家庭菜園で人気の大葉ですが、いつの間にか花が咲いて葉が硬くなり、「もう終わりかな?」と寂しく思った経験はありませんか?大葉の栽培は花が咲いたからといって、それで完全に終わりではありません。実は、栽培が終わるサインを見極め、その後の手入れを工夫することで、来年もまた豊かな収穫を楽しむことができるのです。この記事では、大葉の栽培が終わるサインから、その後の対処法、そして来年に繋げるための育て方のコツまで、初心者の方にも分かりやすく解説します。
- 大葉の栽培が終わるサインがわかる
- 葉が硬くなる原因とその対処法がわかる
- 栽培が終わった後も大葉を楽しむ方法がわかる
- 来年も収穫するための種の取り方や増やし方がわかる
大葉の栽培が終わりのサインとは?見分け方を解説
- 大葉がダメになったサインは?
- 家庭菜園で葉が硬くなった原因
- 冬になると枯れるのは自然なこと
- 収穫は何回くらいできるの?
- 大葉の摘心は収穫量アップの鍵
大葉がダメになったサインは?

大葉の栽培が終わりに近づいているサインは、いくつかあります。これらを見極めることで、次のステップへスムーズに進むことができます。最も分かりやすいサインは、「とう立ち」です。
とう立ちとは、株の中央から茎がすっと伸びてきて、その先に花穂(かすい)と呼ばれる花のつぼみがつく現象を指します。植物が子孫を残すために花を咲かせ、種を作ろうとする自然な生理現象で、大葉の成長の一つの節目です。花が咲き始めると、植物のエネルギーは葉を成長させることから、種子を作ることに集中するようになります。その結果、以下のような変化が現れます。
- 葉が小さく、硬くなる:栄養が花や種に優先的に送られるため、新しく出てくる葉が小さくなったり、既存の葉が硬くなったりします。
- 香りが弱まる:葉の品質が落ち、大葉特有の爽やかな香りが薄れてきます。
- 葉の色が変わる:株全体の元気がなくなり、葉が黄色っぽく変色してくることもあります。
- 病害虫の被害が目立つ:株が弱ってくると、病気にかかりやすくなったり、害虫の被害を受けやすくなったりします。
これらのサインが見られたら、「栽培の終わりが近い」と判断して良いでしょう。しかし、これは決してネガティブなことではありません。花や実も楽しむことができるため、最後まで大葉を活用するチャンスと捉えることができます。
とう立ちのサインを見逃さない!
株の中央から、他の葉とは違う形状の茎が伸びてきたら、それが「とう立ち」の始まりです。早めに気づくことで、葉の収穫を続けるか、花や実を楽しむ方針に切り替えるかを選択できます。
家庭菜園で葉が硬くなった原因

「収穫した大葉の葉が、なんだか硬くて食感が悪い…」と感じたことはありませんか。葉が硬くなるのには、いくつかの原因が考えられます。原因を知ることで、柔らかく美味しい葉を長く収穫するための対策ができます。
主な原因は以下の通りです。
1. 水分不足
大葉は大きな葉から水分をたくさん蒸散させるため、非常に水を好む植物です。特にプランター栽培では土が乾燥しやすく、水切れを起こすと葉が硬くなる直接的な原因になります。夏の暑い日には、朝夕2回の水やりが必要になることもあります。
2. 肥料切れ
大葉は生育旺盛で、次々と葉をつけるため、多くの栄養を必要とします。栽培期間が長くなるにつれて土の中の肥料分が不足すると、葉の成長が悪くなり、硬くなってしまいます。特に葉の生育に重要なチッ素が不足しないよう、定期的な追肥が大切です。
3. 収穫の遅れ
葉が十分に育っているのに収穫しないでおくと、葉はどんどん老化して硬くなります。美味しい状態で食べるためには、適度な大きさになった葉からこまめに収穫することがポイントです。下の葉から順番に摘み取っていくのが基本です。
4. 日光の当たりすぎ
大葉は日光を好みますが、真夏の強すぎる直射日光に長時間当たると、葉が厚く硬くなる傾向があります。いわゆる「葉焼け」も起こしやすくなります。理想的なのは「半日陰」くらいの環境です。一日中日が当たる場所では、寒冷紗などで日差しを和らげてあげると良いでしょう。
硬くなった葉はもう戻らない?
一度硬くなってしまった葉は、残念ながら元の柔らかさに戻ることはありません。しかし、硬い葉も天ぷらや炒め物、佃煮など、加熱調理すれば美味しく食べられます。生のまま食べるのは避け、調理法を工夫してみましょう。
冬になると枯れるのは自然なこと

秋が深まり、気温が下がってくると、あれほど元気だった大葉が枯れ始めてしまいます。これは育て方が悪かったわけではなく、大葉の性質による自然な現象なので心配はいりません。
大葉は「一年草」に分類される植物です。一年草とは、種をまいてから1年以内に発芽、成長、開花、結実し、そして枯れてしまう植物のことです。つまり、冬の寒さで枯れてしまうのは、大葉のライフサイクルの一部なのです。
日本の多くの地域では、大葉は冬の寒さに耐えることができず、霜が降りる頃には自然に枯れてしまいます。そのため、多年草のように冬越しさせて、翌年も同じ株から収穫することは基本的にできません。
「え、じゃあ毎年苗を買い直さないといけないの?」と思うかもしれませんが、実はそうとも限りません。大葉は非常に生命力が強く、賢い戦略を持っています。
花が咲いた後にできた種が地面に落ち、土の中で冬を越します。そして、翌年の春、気温が20℃以上になる頃に、そのこぼれ種から自然に新しい芽が出てくることがよくあります。一度庭やプランターで育てると、何もしなくても翌年から勝手に生えてくる、というのはこのためです。
収穫は何回くらいできるの?

「大葉を一株植えたら、一体何回くらい収穫できるんだろう?」と疑問に思う方も多いでしょう。結論から言うと、「何回」という明確な回数で数えるのは難しく、適切な管理をすれば「約3〜4ヶ月間」収穫し続けることが可能です。
大葉の収穫は、一般的に草丈が20〜30cm程度に育った頃から始まります。早い時期であれば6月頃から収穫が始まり、とう立ちして花が咲き始める9月〜10月頃まで、長く楽しむことができます。
収穫量を最大化し、収穫期間を延ばすためのポイントは以下の通りです。
長く収穫し続けるための3つのコツ
- こまめに収穫する
前述の通り、葉が硬くなるのを防ぐだけでなく、株の風通しを良くし、病害虫の予防にも繋がります。下の葉や脇芽から出た葉を積極的に収穫しましょう。 - 追肥を忘れない
収穫が続くということは、それだけ株がエネルギーを消費している証拠です。2週間に1回程度のペースで液体肥料を与えるか、1ヶ月に1回、緩効性の化成肥料を株元に施しましょう。 - 摘心(てきしん)を行う
これが最も重要なポイントかもしれません。次の項目で詳しく解説しますが、摘心を行うことで脇芽の成長が促され、収穫できる葉の数が格段に増えます。
これらの手入れをすることで、一株からでも合計で100枚以上の葉を収穫することも夢ではありません。まさに家庭菜園の優等生と言えるでしょう。
大葉の摘心は収穫量アップの鍵

大葉の収穫量を増やし、長く楽しむために欠かせない作業が「摘心(てきしん)」です。少し手間はかかりますが、効果は絶大なのでぜひ挑戦してみてください。
摘心とは?
摘心とは、植物の主茎(一番てっぺんの茎)の先端にある成長点を摘み取る作業のことです。頂点の芽の成長を止めることで、その下にある脇芽(わきめ)に栄養がいくようになり、枝数が増えて株全体がこんもりと茂ります。結果として、収穫できる葉の数が大幅に増えるのです。
摘心のタイミングと方法
タイミング:草丈が20〜30cmに成長し、本葉が10枚以上になった頃が摘心のベストタイミングです。
方法:
- 一番てっぺんの茎を見つけます。
- 先端にある、柔らかい新芽の部分を指でつまむか、清潔なハサミでカットします。
- カットする位置は、一番上の葉のすぐ上あたりです。
摘心を行うと、カットしたすぐ下の葉の付け根から新しい脇芽が2本伸びてきます。その脇芽がさらに成長したら、同様にその先端を摘心することで、さらに枝分かれして葉の数が増えていきます。これを繰り返すことで、一本立ちだった株が、横に広がる豊かな株に育ちます。
摘心した芽も食べられる!
摘心でカットした先端の柔らかい芽は、捨てずに料理に使いましょう。非常に香りが良く、薬味や和え物にぴったりです。これも家庭菜園ならではの楽しみの一つですね。
大葉の栽培が終わりの後も!来年に繋げる方法
- ほったらかしでも来年また生える?
- 種を採って来年に増やす方法
- 育て方初心者が知るべき栽培のコツ
- 初心者におすすめの肥料は?
- 水耕栽培で室内で育てる選択肢
- まとめ:大葉の栽培が終わりの後も楽しもう
ほったらかしでも来年また生える?

「冬に枯れてしまった大葉のプランター、片付けるのが面倒でほったらかしに…」そんな経験がある方もいるかもしれません。しかし、そのズボラが功を奏すこともあります。結論から言うと、ほったらかしでも翌年また生えてくる可能性は非常に高いです。
前述の通り、大葉は花が咲いた後に種をつけ、その種が地面にこぼれます。この「こぼれ種」が冬を越し、春になって発芽適温(20〜25℃)になると、自然に芽を出してくれます。これを「自生え(じばえ)」と呼びます。
特に地植えの場合は、一度植えると毎年同じような場所から大葉が生えてくることが多いです。プランターでも、土を入れ替えずにそのままにしておけば、翌春に可愛らしい双葉を見ることができるでしょう。
これは手軽で良い方法に思えますが、いくつか注意点もあります。良いことばかりではないんですよ。
ほったらかしの注意点
- 発芽の時期が揃わない:自然任せなので、発芽のタイミングがバラバラになることがあります。
- 土が劣化している:同じ土を使い続けると、水はけが悪くなったり、栄養分が depleted されたりして、生育が悪くなる可能性があります。
- 交雑の可能性:近くで赤しそなど他の種類のシソを育てていると、交雑してしまい、香りや味が本来のものと変わってしまうことがあります。(参照:タキイ種苗株式会社)
毎年確実に、質の良い大葉を育てたいのであれば、きちんと種を採取するか、新しい苗を購入し、新しい土で育てるのが最もおすすめです。
種を採って来年に増やす方法

栽培の最後に自家採種に挑戦するのも、家庭菜園の醍醐味です。自分で育てた大葉から種を採り、翌年の栽培に繋げることで、命のサイクルを実感できます。種の採り方は意外と簡単です。
ステップ1:花を咲かせて実が熟すのを待つ
葉の収穫が終わる秋頃、花を摘み取らずにそのまま咲かせておきます。花が終わると、その場所に小さな実ができます。この実が熟して、穂全体が茶色くカラカラに乾燥するまで株につけたまま待ちます。
ステップ2:穂を収穫して乾燥させる
穂全体が茶色くなったら、茎ごとハサミで切り取ります。収穫した穂を、風通しの良い日陰でさらに数日間〜1週間ほど追熟・乾燥させます。カビを防ぐため、しっかりと乾燥させることが重要です。
ステップ3:種を取り出す
乾燥した穂を、紙やシートの上で軽く叩いたり、指でしごいたりすると、中からゴマのような黒くて小さい種がたくさん出てきます。これが大葉の種です。
ステップ4:種を保存する
取り出した種を、紙製の封筒やお茶パックなどに入れ、湿気の少ない冷暗所で保管します。ビニール袋など通気性の悪い容器は、湿気がこもって種がカビる原因になるため避けましょう。封筒には、採取した年と植物の名前を書いておくと忘れません。
種の寿命に注意!
シソの種は「短命種子」と言われ、発芽能力を保てる期間が比較的短い(1〜2年)とされています。毎年新しい種を採るか、市販の種を購入するのが確実です。
育て方初心者が知るべき栽培のコツ

これから大葉の栽培を始める、あるいは今年うまくいかなかったという初心者の方のために、失敗しないための基本的な栽培のコツをまとめました。ポイントを押さえれば、誰でも簡単にたくさんの大葉を収穫できます。
1. 苗の選び方
良い苗を選ぶことが、成功への第一歩です。ホームセンターなどで苗を選ぶ際は、以下の点に注目しましょう。
- 茎が太く、しっかりしている
- 葉の色が濃く、ツヤがある
- 節と節の間が詰まっている(徒長していない)
- 病気や害虫の痕跡がない
2. 用土とプランター
用土:市販の「野菜用培養土」を使えば、肥料も配合されており手軽です。水はけと水もちの良い土を好みます。
プランター:大葉は根をよく張るため、深さが20cm以上ある標準的なプランターがおすすめです。

3. 水やり
「土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与える」のが基本です。特に夏場は乾燥しやすいので、水切れに注意しましょう。水のやりすぎは根腐れの原因になるため、土の湿り具合を常に確認する癖をつけることが大切です。
4. 日当たり
日当たりの良い場所を好みますが、前述の通り、夏の強すぎる直射日光は葉を硬くします。午前中は日が当たり、午後は日陰になるような「半日陰」の場所が最適です。
初心者におすすめの肥料は?

大葉を元気に育て、柔らかい葉をたくさん収穫するためには、肥料が欠かせません。しかし、初心者にとっては「どんな肥料をいつあげればいいの?」と悩みがちです。ここでは、基本的な肥料の種類と与え方を解説します。
肥料には大きく分けて、植え付け時に土に混ぜ込む「元肥(もとごえ)」と、生育の途中で与える「追肥(ついひ)」の2種類があります。
元肥:じっくり効くタイプを選ぶ
植え付けの際に、土にあらかじめ混ぜ込んでおく肥料です。植物が初期に成長するための栄養となります。おすすめは、「緩効性化成肥料」です。これは、ゆっくりと時間をかけて効果が現れるタイプの肥料で、長く安定して栄養を供給してくれます。市販の野菜用培養土には、最初から元肥が含まれていることが多いので、その場合は追加で与える必要はありません。
追肥:生育に合わせて与える
植え付けから約1ヶ月後、あるいは収穫が始まった頃から与えるのが追肥です。大葉は次々と葉を収穫するため、定期的な栄養補給が欠かせません。追肥には2つのタイプがおすすめです。
肥料の種類 | 特徴 | 与え方 |
---|---|---|
化成肥料(粒状) | 扱いやすく、効果が持続する。 | 1ヶ月に1回程度、株元から少し離れた場所にパラパラとまく。 |
液体肥料(液肥) | 水で薄めて使う。即効性が高い。 | 1〜2週間に1回程度、水やりの代わりに与える。 |
肥料の与えすぎに注意!
肥料、特にチッ素成分が多すぎると、葉が茂りすぎて風通しが悪くなったり、アブラムシなどの害虫が発生しやすくなったりするデメリットがあります。必ずパッケージに記載されている規定量を守って使用してください。
水耕栽培で室内で育てる選択肢

「ベランダや庭はないけど、大葉を育てたい」「虫が苦手だから土を使いたくない」という方には、水耕栽培という選択肢があります。水耕栽培は、土を使わずに水と液体肥料で植物を育てる方法です。
水耕栽培のメリット
- 省スペース:キッチンカウンターなど、室内のちょっとしたスペースで栽培できます。
- 清潔で虫がつきにくい:土を使わないため、土由来の病気や害虫の心配がほとんどありません。
- 成長が早い:根が直接水から栄養を吸収するため、土での栽培より成長が早い傾向があります。
- 年間を通して栽培可能:室内で育てるため、季節に関係なく栽培を楽しむことができます。
簡単な始め方
本格的なキットも市販されていますが、ペットボトルや空き容器を使っても簡単に始めることができます。
- ペットボトルの上部をカットし、逆さにして飲み口部分を下にして本体に差し込みます。
- 飲み口部分にスポンジを詰め、そこに大葉の種をまきます。(発根させた挿し木でもOK)
- 下の容器部分に、水耕栽培用の液体肥料を規定量溶かした水を入れます。スポンジの下部が水に浸るように水位を調整します。
- 日当たりの良い窓辺などに置いて管理します。水が減ったら、肥料を溶かした水を補充します。
この方法であれば、手軽に室内でのハーブ栽培をスタートできます。詳しい方法は、多くの園芸サイトで紹介されていますので、ぜひ調べてみてください。
まとめ:大葉の栽培が終わりの後も楽しもう
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大葉の栽培が終わる主なサインは花が咲く「とう立ち」 - とう立ちすると葉が硬くなり香りが弱まる
- 葉が硬くなる原因は水不足・肥料切れ・収穫遅れなど
- 大葉は一年草なので冬には自然に枯れる
- 適切な管理をすれば初夏から秋まで長期間収穫が可能
- 収穫量を増やすには「摘心」が非常に効果的
- 摘心でカットした芽も美味しく食べられる
- 栽培が終わった株をほったらかしにしても「こぼれ種」で翌年生えることがある
- 確実に育てるなら自家採種や新しい苗の購入がおすすめ
- 種の採取は穂が茶色く乾燥してから行う
- 初心者は丈夫な苗を選び野菜用培養土を使うのが簡単
- 肥料は元肥と追肥を適切に使い分ける
- 肥料の与えすぎは害虫の原因になるため注意が必要
- 室内で育てたい場合は清潔な水耕栽培も選択肢になる
- 栽培が終わった後も花や実、種採りなど楽しみ方は色々ある