家庭菜園で大切に育てたさつまいもを掘ってみたら、「思っていたより小さい…」「もしかして収穫が早すぎた?」と不安になることがありますよね。数か月かけて育てただけに、掘った瞬間に細いイモばかり出てくると、ちょっとショックかもしれません。
先に結論をお伝えすると、さつまいもの収穫が早すぎると、イモが十分に肥大しておらず、収量が少なくなったり、品種によっては収穫直後の甘みが弱く感じられたりすることがあります。
ただし、早く掘ってしまったからといって、そのさつまいもが食べられなくなるわけではありません。傷みや腐敗がなければ食べられますし、品種によっては収穫後に2~3週間ほど適切な環境で貯蔵することで、甘みや食感が良くなることもあります。
一方で、収穫後に寝かせてもイモそのものが大きくなるわけではありません。まだ畑に残っている株があるなら、全部を一気に掘らず、栽培日数や試し掘りの結果を見ながら収穫時期を調整するのがポイントです。
「早く掘ってしまったかも」という人はまずここを確認
- 掘ったイモが小さくても、傷みがなければ食べられる
- 一度収穫したイモは、保存してもサイズは大きくならない
- 品種によっては2~3週間ほど貯蔵すると食味が良くなる
- 畑に残っている株まで急いで全部収穫する必要はない
- 次の株は植え付けからの日数と試し掘りで判断する
- ただし初霜が近い場合は、待ちすぎず収穫を優先する
この記事では、さつまいもの収穫が早すぎるとどうなるのかだけでなく、「もう掘ってしまった場合はどうするのか」「まだ畑に残っている株はいつ掘ればいいのか」まで順番に解説します。
さらに、植え付けからの日数、葉や茎の状態、試し掘り、品種による違い、収穫前のつる切り、収穫後の保存までまとめました。あなたのさつまいもが今どの段階なのかを確認しながら読んでみてくださいね。
この記事で分かること
- さつまいもの収穫が早すぎた場合に起こりやすいこと
- 早く掘ってしまったさつまいもの対処方法
- まだ畑にある株を収穫するか待つかの判断基準
- 収穫が遅すぎた場合の注意点
- 植え付け日数・葉・試し掘りによる見極め方
- 収穫前のつる切りを行うタイミング
- 収穫後に甘みを引き出す貯蔵と加熱の考え方
- 腐らせにくい保存温度と保存方法
さつまいもの収穫が早すぎるとどうなる?
- イモが小さく収量が少なくなりやすい
- 品種によっては収穫直後の甘みが弱いことがある
- 早く掘ったさつまいもでも食べられる
- 収穫後に寝かせてもサイズは大きくならない
- 逆に遅すぎると霜や亀裂に注意が必要
イモが小さく収量が少なくなりやすい
さつまいもの収穫が早すぎたときに、一番分かりやすく出やすいのが「イモがまだ小さい」という変化です。
さつまいもは、葉で光合成をしながら作った養分を地下の塊根へ送り、時間をかけてイモを太らせていきます。そのため、生育途中で掘り上げれば、当然ながらその後に畑で太るはずだった期間がなくなります。
例えば、同じ株に数本のイモが付いていても、収穫が早い段階では太いものが1本だけで、残りが鉛筆より少し太い程度ということもあります。これは必ずしも病気とは限らず、単純に肥大途中だった可能性があります。
ただし、「小さいイモ=すべて収穫が早かった」とは限りません。植え付けから十分な日数が経っているのに小さい場合は、日照不足、水はけ、肥料の効きすぎによるつるぼけ、植え付け条件など、ほかの原因も考えられます。
小さいだけで「早掘り」と決めない
植え付けから120~140日程度たっているのにイモが小さい場合、さらに1~2か月待てば必ず大きくなるとは限りません。栽培日数だけでなく、残りの気温や初霜の時期、試し掘りした株の状態まで含めて判断してください。
品種によっては収穫直後の甘みが弱いことがある
「早く収穫すると甘くない」と聞いたことがある方も多いと思います。
ここは少し注意したいところで、さつまいもの甘さは畑に置いておく期間だけで決まるわけではありません。品種、収穫時の状態、収穫後の貯蔵、そして加熱方法によっても大きく変わります。
特に「べにはるか」のような品種は、収穫直後よりも一定期間貯蔵したものの方が甘みを感じやすくなることが知られています。そのため、「早く掘ったからもう甘くならない」と諦める必要はありません。
一方、収穫時点でイモが十分に太っていなかった場合、保存しても大きさや収量までは取り戻せません。「サイズは畑で育てる」「甘みや食感は収穫後の貯蔵や調理でも変わる」と分けて考えると分かりやすいですよ。
また、焼き芋の甘さに大きく関わる麦芽糖は、主に加熱時にさつまいものβ-アミラーゼという酵素がでん粉へ働くことで生まれます。収穫時期だけではなく、後ほど紹介する「寝かせ方」と「加熱の仕方」も大切です。
早く掘ったときに覚えておきたいこと
- 小さなイモを保存しても大きくはならない
- 収穫直後より貯蔵後の方がおいしく感じる品種がある
- 甘さは品種や加熱方法によっても大きく変わる
- 早く掘ったからといって食べられないわけではない
さつまいもを早く収穫してしまったらどうする?
すでに全部掘ってしまった方が、一番気になるところだと思います。
まず、掘り上げて株から切り離したさつまいもを、もう一度土へ埋めて大きくしようとする必要はありません。収穫したイモは、そのまま食べるか、状態の良いものを保存して食味の変化を待ちましょう。
収穫したばかりのさつまいもは皮が薄く、スコップや手で付いた小さな傷から傷みやすい状態です。まずは無理に土を洗い流さず、付着した土の表面が乾く程度に置きます。
その後、傷が深いもの、折れているもの、虫食いが大きいものと、きれいなものを分けます。傷のあるイモは長期保存に回さず、早めに料理へ使う方が安心です。
早く掘ってしまった後の流れ
- 水洗いしない:長く保存したいものは、土が付いたまま扱います。
- 表面を乾かす:雨の当たらない場所で、付着した土や表面の水分が乾くまで置きます。
- 傷を確認する:切れたもの、深く傷付いたものは先に食べます。
- 状態の良いものを分ける:長期保存するイモと早く食べるイモを分けます。
- 13~15℃程度を目安に保存する:極端に寒い場所や冷蔵庫での長期保存は避けます。
- まず2~3週間待ってみる:品種によっては収穫直後より甘みや食感が良くなります。
早く収穫してしまった場合は、「失敗した」と考えるより、まず食べられる分をきちんと保存することが大切です。サイズは変えられませんが、食べ方まで失敗する必要はありませんよ。
逆に収穫が遅れるとどうなる?

収穫が早すぎるのを避けようとして、必要以上に畑へ置いておけば良いわけでもありません。
さつまいもは生育期間が長くなるにつれて肥大しますが、畑に長く置きすぎるとイモの形が乱れたり、表面に亀裂が入ったりすることがあります。
さらに家庭菜園で特に気を付けたいのが霜と低温です。
さつまいもは低温に弱いため、収穫を引っ張りすぎて霜に当てると、収穫後の貯蔵性が悪くなることがあります。タキイ種苗でも、遅くとも初霜が降りる前に収穫するよう案内されています。
そのため、「まだ少し小さいから」と待っているうちに最低気温が大きく下がってきた場合は、イモをもう少し太らせることより、低温に当てないことを優先した方がよい場面もあります。
収穫を待ちすぎるときの注意点
- 形:大きくなりすぎると形が乱れたり亀裂が入ったりすることがある。
- 天候:雨が続く時期は、収穫作業もしにくくなる。
- 低温:寒さに弱いため、初霜前の収穫を意識する。
- 保存:霜や低温の影響を受けたイモは貯蔵性が落ちることがある。
「できるだけ長く置けば大きくなる」という考えだけで収穫日を決めるのは避けたいところ。残りの生育日数だけでなく、その地域の気温や初霜の時期まで見て判断しましょう。
失敗を防ぐなら「試し掘り」が一番分かりやすい

「日数は十分だけど、本当に掘っていいのかな?」と迷ったときは、試し掘りをするのが一番分かりやすい方法です。
試し掘りとは、本格的な収穫を始める前に1株だけ掘り、実際のイモの太り方を確認する方法です。
さつまいもの生育は、同じ品種でも植え付け時期、地域、日照、土質、気温などで変わります。「植えてから120日だから絶対に収穫できる」とカレンダーだけで決めるより、土の中を一度確認した方が失敗しにくいですよ。
失敗しにくい試し掘りの手順
- 植え付け日を確認:まず120日前後を一つの目安にします。
- 1株選ぶ:畑全体ではなく、生育が平均的な株を1株選びます。
- つるを整理する:株元が見えるようにし、掘る位置を確認します。
- 少し離れた位置から掘る:いきなり株元へスコップを入れず、外側から土を崩します。
- イモの太り方を見る:品種らしい太さになっているか、細いイモばかりではないか確認します。
- 小さければ残りを待つ:気温に余裕があれば、残りの株は1~2週間ほど待って再確認します。
ここで注意したいのは、スーパーで売られているさつまいもの長さだけを基準にしないことです。
品種や植え方によって、短く丸みのあるイモになることもあれば、細長く育つこともあります。「20cmになったからOK」と長さだけで決めるより、育てている品種の特徴と太り具合を見る方が実用的です。
全部掘ってから「まだ早かった…」と気付くと戻せません。1株だけ先に確認しておけば、残りの株を待つという選択ができます。少し手間はかかりますが、家庭菜園ではかなり使いやすい方法ですよ。
さつまいもの収穫が早すぎるのを防ぐ見極め方
- 植え付けから120~140日前後を最初の目安にする
- 葉や茎の黄変は補助的なサインとして見る
- 品種だけで収穫日を決めない
- 最後は試し掘りでイモの状態を確認する
- 初霜前には収穫を終わらせる
植え付けから120~140日前後が一つの目安
さつまいもの収穫時期を考えるとき、まず確認したいのが苗を植え付けてから何日たったかです。
タキイ種苗では、さつまいもの収穫時期について、植え付けから120~140日程度、平均気温の積算温度では2200~2500℃程度を一つの目安として紹介しています。
別の栽培案内では120~150日程度とされているため、家庭菜園では「だいたい4~5か月」くらいの幅を持たせて考えると分かりやすいでしょう。
例えば5月15日に苗を植えた場合、120日後は9月中旬ごろです。ただし、その日に必ず収穫しなければならないわけではありません。
植え付け直後に低温が続いた年、日照が少ない年、水はけが悪い畑などでは、生育が思うように進まないこともあります。逆に、地温が確保された環境では生育が進みやすいこともあります。
植え付け日を来年から記録しておく
収穫時期になってから「いつ植えたっけ?」となると、判断材料が一つ減ってしまいます。スマートフォンのカレンダーや園芸ノートに「5月○日・紅はるか定植」のように残しておくだけでも、秋の収穫時期がかなり判断しやすくなります。
植え付けからの日数別にどう判断する?
「結局、何日ならまだ早いの?」と迷う方も多いと思うので、大まかな考え方を整理してみます。
| 植え付け後の日数 | 考え方 | おすすめの行動 |
|---|---|---|
| 100日未満 | 一般的にはまだ生育途中である可能性が高い | 特別な事情がなければ収穫を急がない |
| 100~120日程度 | 早掘りになる可能性がある | 必要なら1株だけ試し掘りする |
| 120~140日程度 | 収穫を検討し始める時期 | 葉、天候、試し掘りを組み合わせる |
| 140~150日程度 | 多くの家庭菜園で収穫候補になる | 初霜を確認しながら順次収穫する |
| 150日以降 | 待てば良いとは限らない | 気温低下や霜を優先して判断する |
これはあくまで判断を始めるための目安です。同じ120日でも、北海道と九州、黒マルチありとなし、暖かい年と涼しい年では条件が違います。
日数だけで収穫日を決めるのではなく、「そろそろ試し掘りしてみよう」と考えるための数字として使ってください。
葉っぱが黄色くなってきたら収穫の参考にする

栽培日数と一緒に確認しやすいのが、葉や茎の色です。
収穫時期が近づく秋になると、下葉を中心に黄色くなってくる株があります。タキイ種苗でも、葉や茎が黄色くなり始めるころが一つの目安として紹介されています。
ただし、ここで気を付けたいのが、葉っぱだけでは収穫適期を正確に判断できないことです。
暖かい地域や気温の高い年では、収穫できる大きさになっていても葉が青々としていることがあります。また、水不足や病害、肥料切れなどでも葉が黄色くなることがあります。
逆に、チッソ分が多く「つるぼけ」していると、葉やつるばかり元気でイモが十分に太っていない場合もあります。
葉っぱを見るときの考え方
「黄色くなった=今すぐ収穫」ではありません。植え付けから十分な日数が経っていて、秋になり、下葉が黄色くなり始め、さらに試し掘りでもイモが太っている。このように複数の条件がそろっているかを確認しましょう。
品種によって甘さや食感、貯蔵後の変化も違う
さつまいもには、安納芋、紅はるか、シルクスイート、鳴門金時、紅あずまなど、さまざまな品種があります。
品種によってイモの形や食感、収穫直後の食味、貯蔵したときの変化が違うため、「さつまいもは全部○月に掘れば大丈夫」と一律には言えません。
| 品種 | 食感の傾向 | 収穫時の考え方 | 収穫後 |
|---|---|---|---|
| 安納芋 | ねっとり系 | 植え付け日数と試し掘りを確認 | 貯蔵後の食味も確認したい品種 |
| 紅はるか | しっとり・ねっとり系 | 早掘りしすぎないよう大きさも確認 | 貯蔵による食味向上が知られている |
| シルクスイート | しっとり系 | 苗の購入先の栽培目安も確認 | 収穫直後と貯蔵後で食感の違いを楽しめる |
| 鳴門金時 | ホクホク系 | 地域の収穫時期と試し掘りを確認 | ホクホクした食感を生かしやすい |
| 紅あずま | ホクホク系 | 植え付け後の日数と肥大を確認 | 天ぷらやふかし芋にも使いやすい |
特に安納芋を育てている方は、品種に絞った収穫日数や見極め方を別記事でも詳しくまとめています。
→ 安納芋の収穫日数は120日?葉の色でわかるサインと熟成のコツ
苗を購入したときに品種名が分かっているなら、苗のラベルや販売元の栽培情報も残しておくと便利ですよ。
晴れて土が乾いている日に収穫する
収穫時期が決まったら、日付だけではなく当日の天気も見ておきましょう。
できれば晴天が続き、土がある程度乾いた日に掘る方が作業しやすくなります。雨の直後で土がべたべたしていると、イモへ土が多く付着し、掘り出した後の取り扱いもしにくくなります。
また、湿った土は重いため、スコップで持ち上げるときに力が必要になり、勢い余ってイモを切ってしまうこともあります。
「120日目が雨だから絶対に今日掘る」という必要はありません。霜まで余裕があるなら、天気予報を確認して数日ずらすくらいの柔軟さがあって大丈夫です。
収穫の1週間前は何をする?つる切りの正しい考え方
「さつまいもは収穫の1週間前につるを切ると甘くなる」と聞いて、いつ切ればよいのか迷っている方もいるかもしれません。
ここは誤解しやすいところですが、家庭菜園で甘みを増やす目的だけで、収穫の1週間前から必ずつるを切っておく必要はありません。
タキイ種苗の栽培方法でも、収穫するときにつるを地際付近で切り、イモを掘り上げる流れが基本です。
つるや葉は収穫まで光合成を行っています。まだイモが小さく、「もう少し畑で太らせたい」と考えている段階で早くつるを切ってしまえば、その後の光合成を止めることになります。
早掘りを心配しているなら、つるを先に切りすぎない
試し掘りをして「まだ小さい」と分かった株が多いなら、甘くするためにつるを1週間前から切るより、そのまま葉を残して生育を待つ方が考え方として自然です。収穫日が決まってから、作業しやすいタイミングでつるを整理しましょう。
つる切りの目的は収穫作業をしやすくすること

さつまいものつるは夏の間にかなり伸びます。畝をまたいで広がっていると、どこが株元なのか分からなくなることも珍しくありません。
そこで収穫前につるを切っておけば、株元が見やすくなり、マルチも外しやすくなります。収穫作業をスムーズにするという意味では、つる切りはとても役立ちます。
つる切りの手順
- 収穫する株を確認する:株元をたどり、掘る位置を確認します。
- つるを整理する:絡み合ったつるを持ち上げ、隣の株と分けます。
- 株元を少し残して切る:5~10cm程度残しておくと、掘る位置の目印になります。
- マルチがあれば外す:イモを傷付けないようにゆっくりめくります。
- 外側から掘る:株元へ直接スコップを刺さず、少し離れた位置から土を崩します。
一度スコップでイモを切ってしまうと、そこから傷みやすくなります。収穫量が多いと急ぎたくなりますが、最初は少し広めに掘る方が結果的にロスを減らしやすいですよ。
切った芋づるも利用できる
さつまいもの葉柄や茎は、地域によって「芋づる」として食べられています。皮や筋を取り、アク抜きをしてから、きんぴらや炒め物、佃煮などに利用できます。せっかく家庭菜園で育てたなら、収穫時に一部を料理へ使ってみるのも楽しみ方の一つです。
収穫が早すぎたさつまいもは寝かせれば甘くなる?
収穫後2~3週間ほど貯蔵すると食味が変わることがある
「早く掘ってしまったけど、寝かせれば甘くなる?」という疑問への答えは、品種によっては甘みや食感の改善が期待できます。
タキイ種苗でも、収穫直後より2~3週間ほど貯蔵したイモの方が甘みが増しておいしくなると案内されています。
特に、ねっとりと甘い焼き芋で知られる「べにはるか」は、貯蔵によってショ糖などが増え、収穫直後より甘くなることが農研機構の資料でも紹介されています。
ただし、これは「どんなさつまいもでも、長く置けば置くほど甘くなる」という意味ではありません。
品種による違いがありますし、保存温度が低すぎれば低温障害を起こします。逆に高温すぎれば芽が出たり、品質が落ちたりする可能性があります。
早掘りしたイモをおいしく食べるなら
収穫直後に全部食べ切らず、状態の良いイモを保存して、収穫直後・2週間後・3週間後で食べ比べてみるのもおすすめです。同じ品種でも、食感や甘みの違いを感じられるかもしれません。
「貯蔵で甘くなる」と「焼くと甘くなる」は少し違う
さつまいもの甘さを理解するときは、収穫後の貯蔵による変化と、加熱中に起こる変化を分けて考えると分かりやすくなります。
貯蔵中には、でん粉や糖の組成が少しずつ変化し、品種によってはショ糖などが増えて食味が良くなります。
一方、焼き芋を食べたときに感じる強い甘みに関わる「麦芽糖」は、加熱中にβ-アミラーゼという酵素が、熱によって糊化したでん粉へ働くことで作られます。
つまり、「適切に貯蔵すること」と「じっくり加熱すること」の両方が、おいしい焼き芋につながるということです。
早く掘ってしまったイモでも、まず適切に保存し、その後ゆっくり加熱してみてください。収穫したその日に急いで焼いたときとは、印象が変わる可能性があります。
収穫した日に1本食べて、残りを2~3週間寝かせてから同じ焼き方で食べ比べると、家庭菜園ならではの違いを楽しめます。来年の収穫時期を決める参考にもなりますよ。
収穫したさつまいもの正しい保存方法

せっかく収穫したさつまいもを寝かせるなら、途中で腐らせないことが大切です。
さつまいもは寒さに弱く、タキイ種苗では貯蔵適温を13℃程度、10℃以下では低温障害を受けるとしています。農研機構でも、貯蔵には13~14℃程度、湿度90%前後が適すると紹介されています。
ここで気を付けたいのが、「さつまいもは乾燥させればさせるほど長持ちする」というわけではないことです。
収穫直後は表面の水分や付着した土を乾かしますが、貯蔵中まで乾燥させすぎると、イモがしおれたり重量が減ったりします。
家庭で保存するときの手順
- 掘り上げる:できれば晴れて土が比較的乾いた日に収穫します。
- 水洗いしない:長期保存するイモは土を付けたまま扱います。
- 表面を乾かす:雨の当たらない場所で、土や表面の水分が乾く程度に置きます。
- 傷んだイモを分ける:深い傷、折れ、虫食いがあるものは早めに食べます。
- 1本ずつ新聞紙で包む:乾燥と温度変化をやわらげます。
- 段ボールなどへ入れる:空気がまったく動かない密閉状態にはしません。
- 13~15℃程度を目安に保存する:温度変化が少なく、寒くなりすぎない場所を選びます。
- 定期的に確認する:柔らかくなったものや傷んだものがあれば早めに取り除きます。
新聞紙で包む方法は、家庭でも取り入れやすい方法です。段ボールや野菜ストッカーに入れ、冷え込みすぎない室内で保存すると管理しやすくなります。
収穫後に表面を乾かすこととキュアリングは別もの
さつまいもの保存方法を調べていると「キュアリング」という言葉を見かけることがあります。
家庭菜園では、収穫後に半日ほど乾かすことをキュアリングと説明しているケースもありますが、本来のキュアリングは、収穫時に付いた傷の治癒を促すため、専用設備などで高温・高湿度の環境を作って行う処理です。
家庭で収穫したさつまいもを風通しの良い場所へ置き、表面の水分や泥を乾かす作業とは分けて考えた方がよいでしょう。
家庭菜園で無理に本格的なキュアリング環境を再現する必要はありません。まずは傷を増やさないよう丁寧に収穫し、保存前にイモの状態を選別することを優先してください。
冷蔵庫での長期保存は基本的に避ける
野菜だから、とりあえず冷蔵庫へ入れておけば安心と思うかもしれませんが、さつまいもでは注意が必要です。
さつまいもの保存適温は13~15℃程度で、10℃を下回る環境では低温障害のリスクがあります。そのため、一般的な冷蔵庫で丸ごとのさつまいもを長期間保存する方法は向いていません。
「寒い場所ならどこでもOK」ではない
冬の屋外、冷え込む物置、車庫、冷蔵庫などは、夜間に温度が大きく下がることがあります。玄関や廊下も住宅によって温度差が大きいため、できれば一度温度計で確認しておくと安心です。
逆に暖房の効いた部屋で20℃以上になる状態が続くのも、長期保存には向きません。家の中で13~15℃前後を完全に保つのは難しいですが、「冷やしすぎない・暖めすぎない」を意識するだけでも違います。
さつまいもを収穫するときに失敗しやすいポイント
全部を一気に掘ってから早すぎたと気付く
家庭菜園で一番避けたいのが、収穫日を決めた勢いで畑のさつまいもを全部掘り、その後で「まだ小さかった」と気付くパターンです。
一度掘ったイモは元の状態には戻せません。少しでも迷っているなら、最初の1株を試し掘りにするだけでこの失敗を防ぎやすくなります。
特に家庭菜園では、すべて同じ日に収穫する必要はありません。何株かずつ時期をずらし、イモの大きさを比べてみるのもよい方法です。
葉が黄色いという理由だけで掘る
葉の黄変は参考になりますが、病気、水不足、気温低下などでも葉色は変わります。
「葉が黄色くなったから収穫」という一つの条件だけではなく、植え付け日、季節、試し掘りと組み合わせて判断してください。
イモのすぐ横へスコップを入れて傷付ける
収穫時に意外と多いのが、スコップやクワでイモを切ってしまう失敗です。
さつまいもがどの方向へ伸びているかは、地上から完全には分かりません。株元ぎりぎりへスコップを入れず、少し離れた場所から土を崩し、最後は手で探るくらいの方が傷を減らせます。
傷付いたイモもすぐ食べるなら利用できますが、長期保存には向きません。保存する予定の量が多いほど、収穫時の扱いは丁寧にしたいところです。
収穫したイモをすぐ水で洗う
土が付いたままだと汚れて見えるため、収穫後すぐに水で洗いたくなりますよね。
その日のうちに料理する分なら洗って構いませんが、長く保存する分は水洗いせず、乾いた土を軽く落とす程度にしておく方が管理しやすくなります。
特に収穫直後は皮が傷付きやすいため、たわしなどで強くこするのは避けてください。
甘くしたくて必要以上に長く畑へ置く
さつまいもの甘さは、畑に置く日数だけで決まるものではありません。
収穫後の貯蔵や加熱でも味は変わります。十分な大きさまで育ち、初霜も近づいているのに「もっと甘くしたいから」と畑へ残し続ける必要はありません。
収穫適期に掘り上げ、その後の保存と調理でおいしさを引き出すという考え方も大切ですよ。
来年「収穫が早すぎた」を防ぐために残しておきたい記録
今年の収穫が少し早かったと感じたなら、その経験は来年かなり役に立ちます。
家庭菜園では、地域や自分の畑によって生育のクセがあります。インターネットで「120日」と調べるだけでは分からない、自分の畑のデータを少しずつ残しておくのがおすすめです。
記録しておくと役立つ項目
- 品種名
- 苗を植えた日
- 黒マルチを使ったかどうか
- 試し掘りをした日
- そのときのイモの大きさ
- 本収穫した日
- 収穫量
- 収穫直後に食べたときの食感
- 2~3週間保存した後の甘みや食感
例えば「紅はるか・5月10日植え・9月15日はまだ細かった・10月1日はちょうどよかった」と残しておけば、翌年はかなり判断しやすくなります。
スマートフォンで収穫したイモを並べて写真を撮っておくのも便利です。日付と写真が残るので、翌年の試し掘りと比較できます。
苗から自分で育ててみたい方は、さつまいもの苗取りについても別記事で解説しています。
→ さつまいもつる取り用の育て方!種芋の冬越しから失敗しない苗作り
さつまいもの収穫が早すぎないための要点まとめ
さつまいもの収穫は、「○月○日になったから掘る」というより、植え付けからの日数、実際のイモの太り方、気温、初霜までを見ながら決めるのがコツです。
もし今回すでに早く掘ってしまったとしても、小さいだけで食べられなくなるわけではありません。収穫したイモを適切に保存し、少し寝かせてから食べてみましょう。
まだ畑に株が残っているなら、次は全部掘らずに1株だけ試し掘りしてみてください。それだけでも「さつまいもの収穫が早すぎた」という失敗はかなり避けやすくなります。
- さつまいもの収穫が早すぎるとイモが十分に肥大せず小さくなりやすい
- 小さなさつまいもでも傷みがなければ食べられる
- 一度収穫したイモを保存してもサイズそのものは大きくならない
- 品種によっては収穫直後より2~3週間貯蔵した後の方がおいしく感じられる
- べにはるかなどは貯蔵によって糖や食感が変化することが知られている
- 焼き芋の麦芽糖は主に加熱中のβ-アミラーゼの働きによって生成される
- 収穫時期は植え付け後120~140日前後を一つの目安にする
- 栽培条件によっては120~150日程度まで幅を持って考える
- 葉や茎が黄色くなるのは参考になるが、それだけで収穫を決めない
- 最終判断には1株だけ試し掘りする方法が分かりやすい
- イモの長さだけではなく品種らしい太さになっているか確認する
- まだ小さく気温に余裕があれば残りの株を1~2週間ほど待つ
- 収穫を遅らせすぎると亀裂や霜のリスクが高くなる
- 遅くとも初霜が降りる前までの収穫を意識する
- 甘くする目的だけで収穫1週間前につるを切る必要はない
- つる切りは主に収穫作業をしやすくするために行う
- まだイモを太らせたい段階ならつるを早く切りすぎない
- 収穫後に長期保存するイモは基本的に水洗いしない
- 収穫時に傷付いたイモは保存せず早めに食べる
- 保存温度は13~15℃程度が目安
- 10℃以下では低温障害のリスクがあるため冷やしすぎない
- 貯蔵中は乾燥させすぎないことも大切
- 新聞紙と段ボールを使うと家庭でも保存しやすい
- 家庭で表面を乾かす作業と専用設備で行うキュアリングは別もの
- 今年の植え付け日・試し掘り日・収穫結果を記録しておくと来年の判断に役立つ
一番大事なのは、「早く掘ったかもしれない」と気付いた時点で全部失敗だと思わないことです。すでに掘った分は保存と調理を工夫し、まだ畑に残っている分は試し掘りで確認する。これなら今からでもできることがあります。次の1株を掘る前に、植え付け日とイモの太り具合を一度確認してみてくださいね。

