります。収穫した茎の根元に近い部分は、成長する過程で表皮が少し硬くなっていることがあります。この部分をそのまま調理すると、少し筋っぽい食感が残ってしまう場合があります。ピーラー(皮むき器)を使って、根元から数センチの表面の皮を薄く一層むいてあげるだけで、この筋っぽさがなくなり、驚くほど柔らかく、甘みをダイレクトに感じられるようになります。
葉の部分は、ビタミンやミネラルが豊富に含まれています。捨ててしまわずに、細かく刻んで炒め物に加えたり、さっと茹でておひたしや和え物にしたりすると、彩りも栄養もプラスできます。
万能選手!茎ブロッコリーのおすすめ調理法
茎ブロッコリーはクセがなく、どんな調理法とも相性が良いのが魅力です。
- シンプルに味わう:塩をひとつまみ入れたお湯で1〜2分さっと茹で、マヨネーズやドレッシングをかけるだけで、素材本来の甘さを楽しめます。
- 炒め物:豚バラ肉を巻いて焼く「肉巻き」は、子どもにも大人にも大人気。ベーコンやニンニク、鷹の爪と一緒に炒めてペペロンチーノ風にするのも絶品です。
- 揚げ物:天ぷらやフリットにすると、つぼみはサクッと、茎はホクホクとした食感のコントラストが楽しめます。
- その他:シチューやポタージュの具材にしたり、パスタのソースに絡めたりと、アイデア次第でレパートリーは無限に広がります。

収穫後の正しい保存方法

茎ブロッコリーは、収穫後も呼吸を続ける「生きている」野菜です。そのため、常温に放置しておくと、水分が蒸発し、蓄えられた糖分を消費してしまい、急速に鮮度が落ちてしまいます。採れたての美味しさを少しでも長く保つためには、収穫後すぐに適切な方法で保存することが非常に重要です。
基本の冷蔵保存(保存期間:2〜3日程度)
日常的に消費する場合の基本的な保存方法は、「乾燥を防ぐこと」と「立てて保存すること」が2大ポイントです。手順はとても簡単です。
- まず、湿らせたキッチンペーパーで、茎の切り口を優しく包み込みます。これにより、切り口からの水分の蒸発を効果的に防ぎます。
- 次に、全体をポリ袋に入れるか、新聞紙やラップでふんわりと包みます。密閉しすぎると水滴がついて傷みの原因になるため、少し空気が通るようにするのがコツです。
- 最後に、冷蔵庫の野菜室に、牛乳パックやペットボトルをカットした容器などを利用して、畑で育っていた時と同じように「立てた状態」で保存します。
植物には重力に逆らって起き上がろうとする性質があり、横に寝かせて保存すると、起き上がるために無駄なエネルギーを消費して鮮度の低下を早めてしまいます。立てて保存することで、このエネルギー消費を抑え、鮮度を長持ちさせることができます。
便利な冷凍保存(保存期間:約1ヶ月程度)
一度にたくさん収穫できた場合や、すぐに食べきれない場合には、冷凍保存が非常に便利です。下処理をしておくことで、調理の時短にもつながります。
- 茎ブロッコリーをよく洗い、お好みの使いやすい大きさ(一口大など)にカットします。
- 鍋にお湯を沸かし、塩をひとつまみ加えます。沸騰したら、カットした茎ブロッコリーを入れ、30秒〜1分程度、通常よりも固めに茹でます。
- 茹で上がったらすぐにザルにあげ、冷水にさらして急激に冷やします。これにより、余熱で火が通り過ぎるのを防ぎ、鮮やかな緑色を保ちます。
- 冷えたらキッチンペーパーなどで、表面の水分を徹底的に拭き取ります。水分が残っていると、霜の原因となり品質が落ちてしまいます。
- 冷凍用の保存袋に、なるべく平らになるように重ならないように入れ、袋の中の空気をしっかりと抜いてから封をし、冷凍庫で保存します。
このひと手間をかけておけば、凍ったまま炒め物やスープ、シチューなどに直接加えることができ、忙しい日の食事作りに大活躍します。

茎ブロッコリー収穫はどこから?要点のまとめ
最後に、この記事で解説した茎ブロッコリーの収穫に関する重要なポイントをリスト形式で振り返りましょう。これらの要点を押さえることで、あなたも茎ブロッコリーマスターになれるはずです。
- 茎ブロッコリーは側花蕾を長期間にわたって収穫する野菜
- 一般的なブロッコリーは中心の大きな頂花蕾を一度に収穫する
- 収穫開始の目安は苗を植え付けてから約55日〜90日が一般的
- 収穫のベストタイミングはつぼみが固く締まっている花が咲く前
- 最初の頂花蕾は500円玉くらいの大きさで早めに収穫する
- 頂花蕾を早く収穫することで側花蕾の数が増え収量アップにつながる
- メインの側花蕾は茎の長さが15cm〜20cmになったら収穫する
- 収穫が遅れて花が咲くと味が落ちて株も弱り全体の収穫量が減る
- 切る場所は次の成長のため葉を2枚ほど残した茎の付け根から
- 病気を予防するため茎の切り口は水平ではなく斜めにする
- 収穫作業は株への負担が少ない晴れた日の午前中が理想
- 甘い茎はもちろん葉の部分も美味しく食べられる
- 茎の根元が硬い場合はピーラーで薄く皮をむくと食感が良くなる
- 冷蔵保存は乾燥を防ぎ野菜室で立てて保存するのが鮮度を保つコツ
- 長期保存したい場合は固めに塩茹でしてから冷凍保存が便利
- 定期的な追肥と株が疲れた際の切り戻しでさらに長く収穫を楽しめる