さつまいもつる取り用の育て方!種芋の冬越しから失敗しない苗作り

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こんにちは。今日も田んぼと畑から、運営者の「あつし」です。

美味しいさつまいもを収穫するために、今年は苗から自分で育ててみたいと考えている方も多いのではないでしょうか。しかし、いざさつまいものつる取り用の育て方について調べ始めると、種芋の保存が難しそうだったり、適切な時期や温度管理がわからなかったりと、不安な点も出てくるはずです。私自身も最初は見よう見まねで挑戦して、種芋を腐らせてしまった苦い経験があります。でも、いくつかのポイントさえ押さえれば、自宅でも元気な苗をたくさん作ることができるんですよ。この記事では、種芋の冬越しから伏せ込み、そして水耕栽培やプランターを使った苗作りのコツまで、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。

【この記事で分かること】

  • 種芋を腐らせずに冬越しさせるための具体的な保存テクニック
  • 失敗を防ぐための伏せ込み時期と温度管理の重要ポイント
  • ペットボトルを使って室内で手軽に苗を作る水耕栽培の手順
  • 苗の収穫量を劇的に増やす切り戻しの方法と定植のタイミング
目次

さつまいもつる取り用の育て方と冬越し準備

さつまいもの苗作りは、春になってから急に始まるわけではありません。実は、前年の秋に収穫した芋をいかに冬越しさせるかが、成功の大きな鍵を握っているんです。ここでは、さつまいものつる取り用の育て方における最初のステップである種芋の準備から、苗を育てるための土台作りまでを解説していきますね。

種芋の冬越しと保存方法のコツ

さつまいもは熱帯原産の植物なので、日本の冬の寒さが大の苦手です。種芋として使う芋を春まで健全な状態で保存するためには、温度管理と保湿が何より重要になります。ここでの失敗が、翌春の苗作りができるかどうかを決定づけると言っても過言ではありません。

まず、保存に適した温度ですが、一般的に13℃〜15℃程度が最適と言われています。農林水産省の資料でも、貯蔵に一番よい状態としてこの温度帯が推奨されています(出典:農林水産省『サツマイモができるまで』)。これが10℃を下回ると、芋の内部で「低温障害」と呼ばれる細胞の壊死が始まり、黒ずんで腐りやすくなってしまいます。逆に温度が高すぎて18℃を超えてくると、今度は呼吸が活発になりすぎて養分を消耗したり、意図しない時期に芽が出てしまったりします。特に注意したいのは「5℃以下」になる環境です。これだけは絶対に避けてくださいね。

また、保存を始める前の準備として「キュアリング」という工程を意識することも大切です。これは、収穫したばかりの芋を、湿度が高く温かい場所(30℃前後)に数日間置くことで、皮の下にコルク層を作り、傷を自己修復させる処理のことです。家庭で行うのは難しいかもしれませんが、収穫してからすぐに保存箱に詰め込むのではなく、30日程度風通しの良い日陰で追熟させ、表面の傷が乾いてから保存に移るだけでも、貯蔵性は格段に上がります。

家庭でできる最強の保存テクニック

私のおすすめは、「新聞紙+段ボール+発泡スチロール」の三重構造です。まず、芋を一つずつ新聞紙で包みます。これは湿度調整と、もし一つが腐っても隣に菌が移らないようにするためです。次に、それを段ボール箱に入れます。そして最後に、その段ボール箱ごと一回り大きな発泡スチロールの箱に入れたり、毛布でくるんだりして断熱性を高めます。保管場所は、人が生活しているリビングや台所の隅、あるいは冷蔵庫の上(放熱で暖かい)などが、温度変化が少なく安心ですよ。

苗作りの時期と伏せ込みの適期

次に、種芋を土に埋めて芽を出させる「伏せ込み」のタイミングについてお話しします。春の陽気を感じ始めると、つい「早く植えたい!」と気持ちが早まってしまいますよね。しかし、ここでの焦りは禁物です。3月下旬から4月上旬が、一般地における最も安全で確実な適期となります。

この時期設定には、明確な根拠と計算があります。伏せ込みをしてから、種芋が目覚めて発芽し、さらに畑に植えられる大きさの苗(つる)が育つまでには、積算温度にもよりますが、およそ40日〜50日程度の日数を要します。もし、本圃(畑)への定植を、霜の心配がなくなる5月下旬から6月上旬に行いたいと考えた場合、そこから逆算すると3月下旬あたりがスタートラインになるわけです。これより早く始めすぎると、まだ外気温が低い時期に温度管理に苦労することになりますし、逆に遅すぎると、定植適期に苗が間に合わず、栽培期間が短くなって収量が落ちてしまいます。

地域の気候によって多少の前後はありますが、一つの目安として「ソメイヨシノ(桜)が満開になる頃」と覚えておくと良いでしょう。この時期になれば、地温も少しずつ安定してきており、日中の気温も種芋が活動を始めるのに十分な高さになります。

早すぎるスタートの致命的なリスク

まだ寒さが残る3月上旬などに無理をして伏せ込みをしても、地温が15℃に達しない日が続くと、種芋はずっと休眠したまま土の中で過ごすことになります。土の中が冷たく湿った状態が長く続くと、発芽するどころか、種芋が呼吸できずに窒息し、カビが生えて腐敗してしまうリスクが非常に高くなります。「急がば回れ」の精神で、十分暖かくなるのを待つ勇気も、苗作り成功の秘訣ですよ。

失敗対策と種芋の伏せ込み方法

いよいよ種芋を植え付けますが、ここにも「さつまいもならでは」の独特なコツがあります。ただ土に埋めれば良いというわけではありません。種芋には明確な「方向」があり、それを理解して植え付けることで、発芽のスピードと苗の質が劇的に変わります。

まず、種芋の「頭」と「尻」を見分けましょう。収穫した時に太い茎(つる)がつながっていた切り口がある方が「頭」で、細くとがっている方が「尻」です。さつまいもには「頂芽優勢」といって、頭の方から優先的に芽が出る性質があります。この性質を最大限に活かすためのおすすめの伏せ込み方法は、「頭を揃えて、背中を出して斜めに植える」というスタイルです。

具体的には、プランターや育苗箱の土に対して、種芋を45度くらいの角度で斜めに寝かせます。この時、完全に土の中に埋没させるのではなく、芋の背中(上側の表面)が、全長の1/3程度土から顔を出している状態にします。なぜこのような植え方をするのでしょうか?最大の理由は「地温の確保」と「酸素供給」です。背中を日光に当てて温めることで、芋全体の温度が上がりやすくなり、休眠打破のスイッチが早く入ります。また、土に埋まっていない部分があることで、芋が呼吸しやすくなり、多湿による腐敗のリスクを減らすことができるのです。

腐敗を防ぐための土作りレシピ

種芋が腐る最大の原因は、水のやりすぎによる酸欠と低温です。これを防ぐためには、とにかく「水はけの良い土」を使うことが鉄則です。畑の土をそのまま使うと、粘土質で水が抜けにくい場合があるのでおすすめしません。 家庭で行うなら、市販の「野菜用培養土」に「赤玉土(小粒)」や「川砂」を2〜3割混ぜ込むのがベストです。肥料分は培養土に含まれている微量で十分ですし、むしろ肥料が多すぎると腐敗の原因にもなるので、追肥などはこの段階では不要です。「清潔で、水がすっと抜ける土」を用意してあげてくださいね。

ペットボトルで水耕栽培する手順

「庭や畑がないから、もっと手軽に苗を作りたい」「土を使うと部屋が汚れるのが嫌だ」という方には、廃材のペットボトルを活用した水耕栽培が強くおすすめです。これならキッチンの窓辺やリビングのテーブルの上で管理できるので、温度管理も非常に簡単ですし、何より毎日根や芽が伸びていく様子を観察できるのがとても楽しいですよ。

手順 詳細な作業内容
1. 容器の準備 2Lの空きペットボトル(角型が安定しておすすめ)を用意します。カッターを使って上から1/3くらいの位置で横にカットします。切り離した上の部分(飲み口がある方)を逆さにして、下の容器部分にセットします。これで、漏斗状の芋受けと、下の貯水タンクが一体化した栽培容器の完成です。
2. 種芋の選定 水耕栽培には、あまり大きすぎる芋は向きません。ペットボトルの口にフィットする、細身で小ぶりな芋(S〜Mサイズ、200g前後)を選びましょう。傷がなく、硬く引き締まったものが適しています。
3. 芋のセット 種芋の「尻(細い方)」を下にして、逆さにした飲み口の部分に入れます。もし芋が細すぎて落ちてしまう場合は、割り箸などを芋に刺してストッパーにするか、ペットボトルの口にネットを張って支えを作ります。
4. 水位調整 ここが最重要ポイントです。下のタンク部分に水を入れますが、芋の先端(下側)が2〜3cm水に浸かる程度に留めてください。芋全体をドボンと水没させてしまうと、呼吸ができずに数日で腐って水が白く濁ります。「根が出る部分だけ水に触れている」状態をキープするのがコツです。
5. 日々の管理 日当たりの良い暖かい窓辺に置きます。水は毎日交換するのが理想ですが、少なくとも2〜3日に1回は変えて、常に新鮮な酸素を供給しましょう。水が少しでも白く濁ったり、酸っぱい匂いがしたりしたら、すぐに水を捨てて容器を洗い、芋のぬめりを洗い流してください。

順調にいけば、セットしてから1週間ほどで白い根が伸び始め、2〜3週間で頭の部分から赤紫色の小さな芽が顔を出します。葉が5〜6枚に育つまでは水だけで育ちますが、それ以上大きくして苗として収穫し続けたい場合は、水耕栽培用の液体肥料を規定量(かなり薄め)で混ぜてあげると、葉の色が濃くなり生育が持続します。

育苗中の温度管理と水やりの要点

無事に伏せ込みが終わり、あるいは水耕栽培セットが完了しても、油断はできません。苗を育てている期間(育苗期間)の管理において、栽培者が最も警戒すべき敵は「高温障害」と「過湿」の2つです。これらは、良かれと思ってやったことが裏目に出るケースが多いので、正しい知識を持っておく必要があります。

まず温度管理についてです。春先の天気は変わりやすく、晴れた日の日中は気温が急上昇します。保温のためにビニールトンネルやホットキャップ、あるいは衣装ケースなどで覆っている場合、直射日光が当たると内部の温度はあっという間に上昇します。もし内部が50℃を超えてしまうと、植物の細胞タンパク質が変性し、種芋がいわゆる「煮えた」状態になって死滅・腐敗します。人間が「今日は暖かいな」と感じる日は、トンネル内は灼熱地獄かもしれません。日中はトンネルの裾を開けて換気をする、不織布などの通気性のある素材に変えるなど、こまめな温度調整が不可欠です。地温計を刺して、常にチェックする癖をつけると安心ですね。

次に水やりに関してですが、基本は「控えめ」です。さつまいもの種芋自体には、発芽に必要な水分と養分がたっぷりと貯蔵されています。そのため、外部からジャブジャブと水を与える必要は本来あまりありません。「土の表面が乾いて白っぽくなったら、午前中の暖かい時間にたっぷりと与える」のが基本ですが、「少し乾かし気味」に管理するくらいで丁度よいです。夕方に水をやって夜間まで土が濡れていると、地温が下がって冷害の原因になりますし、常に土がジメジメしていると酸欠を引き起こします。土の表面だけでなく、指を少し土に入れてみて、中が湿っているようなら水やりは不要です。

実践的なさつまいもつる取り用の育て方手順

無事に芽が出てつるが伸びてきたら、いよいよ収穫(採苗)と定植の準備です。ここでは、ただ伸びたつるを切るだけでなく、質の良い苗を効率よく増やすためのプロのテクニックや、本番の畑での準備について、より実践的で詳細な内容をお伝えします。

追肥は必要?つるボケを防ぐ施肥

苗が順調に伸びてくると、「もっと早く大きくしたい」「もっと太い苗にしたい」という欲が出て、肥料をあげたくなるのが人情です。しかし、さつまいもの苗作りにおいて、過度な肥料、特に「窒素(N)」の与えすぎは厳禁です。

窒素は植物の葉や茎を大きくする成分ですが、これが多すぎると、植物体内の栄養バランスが崩れます。苗の段階で窒素過多になると、茎ばかりが太くて柔らかく、節間が間延びした「徒長苗」になってしまいます。このような苗を畑に植えると、地上部の茎葉ばかりがジャングルのように旺盛に茂り、肝心の地下部の芋が全く太らない、いわゆる「つるボケ」という現象を引き起こす原因になります。

基本的には、種芋に蓄えられた貯蔵養分だけで、十分に立派な苗は育ちます。もし、葉の色が全体的に黄色っぽく薄い場合や、生育が明らかに遅い場合に限り、即効性のある薄めの液肥をごく少量与える程度で十分です。「肥料は足りないくらいが丁度いい」というのが、さつまいも栽培の鉄則です。

本圃(畑)の肥料も「引き算」で考える

苗を植え付ける予定の畑についても同様です。もし前作で肥料をしっかり使う野菜(キャベツや白菜など)を育てていた場所なら、土の中に残っている肥料分だけで十分育ちます。わざわざ元肥を入れる必要はありません。「無施肥(肥料なし)」でスタートし、葉の様子を見ながら必要であれば追肥するというスタイルが、つるボケを防ぎ、美味しい芋を作る一番の近道です。さつまいもは、皆さんが思っている以上に、痩せた土地でも育つたくましい植物だということを覚えておいてくださいね。

切り戻しで苗の収穫量を増やす技

限られたスペースや少ない種芋から、できるだけたくさんの苗を取りたい。そんな時に使えるのが、プロの農家も実践している「切り戻し(摘心)」というテクニックです。これは植物ホルモンの働きを利用した、魔法のような増殖方法です。

通常、種芋から伸びてきたつる(親づる)が20cm〜30cm程度(7〜8節)に育ったら、それを苗として株元から切り取って使います。しかし、「切り戻し」を行う場合は、あえて株元に近い部分に葉を3枚(3節)ほど残して、その上でカットします。切り取った上の部分はそのまま苗として利用できます。

ポイントは「残した3節」にあります。つるの先端(生長点)が切られると、植物ホルモン(オーキシン)の流れが変わり、それまで眠っていた葉の付け根にある「わき芽」が一斉に動き出します。その結果、残した3つの節からそれぞれ新しいつる(子づる)が伸びてきます。つまり、1本のつるを犠牲にすることで、3本の新しいつるを生み出すことができるのです。

この「倍々ゲーム」のような増殖効果を利用すれば、例えば種芋が3個しかなくても、最終的には数十本の苗を確保することが可能になります。「最初の1本目は苗として使うよりも、増やすための起爆剤にする」という発想で、少し早めに切り戻しを行うのがコツです。定植予定日の1ヶ月〜1ヶ月半前くらいにこの作業を行っておくと、ちょうど植え付け時期に元気な子づるたちが収穫適期を迎えるように調整できます。

定植に最適な苗の選び方と基準

いよいよ採苗ですが、伸びているつるならどんなものでも良いわけではありません。畑に植えてからの活着(根付き)が良く、初期生育がスムーズに進む「良い苗」を選ぶ基準があります。悪い苗を選んでしまうと、植えた後に枯れてしまったり、芋の付きが悪かったりします。

  • 本葉が7枚以上しっかりと展開していること:葉の数は、根が出るまでの光合成能力に直結します。
  • 茎がガッチリと太く、硬いこと:触ってみてフニャフニャしている苗は水分過多で弱いです。鉛筆くらいの太さがあるのが理想です。
  • 節間(葉と葉の間)が間延びしていないこと:節間が長すぎる苗は徒長しており、植え付けた時に土に埋まる節の数が少なくなってしまいます。節が詰まっている苗ほど、たくさんの根が出て芋もつきやすくなります。
  • 病気や害虫の被害がないこと:葉が縮れていたり、虫食い穴だらけだったりする苗は避けます。

長さとしては25cm〜30cmくらいが最も扱いやすい標準サイズです。ハサミで切り取る際は、ウイルス病の伝染を防ぐため、ハサミを消毒するか、あるいは手でパキッと折り取るのが良いでしょう。切り取った苗は、すぐに植えずに1〜2日日陰に置いて少ししおらせてから植えると、発根が促されて活着が良くなるという裏技もありますよ。

苗の段階での病害虫と物理的防除

せっかく手塩にかけて育てた苗が、定植直前になって虫に食べられてしまったり、病気にかかってしまったりしては、これまでの苦労が水の泡です。特に春先の苗は、葉が柔らかくて栄養満点なので、害虫たちにとっては格好のご馳走です。ここでは、苗作りの段階で特に注意すべき病害虫と、農薬を使わずに守る物理的な防除方法について詳しく解説します。

まず、最も警戒すべき害虫は「アブラムシ」です。アブラムシは新芽の汁を吸うだけでなく、さつまいもにとって致命的な「ウイルス病」を媒介する運び屋でもあります。一度ウイルスに感染すると治療法はなく、その苗は廃棄するしかありません。また、暖かくなってくると「ナカジロシタバ」「エビガラスズメ」といった蛾の幼虫(イモムシ)も発生し、柔らかい葉をあっという間に食い尽くしてしまいます。地中では「コガネムシの幼虫(ネキリムシ)」が種芋や根を食害することもあります。

これらの害虫から苗を守るために、家庭菜園で最も効果的かつ安全なのが「物理的防除」、つまり物理的にシャットアウトすることです。

防虫ネットは必須装備

伏せ込みを行ったら、すぐに目合い0.6mm〜0.8mm程度の防虫ネットで育苗スペース全体をトンネル状に覆ってしまいましょう。1mmの網目だと小さなアブラムシやアザミウマがすり抜けてしまうことがあるので、より細かい網目のものが安心です。これは害虫の侵入を防ぐだけでなく、強風や急激な乾燥、あるいは遅霜から苗を守るシェルターとしての役割も果たします。水やりもネットの上からできるので、管理も楽ですよ。

また、病気、特に「ウイルス病(サツマイモ斑紋モザイクウイルスなど)」への対策も重要です。これは種芋から伝染する場合と、アブラムシが運んでくる場合があります。もし、育てている苗の中で以下のような症状が見られたら、ウイルス病を疑ってください。

  • 葉にモザイク状の黄色い濃淡や斑点がある
  • 葉が縮れていたり、異常に小さかったりする
  • 葉脈が透けて見える

疑わしきは「即抜き取り」

ウイルス病の疑いがある株を見つけたら、残念ですが「治療」はできません。その株からは絶対に採苗せず、周囲の健全な株にウイルスが広がるのを防ぐために、種芋ごと直ちに抜き取って、畑から遠く離れた場所で焼却または廃棄処分してください。「もしかしたら治るかも」と残しておくのが一番危険です。また、採苗に使うハサミやナイフもウイルスの媒介源になります。株を変えるごとに、ビストロンなどの消毒液や熱湯で消毒するか、あるいは手で折り取るようにすると、機械的な伝染リスクを減らすことができます。

さつまいもつる取り用の育て方のまとめ

ここまで、さつまいもつる取り用の育て方について、種芋の冬越し準備から実際の苗作り、そして採苗のテクニックまで、かなり詳細にお話ししてきました。情報量が多くて少し大変だったかもしれませんが、最後までお読みいただきありがとうございます。

さつまいもの苗作りは、単なる「節約」以上の価値があります。自分で選んだ品種を、納得のいく方法で育て、一番良いタイミングで畑に植えられる。この「自由度」こそが、自家採苗の最大の魅力だと私は思います。最後に、今回の記事の重要ポイントをもう一度おさらいしておきましょう。

工程 成功のための重要ポイント
種芋の保存 13℃〜15℃をキープし、絶対に5℃以下にしない。新聞紙と段ボールで保湿・保温する。
伏せ込み時期 焦らず3月下旬〜4月上旬(桜の開花頃)に行う。早すぎると地温不足で腐敗のリスク大。
伏せ込み方法 「頭」を揃え、背中を少し出して斜めに植えることで、地温を確保し萌芽を促進させる。
水やり・肥料 水は控えめに、乾燥気味に管理。肥料(特に窒素)は与えすぎず、つるボケを防ぐ。
採苗・増殖 本葉7枚以上のガッチリした苗を選ぶ。切り戻し(摘心)を行うことで、少数の種芋から苗を倍増させる。

最初は失敗することもあるかもしれません。私自身、温度管理をミスして種芋を腐らせたり、ネットを張り忘れてイモムシに葉を食べられたりした経験があります。でも、そういった失敗を積み重ねて、「我が家の環境でのベストな育て方」が見つかった時の喜びはひとしおです。

今年はぜひ、ホームセンターで苗を買うだけでなく、種芋からの「完全自家製さつまいも」にチャレンジしてみてください。ペットボトル1本からでも始められます。皆さんの畑で、元気なつるが青々と茂り、秋には甘くて美味しいさつまいもがたくさん収穫できることを、心から応援しています!

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