つくね芋の収穫時期はいつ?サインと保存方法、栽培のコツを解説

※本ページはプロモーションが含まれています

つくね芋を育てていると、つくね芋の収穫時期はいつが最適なのか悩みますよね。適切な収穫サインはどう見分けるのか、また収穫した後はどのように扱えば良いのでしょうか。美味しいつくね芋をしっかり収穫量を確保して楽しむためには、栽培初期の種芋の作り方芽出しの工程、生育途中の肥料の与え方や支柱の立て方、さらにはむかごの扱いまで、一連の流れを理解しておくことが大切です。もちろん、収穫後の正しい保存方法も知っておく必要があります。この記事では、つくね芋の栽培から収穫、保存に至るまでの全ての疑問に、専門的な視点から詳しくお答えします。

この記事で分かること

  • つくね芋の最適な収穫タイミングが分かる
  • 収穫後の正しい保存方法と取り扱いが分かる
  • 収穫量を増やすための栽培管理のコツが分かる
  • 種芋の準備から収穫までの流れを理解できる
目次

つくね芋の収穫時期の見分け方

  • 収穫サインは葉と茎の変化
  • 早すぎはNG?収穫した後は
  • つくね芋の正しい保存方法
  • 収穫量を増やす栽培のコツ

収穫サインは葉と茎の変化

つくね芋の収穫時期は、一般的に10月下旬から12月頃が目安となります。地域やその年の気候によって多少前後しますが、秋が深まり、気温が下がってきた頃が収穫のスタートラインです。

最適なタイミングを判断するための最も分かりやすい収穫サインは、地上部の茎や葉の状態です。春から夏にかけて旺盛に光合成を行い、地中の芋に養分を送り続けていた葉が、黄色く色づき始めます。やがて、つるの先端部分まで褐色に変化し、最終的に全体が枯れてきたら、それが「収穫OK」の合図です。これは、地中の芋が十分に成熟し、地上部への養分供給が完了したことを示しています。

逆に、まだ葉や茎に緑色が鮮やかに残っているうちは、芋がまだ最後の成長を続けている最中です。この段階で焦って収穫してしまうと、芋の成熟が不十分となり、味や保存性に大きく影響が出るため、茎葉が完全に枯れるまでじっくり待つことが重要です。

収穫タイミングのポイント

  • 時期の目安: 10月下旬~12月頃(霜が降りる前が理想)
  • 判断基準: 地上部の茎葉が全体的に黄色くなり、先端まで褐色に枯れ始めたら収穫のサインです。

早すぎはNG?収穫した後は

つくね芋の収穫は、早すぎると多くのデメリットが発生します。見た目の大きさが十分であっても、中身が成熟していない可能性があるのです。

前述の通り、葉が緑色のうちに収穫してしまうと、芋は未成熟な状態です。未成熟な芋は、保存性が著しく悪いだけでなく、すりおろした際に切り口が褐色に素早く変色しやすくなる傾向があります。この褐変は、芋に含まれるポリフェノール系物質が酸化酵素の働きによって酸化することで起こります。芋が十分に成熟するにつれて、この酵素の活性が低下するため、完熟した芋は褐変しにくくなります。しっかり完熟するまで待つことは、美味しさだけでなく見た目を保つためにも大切です。

収穫時のポイントと収穫後の処理

収穫作業は、土が適度に乾いている晴れた日の午前中に行うのが最適です。土が濡れていると、芋に土が多く付着し、後の乾燥や保存に手間がかかります。

掘り起こす際は、芋を傷つけないように細心の注意が必要です。株元から20~30cmほど離れた場所にスコップを深く入れ、芋の周囲の土ごと大きく掘り上げるようにします。つくね芋は地表近くにできる品種が多いですが、油断するとスコップで傷つけてしまうため、慎重に作業を進めましょう。

そして、収穫した後は、すぐに土を洗い流したり、強くこすり落としたりしないのがコツです。掘り上げた芋は、雨の当たらない風通しの良い日陰で、表面が軽く乾くまで数時間から半日ほど陰干しします。土が自然に乾いた後、手で優しく土を払い落とす程度に留めましょう。

収穫後の注意点:直射日光は厳禁

掘り上げたばかりのつくね芋を直射日光に当てるのは絶対に避けてください。日光に含まれる紫外線に当たると、芋の表皮がピンクや紫色に変色し、アク(えぐみ)の原因となる成分が生成されてしまうことがあります。必ず日陰で乾燥させましょう。

つくね芋の正しい保存方法

つくね芋(ヤマトイモ)は、熱帯・亜熱帯原産のヤマノイモ科の野菜であり、寒さに弱いという特性を持っています。適切な方法で保存することで、長期間にわたってその粘りと風味を保つことができます。

最も基本的な保存方法は、収穫後に軽く土を落とした芋を新聞紙で一つずつ丁寧に包み、風通しの良い冷暗所(例:床下収納、暖房の影響を受けない北側の部屋、玄関など)で保管する方法です。発泡スチロールの箱やおが屑、もみ殻の中に入れておくのも、温度と湿度を安定させるのに効果的です。

農林水産省が提供する情報によれば、ナガイモなどのヤマイモ類は10℃~15℃程度の冷暗所での保存が適しているとされています。(出典:農林水産省「特集2 やまといも(1)」)つくね芋もこれに準じ、低温すぎない場所で保存するのが望ましいです。

冷蔵庫での保存はNG?

つくね芋は寒さに弱く、一般的に5℃以下の環境に長時間さらされると低温障害を起こしやすいとされています。低温障害を起こすと、芋が傷みやすくなったり、食べたときに異臭がしたりすることがあります。そのため、丸ごとの芋を冷蔵庫(特にチルド室)で長期間保存するのは適していません。 ただし、一度カットした使いかけの芋は、腐敗を防ぐために切り口をぴったりとラップで包み、冷蔵庫の「野菜室」(5℃~10℃程度)で保存し、2~3日中を目安に早めに使い切るようにしましょう。

冷凍保存の方法

長期間保存したい場合は、冷凍が便利です。ただし、冷凍したつくね芋は生食(とろろ)には向きません。繊維が壊れるため、粘りが弱くなったり食感が変わったりするためです。

  • すりおろして冷凍: 皮をむいてすりおろし、1回分ずつ小分けにして保存袋に入れ、薄く平らにして冷凍します。解凍後は、磯辺揚げ、お好み焼きのつなぎ、汁物(とろろ汁)などに利用できます。
  • カットして冷凍: 皮をむいて輪切りや短冊切りにし、重ならないようにバットに並べて急速冷凍します。凍ったら保存袋に移します。こちらは煮物や揚げ物、炒め物などにそのまま使えて便利です。

収穫量を増やす栽培のコツ

つくね芋の収穫量を増やし、大きく立派な芋を育てるためには、植え付け前の土づくりから収穫までの継続的な管理が非常に重要です。

まず、つくね芋は連作を非常に嫌う野菜です。同じヤマノイモ科の野菜(長芋、自然薯など)を数年以内に栽培した場所では、土壌中の病原菌やセンチュウの影響で生育不良を起こしやすくなります。JA(農業協同組合)などの指導でも、ヤマノイモ類の栽培後は3~4年、できれば5年以上は同じ場所での栽培を避けるよう推奨されています。(参考:JA全農「担い手TAC向け情報 2021年4月号」)

栽培場所は、日当たりと水はけの良い場所を選びます。植え付けの2週間ほど前に苦土石灰を1平方メートルあたり100g~150gほどまいて土壌の酸度を中和し、1週間前に完熟堆肥(1平方メートルあたり2~3kg)や有機質肥料、化成肥料をすき込んで、水はけと通気性に優れたふかふかの土を作っておくことが、芋がストレスなく大きく育つための第一歩です。

栽培管理の重要ポイント

  • 土壌: 日当たりと水はけの良い場所を選び、堆肥などで深く、柔らかく耕しておく。
  • 畝(うね): 水はけを良くし、地温を上げるために、高畝(高さ30cm程度)にするのがおすすめです。芋が横に広がるスペースも確保できます。
  • マルチ: シルバーマルチや黒マルチを利用すると、土壌水分の保持、雑草の抑制、地温の確保(特に春先)に大きな効果が期待できます。
  • 水やり: つくね芋は夏の乾燥に非常に弱いです。梅雨明け後、晴天が続いて土の表面が乾いたら、朝夕の涼しい時間帯に畝間にたっぷりと水を与え、水分を確保することが収穫量アップに直結します。

栽培からつくね芋の収穫時期までの流れ

  • 良い種芋 の 作り方と準備
  • 失敗しない芽出しの方法
  • 支柱を立てる最適な時期
  • 適切な肥料(追肥)とは
  • むかごの扱いはどうする?
  • つくね 芋 収穫 時期の総まとめ

良い種芋 の 作り方と準備

つくね芋の栽培は、春先の良い種芋を準備することから始まります。種芋はホームセンターや種苗店などで購入するほか、前年に収穫した芋のうち、形が良く病気のないものを種芋用として保存しておくことも可能です。

一つの種芋が大きい場合(目安として200g以上)は、そのまま植えるのではなく、1片あたり40g~80g程度になるよう切り分けます。小さすぎると初期生育に必要な養分が不足し、大きすぎるとコストがかかるため、この範囲が一般的です。このとき、芋の中心部にある頂芽(茎が伸びていた痕跡がある部分)は発芽が早すぎるため、あえて取り除くか、均等に切り分けるようにします。

切り方は、スイカやミカンを切るように中心から放射状に切り分ける(ミカン切り・スイカ切り)のが、全ての芋片に表皮(発芽点)が均等につくため推奨されます。

切り分けた種芋は、切り口が病原菌の侵入経路となるため、そのまま植えると土壌中で腐敗する原因になります。必ず以下のいずれかの処理を行ってください。

  • 方法1(乾燥法): 最も一般的な方法です。切り口を上にして、直射日光の当たらない風通しの良い日陰で2週間程度しっかりと乾燥させ、切り口にコルク層(かさぶたのような膜)を作らせます。
  • 方法2(殺菌剤・灰): 切り口に専用の殺菌剤を塗布するか、草木灰(そうもくばい)や消石灰を薄くまぶします。これにより腐敗を予防します。

これらの処理を終えた種芋は、地温が十分に上がった4月中旬から5月頃に植え付けます。

失敗しない芽出しの方法

つくね芋の栽培で初心者が最も失敗しやすいのが、植え付けた種芋が発芽せずに土の中で腐ってしまうケースです。これは、地温が低い時期に植え付けたり、過湿になったり、深く植えすぎたりすることが主な原因です。

つくね芋の発芽適温は20℃~25℃程度と比較的高めです。地温が低い4月上旬などに焦って早植えすると、種芋が活動を開始できず腐敗しやすくなります。桜が散り、八重桜が咲き始める頃(4月下旬~5月上旬)まで待ってから植え付けるのが安全ですよ。

植え付けの際は、深さ7~10cm程度の植え穴を掘り、種芋の切り口を「上」に向けて浅めに植え付けます。これは非常に重要なポイントです。切り口(平らな面)を上にすることで、芋の表皮(丸い側)が地温を感知しやすくなり、発芽が促進されるとされています。また、この向きに植えることで、形の良い丸い芋が収穫できるとも言われています。

覆土は2~5cm程度と浅めにします。深く植えすぎると地温が上がらず、発芽が遅れる原因になります。

より確実性を高めたい場合は、植え付け前にビニールポットに種芋を植え付け、日当たりの良い暖かい場所(ビニールハウスや室内の窓辺など)で管理し、芽が出たものを確認してから畑に定植する「芽出し」作業を行う方法もあります。これにより、発芽不良による欠株を防ぐことができます。

支柱を立てる最適な時期

つくね芋はつる性の植物であり、生育旺盛につるを伸ばします。このつるを適切に管理することが、芋の肥大に直結するため、栽培には支柱が必須です。

種芋の植え付けから約1ヶ月が経ち、無事に発芽したつるが15cm~20cm程度に伸びてきたら、それが支柱を立てる最適な時期です。遅すぎるとつるが地面を這い始め、作業がしにくくなるため早めに対応しましょう。

一般的には、株間(20~30cm)ごとに180cm程度の支柱を立て、きゅうりネットやフラワーネットを張る「垣根仕立て」が、管理がしやすく通気性も確保できるためおすすめです。

つるを上に伸ばして葉を重ならないようにしっかり茂らせることで、光合成の効率が最大化され、その養分が地中の芋に集中的に送り込まれます。逆につるが地面を這ったり、支柱が低くてつるが垂れ下がったりすると、芋の肥大が悪くなるだけでなく、雨の跳ね返りによる病害虫の発生リスクも高まるため、早めに誘引作業を行ってください。

適切な肥料(追肥)とは

つくね芋は「芋」を収穫するため、肥料、特に窒素(N)成分の与えすぎは禁物です。窒素が多すぎると、地上部の葉や茎ばかりが過剰に茂ってしまい、肝心の地中の芋が大きくならない「つるボケ」という状態を引き起こすため、注意が必要です。

肥料は、植え付け前に土壌に混ぜ込む「元肥(もとごえ)」と、生育の途中で追加する「追肥(ついひ)」に分けて施します。

芋を太らせるためには、リン酸(P)カリウム(K)の成分が重要です。市販のイモ類専用の肥料(例:チッソ4、リンサン10、カリ10など、リン酸やカリウムの割合が高いもの)を利用するのが最も簡単で確実です。

施肥のスケジュール例

種類 時期の目安 施肥のポイントと肥料の例
元肥 植え付け1週間前 堆肥などとともに、緩効性肥料やイモ専用肥料を土全体に混ぜ込む。
追肥 (1回目) 6月下旬頃 (植え付け約60日後、つるが伸び始めた時期) 化成肥料(N-P-K=8-8-8など)またはイモ専用肥料を、1平方メートルあたり30g程度、株元を避けて畝の肩(うねのかた)に施し、軽く土寄せする。
追肥 (2回目) 7月下旬~8月上旬頃 (芋が肥大し始める時期) 1回目と同様に、畝の肩に化成肥料を施し、土寄せする。追肥は遅くとも8月末までに終えるようにします。

秋以降に窒素肥料が効きすぎると、芋の品質低下や保存性の悪化につながるため、夏の終わりまでに追肥を完了させることが重要です。生育状況を見て、葉の色が薄いようであれば追肥を行いますが、青々としている場合は無理に与える必要はありません。

むかごの扱いはどうする?

秋になると、長芋(ナガイモ)や自然薯(ジネンジョ)は、葉の付け根(葉腋)に「むかご」と呼ばれる球状の小さな芋(肉芽)をたくさん付けます。これは「むかご飯」などで食べられる秋の味覚の一つです。

しかし、つくね芋(ヤマトイモ)は、品種の特性として基本的にムカゴができないか、できにくいとされています。多くの種苗会社の品種紹介ページでも、つくね芋(大和芋)の特性として「ムカゴができず、栽培もやや難しい」と解説されていることが一般的です。(参考:タキイ種苗株式会社「山芋(ヤマイモ)の栽培方法」

もし、つくね芋にムカゴができたら?

つくね芋でも、栽培している品種や栽培条件(特に支柱が低くてつるが垂れ下がった場合など)によっては、稀に小さなムカゴができることがあります。 もしムカゴを見つけたら、地中の芋を充実させるために、早めに摘み取ることをおすすめします。ムカゴをそのままにしておくと、本来地中の芋に行くべき養分がムカゴに分散してしまい、芋の肥大が抑制される(収穫量が減る)可能性があるためです。

つくね芋の収穫時期の総まとめ

この記事では、つくね芋の収穫時期の見極め方から、収穫後の扱いや栽培のコツまでを詳細に解説しました。最後に、美味しくて立派なつくね芋を収穫するための重要なポイントをリスト形式で総まとめします。

  • つくね芋の収穫時期は10月下旬から12月頃が目安
  • 収穫サインは地上部の茎や葉が全体的に黄色く枯れ始めた頃
  • 葉が緑色のうちに早掘りすると保存性が悪く、すりおろした際に褐変しやすい
  • 収穫作業は土が乾いた晴れた日の午前中がおすすめ
  • 掘り上げたら直射日光を避け、風通しの良い日陰で軽く乾燥させてから土を落とす
  • 保存は新聞紙に包み、10℃~15℃程度の風通しの良い冷暗所で行う
  • 丸ごとの芋を5℃以下の冷蔵庫で長期保存すると低温障害の恐れがあるため避ける
  • 収穫量を増やすには連作を避け(3~5年空ける)、水はけの良い土で高畝にする
  • 夏の乾燥は芋の肥大に大きく影響するため、土が乾いたら水やりを欠かさない
  • 種芋は40g~80g程度に切り分け、切り口を乾燥させるか草木灰で処理する
  • 植え付けは地温が十分に上がった4月下旬以降に、切り口を「上」に向けて浅植えする
  • つるが15cmほど伸びたら、早めに支柱を立ててネットなどに誘引する
  • 肥料の窒素過多は「つるボケ」の原因になるため、リン酸・カリウム中心の肥料を選ぶ
  • 追肥は6月下旬と7月下旬の2回が目安で、遅くとも8月末までに終える
  • つくね芋は基本的にムカゴができにくいが、もしできたら養分確保のため早めに摘み取る
    よかったらシェアしてね!
    • URLをコピーしました!
    • URLをコピーしました!
    目次