はるみみかんの収穫時期 がいつ頃か、気になっていませんか。「清見」と「ポンカン」の掛け合わせで生まれた、あのプチプチとした食感が魅力のはるみですが、旬の時期を逃さず楽しみたいものです。しかし、せとかとはるみどっちが甘いのか、その特徴の違いや、育成地である静岡との関係も知りたいところです。また、露地栽培での収穫時期のサインや、栽培が難しいと言われる理由も気になります。さらに、収穫したてがすっぱい場合の追熟させる方法、美味しい実を育てるための肥料の時期、そして値段が1個あたりどのくらいするのかなど、はるみに関する疑問は多いかもしれません。この記事では、はるみの最適な収穫時期から美味しい食べ頃まで、あらゆる情報を網羅して詳しく解説します。
この記事で分かること
- はるみの収穫時期と旬の食べ頃がわかる
- 完熟を見極めるサインや追熟の方法を学べる
- せとかとの違いや栽培の難易度が理解できる
- 値段の相場や産地に関する情報を得られる
はるみみかんの収穫時期はいつ?
- はるみの特徴と魅力とは?
- せとかとはるみどっちが甘いか比較
- 主な産地「静岡」と「はるみ」の関係
- 露地栽培における収穫タイミング
- 完熟を見極める収穫時期のサイン
はるみの特徴と魅力とは?

はるみの最大の魅力は、他のみかんにはないプチプチとした大粒の果肉(さじょう)と、その一粒一粒が弾ける食感から溢れ出す豊富な果汁にあります。
この柑橘は、「清見(きよみ)」と「ポンカン」という、それぞれの特徴が際立つ品種を掛け合わせて育成されました。農研機構(農業・食品産業技術総合研究機構)によると、1979年に交配が行われ、1999年(平成11年)に「はるみ」として品種登録された、比較的新しい品種です。(品種登録番号:第7506号)
親である「清見」の持つジューシーさとオレンジのような爽やかな香り、そして「ポンカン」の持つ剥きやすさと強い甘み、その両方の「いいとこ取り」に成功しています。外皮はみかんのように比較的簡単に手で剥くことが可能です。さらに、内袋(じょうのう膜)も薄いため、袋ごとそのまま食べられる手軽さも大きな魅力です。
糖度も非常に高く、平均して14度前後、高いものでは15度を超えることもあり、しっかりとした甘さを感じられます。甘いだけでなく、ポンカン由来の爽やかな香りとのバランスも絶妙です。
「はるみ」という名前は、旬の時期が春先に差し掛かることから、「春を予見させる味と香り」にちなんで名付けられたとされています。ちなみに、同じ「清見」と「ポンカン」の掛け合わせ(ただしポンカンの系統が異なる)で生まれた品種に「不知火(しらぬい)」(通称:デコポン)があり、はるみと不知火は姉妹(兄弟)品種にあたります。
せとかとはるみどっちが甘いか比較

「はるみ」と「せとか」は、どちらも柑橘類の中でトップクラスの人気と甘さを誇る品種ですが、その美味しさの方向性には明確な違いがあります。
甘さの感じ方には個人差があるものの、糖度だけで言えばどちらも平均14度~15度に達する非常に甘い品種です。どちらが一方的に甘いというよりは、甘さの「質」と「食感」が異なります。
食感と風味の違い
最大の違いは食感です。前述の通り、「はるみ」はプチプチとした大粒の果肉が特徴で、弾ける食感と爽やかな甘みを楽しめます。
一方、「せとか」は「(清見×アンコール)×マーコット」という複雑な交配から生まれ、「柑橘の大トロ」とも呼ばれる品種です。その特徴は、とろけるように滑らかで濃厚な食感と、非常にジューシーな果肉にあります。甘みも濃厚で、芳醇な香りが口いっぱいに広がります。
価格帯の違い
一般的に、栽培の手間や希少性から、「せとか」の方が「はるみ」よりも高値で取引される傾向があります。どちらも高級柑橘であることに変わりはありませんが、価格面での違いも見られます。
| 項目 | はるみ | せとか |
|---|---|---|
| 親の組み合わせ | 清見 × ポンカン | (清見 × アンコール) × マーコット |
| 食感 | 大粒でプチプチとした食感 | とろけるように滑らかでジューシー |
| 甘さ(糖度目安) | 約14度。爽やかな甘み。 | 約14~15度。濃厚な甘み。 |
| 香り | ポンカン由来の爽やかな香り | オレンジ系の芳醇な香り |
| 旬の時期(食べ頃) | 2月~3月頃 | 2月~3月頃 |
食感の好みで選ぶのがおすすめです!プチプチとした弾ける食感と爽やかな甘さがお好みなら「はるみ」、とろけるような滑らかさと濃厚な甘さがお好みなら「せとか」を選ぶと、満足度が高いでしょう。
主な産地「静岡」と「はるみ」の関係
はるみという品種を語る上で、「静岡県」は欠かせない存在です。なぜなら、はるみは静岡県静岡市清水区(旧清水市)にある農研機構果樹茶業研究部門 カンキツ研究興津拠点(旧果樹試験場興津支場)で誕生した品種だからです。
1999年に品種登録された後、その美味しさから全国の柑橘産地に広がっていきました。育成地である静岡県でももちろん栽培は行われています。
ただし、現在の主な生産地は西日本が中心です。農林水産省が公表している「特産果樹生産動態等調査」によれば、令和4年産のはるみの結果樹面積(収穫量)で見ると、全国1位は愛媛県、2位は広島県となっており、この2県で全国の生産量の多くを占めています。(出典:e-Stat 政府統計の総合窓口「特産果樹生産動態等調査」)
このように、静岡県ははるみの「育成地(生まれ故郷)」であり、愛媛県や広島県は「現在の主な生産地」であると覚えておくと良いでしょう。瀬戸内海の温暖な気候が、はるみの栽培に適していることがわかります。
露地栽培における収穫タイミング
露地栽培(ろじさいばい=屋外の畑で栽培する方法)のはるみは、地域やその年の気候によって多少前後しますが、一般的に12月下旬から1月頃に収穫期を迎えます。
はるみは、温州みかん(10月~12月頃に収穫)とは異なり、年を越してから成熟する「中晩生(ちゅうばんせい)カンキツ」に分類されます。樹の上でじっくりと時間をかけて成熟し、果皮が色づき、糖度が上がるのを待ってから、冬本番に収穫作業が始まります。
多くの農園では、12月下旬頃から収穫を開始し、1月いっぱいにかけて収穫作業が行われることが多いようです。
ここで非常に重要なポイントは、収穫時期と、私たちが食べて最も美味しい「旬(食べ頃)」の時期は、少し異なるという点です。
収穫したてのはるみは、糖度自体は高いものの、同時に酸味(クエン酸)もまだ強く残っている場合があります。そのため、収穫後に一定期間(数週間~1ヶ月程度)、温度や湿度が管理された貯蔵庫で寝かせる「追熟(ついじゅく)」という工程を経るのが一般的です。この追熟期間中に酸味が程よく抜け、甘みが際立つ美味しい食べ頃になります。
ですから、市場に多く出回る「旬」の時期は、収穫からワンテンポ遅れた2月から3月頃となります。
多くは露地栽培ですが、一部ではハウス栽培も行われています。ハウス栽培の場合は温度管理によって成熟を早めることができるため、露地栽培のものよりも早い時期(12月頃など)から出荷される場合もあります。
完熟を見極める収穫時期のサイン

生産農家の方が収穫時期のサインとして見極める際、最も重要な判断基準となるのが果皮の色づきです。
はるみは成熟するにつれて、果皮の色が緑色から鮮やかな橙色へと変化していきます。研究データによれば、10月下旬頃から色づき始め、12月下旬にはほぼ完全に色づくとされています。
色の確認
収穫のサインは、果実全体がムラなく、品種特有の濃い橙色にしっかりと色づいていることです。緑色が残っている状態ではまだ成熟が不十分です。
ヘタの状態
ヘタ(果実の軸の部分)の状態も目安になります。成熟が進むと、ヘタ周辺の緑色が抜け、黄色っぽく(黄化)なってきます。これも収穫期が近いサインの一つです。
糖度と酸度の測定
最終的な収穫の判断は、見た目だけでなく、実際に果実をいくつか収穫し、糖度計で糖度を、測定器で酸含量(クエン酸)を測定して行われることが多いです。糖度が十分に上がり(例えば12度以上)、酸が適度に(例えば1.0%程度まで)減少していることを確認し、最適なバランスの時期を見極めます。
前述の通り、はるみは温州みかんよりも寒さに弱い側面があるとされています。そのため、樹上で完熟させることにこだわりすぎると、強い寒波によって果実が凍結し、果肉がパサパサになる「す上がり」などの品質低下(寒害)を招くリスクがあります。
このため、多くの産地では、寒害のリスクを避けるため、酸味が多少残っていても12月下旬から1月上旬の年内~年明けすぐに収穫を終え、その後は温度管理された貯蔵庫で安全に追熟させる方法が主流となっています。

はるみみかんの収穫後の注意点
- 収穫後すぐは「すっぱい」場合の対処法
- 甘さを引き出す追熟させる方法
- はるみ栽培が「難しい」と言われる理由
- 栽培における肥料の時期
- 値段は1個あたりいくら?
- はるみみかんの収穫時期の総まとめ
収穫後すぐは「すっぱい」場合の対処法
もし購入したり、頂いたりしたはるみが「すっぱい」と感じた場合、慌てずに追熟させる(時間を置く)のが最善の対処法です。
前述の通り、はるみは収穫直後にクエン酸が多く含まれており、酸味が強く感じられることがあります。これは品種の特性であり、決して傷んでいたり、品質が悪いわけではありません。
特に、市場に出回り始める1月下旬から2月上旬頃に購入したものは、まだ酸味が抜けきっていない場合があります。この酸味は、果実が呼吸する過程でエネルギーとして消費され、時間とともに自然に減少していきます。
そのため、「すっぱい」と感じたら、それは「まだ美味しくなる途中」のサインであり、追熟させることで甘みが際立つ絶好の食べ頃を待つことができます。一般的に、2月下旬頃が最も酸味と甘みのバランスが良くなると言われています。
甘さを引き出す追熟させる方法
はるみの酸味を抜き、甘さを引き出す「追熟」は、ご家庭でも非常に簡単に行うことができます。
特別な設備は必要ありません。果実に適切な環境を与えることで、果実自身の呼吸作用を促し、酸を分解させます。
- 箱から出す:購入したダンボール箱などに入ったままにしておくと、湿気がこもり、底の方の果実がカビたり傷んだりしやすくなります。まずは全て取り出してください。
- 場所を選ぶ:直射日光が当たらず、風通しの良い冷暗所を選びます。暖房の効いていない玄関や廊下、北側の涼しい部屋などが理想です。温度は5℃~10℃程度が最適とされています。
- 並べる:新聞紙やキッチンペーパーを敷いた上に、果実同士がくっつかないように間隔をあけて並べます。ヘタを下にしておくと、さらに乾燥を防ぎやすいと言われています。
- 待つ:そのまま1週間から2週間ほど置いておきます。時々、果実の状態をチェックし、カビなどが発生していないか確認してください。
- 冷蔵庫に入れない:追熟中は、温度が低すぎる冷蔵庫に入れると呼吸が抑制され、うまく酸が抜けません。追熟は必ず常温(冷暗所)で行ってください。
- 乾燥させすぎない:風通しは重要ですが、暖房の風が直接当たるような乾燥した場所は避けてください。果皮の水分が奪われすぎてしまいます。
酸味が程よく抜けて、お好みの味わいになったタイミングで、今度は乾燥を防ぐためにポリ袋や新聞紙で一つずつ包み、冷蔵庫の野菜室で保存すると、美味しさをより長く保つことができます。
はるみ栽培が「難しい」と言われる理由

はるみは非常に美味しい人気の柑橘ですが、消費者からの人気とは裏腹に、生産者にとっては栽培が難しい品種の一つとして知られています。
栽培の難しさには、主に以下のような理由が挙げられます。
1. 隔年結果(かくねんけっか)性が強い
これは、豊作の年(表年)と不作の年(裏年)をはっきりと繰り返しやすい性質のことです。表年に果実をたくさんつけさせすぎると、樹がエネルギーを極端に消耗し、翌年は花がほとんど咲かなくなってしまいます。これにより収穫量が激減し、農家の経営が不安定になります。毎年安定した収穫量を維持するためには、表年に花や実を徹底的に減らす「摘果(てきか)」や、枝を切る「剪定(せんてい)」において、非常に高度な技術と判断が求められます。
2. 浮皮(うきかわ)が発生しやすい
果実が成熟する過程(特に収穫が近くなると)で、果皮と果肉の間に隙間ができてしまい、皮がブカブカになる「浮皮」という生理障害が発生しやすい傾向があります。浮皮が発生すると、食味が低下しやすくなるだけでなく、貯蔵性も悪くなります。これを防ぐためには、9月頃のカルシウム剤の散布など、適切な栽培管理が必要となります。
3. 寒害(かんがい)への耐性がやや弱い
前述の通り、温州みかんと比べると寒さへの耐性が強くありません。樹上で完熟させようとすると、冬の寒波で果実が凍結し、品質が大きく低下するリスクを伴います。
私たちが毎年美味しいはるみを食べられる裏には、こうした栽培の難しさを克服し、安定生産を目指す生産者の方々の、大変な努力と緻密な栽培技術があるのですね。
栽培における肥料の時期
はるみの栽培では、高品質な果実を安定して生産するため、年間に複数回、時期を分けて肥料を与える「分施(ぶんし)」が基本となります。
一度に多くの肥料を与えると、樹勢がコントロールできなくなり、枝葉ばかりが茂って果実の品質が低下することがあります。そのため、木の生育サイクルに合わせて必要な栄養素を適切なタイミングで補給する、緻密な施肥(せひ)管理が非常に重要です。
一般的な施肥スケジュール(時期)と、それぞれの役割は以下のようになります。
- 春肥(はるごえ):3月頃 新芽や花の生育を助け、その年の基礎体力を作るための最も重要な肥料です。「元肥(もとごえ)」とも呼ばれます。
- 夏肥(なつごえ):6月~7月頃 果実が細胞分裂を終え、大きくなり始める(肥大する)時期に必要な栄養を補給します。樹の勢いを維持する役割もあります。
- 初秋肥(しょしゅうひ):9月頃 果実の肥大をさらに促進し、糖度の向上を助けるために行われることがあります。ただし、この時期に窒素肥料が多すぎると、果皮の色づき(着色)が遅れる原因にもなるため、注意が必要です。
- 秋肥(あきごえ・お礼肥):10月~11月頃 収穫に向けた最後の栄養補給と、果実を実らせて疲れた樹の体力を回復させる(お礼肥)ために与えます。翌年の花芽の充実にも影響します。
これらの肥料を与える時期や量は、その土地の土壌の状態や樹の健康状態(樹勢)を見ながら、専門的な知見に基づいて細かく調整されます。
また、はるみは夏の乾燥に弱く、水分が不足すると酸味の強い果実になりやすい傾向があります。そのため、肥料だけでなく、夏場の土壌水分を適切に保つ「水分管理(灌水)」も、美味しいはるみを栽培する上で非常に重要なポイントとなります。
値段は1個あたりいくら?
はるみは、その美味しさと人気の高さ、そして前述した栽培の難しさから、柑橘類の中では比較的高級な部類に入ります。
隔年結果性などにより安定した生産が難しいことに加え、プチプチとした独特の食感と強い甘みで近年需要が急増しているため、値段は高めに設定される傾向があります。
値段はサイズや品質(等級)、購入する場所によって大きく異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
- スーパー・青果店(家庭用):1個あたり150円から200円前後が目安となることが多いようです。
- 百貨店・贈答用(秀品):化粧箱に入った高品質なものは、1個あたり300円以上になることも珍しくありません。
- 産直通販(家庭用・訳あり):産地から直接購入する場合、5kg箱で5,000円~6,000円程度(1kgあたり1,000円~1,200円)が相場ですが、送料が含まれている場合が多いため一概に比較はできません。
「せとか」や「甘平(かんぺい)」といった他の高級柑橘と比べると、同等か、やや安価な価格帯で販売されていることが多い印象です。とはいえ、温州みかんなどと比べると、希少価値の高い品種であると言えます。
はるみみかんの収穫時期の総まとめ
この記事では、はるみみかんの収穫時期や食べ頃、栽培の難しさや値段の相場まで、詳しく解説しました。最後に、記事の重要なポイントをまとめます。
- はるみの収穫時期は12月下旬から1月頃
- 旬の食べ頃は収穫後に追熟させた2月から3月
- 最大の特徴はプチプチとした大粒の果肉
- 親の組み合わせは「清見」と「ポンカン」
- 外皮は手で剥け、内袋もそのまま食べられる
- せとかとは食感が異なり、はるみはプチプチ系
- せとかはとろける滑らかな食感が特徴
- どちらも糖度は14度前後と非常に甘い
- はるみは静岡県の試験場で誕生した品種
- 現在の主な生産地は愛媛県や広島県
- 露地栽培では12月下旬にほぼ色づき収穫が始まる
- 収穫時期のサインは果皮が濃い橙色になること
- 購入して「すっぱい」場合は追熟で対処可能
- 追熟させる方法は風通しの良い冷暗所で1〜2週間保存
- 栽培が「難しい」理由は隔年結果性と浮皮
- 肥料の時期は春・夏・秋と年に複数回与えられる
- 値段は1個あたり150円から200円前後が相場

